演:森田亜紀
概要
大津馬中学に勤務する教員(担当科目は不明)。野咲春花、小黒妙子らのクラス担任を務めている。明るい色の髪が特徴的な妙齢の女性(実写映画版では役者のこともあり、黒髪の中年女性になっている)。喫煙者。
非常に冷淡かつ排他的な性格で、春花が転入してきた日も歓迎するどころか、「クラスをかき乱すような真似はするな」と言い放ったほど。
加えて事なかれ主義でもあり、教師でありながら春花のいじめを黙認し、彼女の父が抗議に行った際にも素っ気ない態度で追い返した。また自己防衛のために、クラスのリーダー格である妙子を友達と呼んで彼女の言いなりになっており、佐山流美に対して「妙子が嫌っているのだから彼女に卒業まで近づくな」と言ったこともある。
このため、保護者はおろか生徒達からの人望は皆無で、彼女を軽視して授業態度の悪い生徒も多く、特に妙子の取り巻きからは「イカレ教師」と酷評されている。当の京子も、久賀秀利や橘吉絵などの問題を起こす生徒達のことを不快に感じており、内心では疎んじていた。
我関せずの振る舞いをする一方で、根は非常に情緒不安定であり、少しでも悪口を言われたと感じると、時と場所を選ばず嘔吐してしまう(そのため、友達として接していた妙子からも「ゲロ教師」と見下されていた)。
クラスの生徒が相次いで行方不明になっても、そうした性格が変わることもなく、久賀の母を異常者呼ばわりしたり(下記参照)、橘吉絵の父に「卒業間際に問題を起こす生徒などいなくなって結構」と言って追い返したりしていたが(粗暴な橘の父も流石に彼女の言動に言葉を失っていた)・・・・。
ネタバレ
ピアスや茶髪がなんだっていうのよ!! 14歳の子供なのよ!!それくらいいいじゃないの!!
反抗期の男の子ってのは反抗したり間違いながら成長していくもんでしょ 秀利ばかりが特別じゃないわよ
アンタだってそういう時代を経て 今があるんでしょ その成長をわかってあげられないなんて教師失格よ!!
秀利は見た目じゃわからないかもしれないけど 本当はすごくいい子なのよ
あの色ボケ餓鬼が?
私はそんな他人の身勝手な成長のために 中学時代を犠牲にされた
実は彼女もかつては大津馬中学校の生徒だった。
しかし身体が弱かったことに加え、同級生の高橋という女子生徒を筆頭としたクラスメイト達から、嘔吐してしまう脆弱性を面白がられたことがきっかけで過酷ないじめを受けていた。
その内容は、「『ロッカーに閉じ込められる』『制服を剥ぎ取られる』『全員一斉に罵倒する』などの暴力的手段によるストレスを与えて無理やり嘔吐させる」という春花へのいじめが可愛く思えるほどの苛烈なものであり、それがきっかけで登校拒否に追い込まれていた(小説版では、担任教師も彼女のいじめを黙認していた上に煽り立てていた描写もある)。
卒業式にも参加しておらず、卒業証書も破り捨てており、「現在の生徒達をかつてのクラスメイトとして見立て、廃校寸前の学校から共に卒業することで、中学時代の辛い記憶を塗り替える」ために教師となった。故に生徒達には無関心で、冷酷な態度を貫いていた。
しかし終盤、小黒妙子の遺体が見つかったことで、それまで行方不明になっていた生徒の保護者達により警察署に呼び出され、一斉に責め立てられる。その際にも、妙子のことを「友達」扱いしていたのも保身のためだと明かすなど、酷薄な言動を見せていた。
しかし、自身の素性を調べた上で「いじめられることを恐れるあまり、クラスメイトである子どもに手をかけたのでは?」と難癖をつけてきた橘吉絵の父の行動により、かつてのいじめの記憶がフラッシュバックしてしまう。
錯乱して(実写映画版では暴行せずに終わっているが)保護者の一部に傷害を加えて逃げ出したところ、通りすがりの除雪車に轢かれ、身体を細切れにされて息絶えるという春花の両親と並ぶほど無惨な死を遂げる。
目の前の危険物にも気づかないほど錯乱し、過去の悪夢から必死に逃げ惑いながらも、最期の瞬間、彼女は自分が教師になった本当の目的を思い出していた。
私は---あの忌まわしい過去を塗り替えるべく 中学時代をやり直したかった
例え教師の立場でも 友達を作って 大津馬中学を卒業したかった
彼女が自己保身のために、クラス内のいじめを放置したことが、結果として自分の死を招いてしまったという皮肉な結果をもたらしたと言える。
全てが終わった後、情緒不安定な南を心配して一人彼女を庇い、無惨な死に様を目撃した教頭は、複雑な心境で卒業式を開催していた。
いじめに対処しなかったこと、生徒へ非情な態度を取っていたことなどから教師失格と言える人物だが、春花や流美同様、壮絶ないじめによって人生・性格を歪められた被害者の側面もあること(作中で問題児だった久賀の母でモンスターペアレントの正絵を見た際の上述のやり取りや「あんな問題児を産む こんな人間が私をおかしくさせた」という心境からもそれが伺える)、人間的に問題のある保護者達に自分がしてもいない罪をなすりつけられ糾弾されたことなどには、同情の余地がある。