概要
ドミナリア次元氷河期に活躍した特務魔道士(金で雇われて魔法の力を行使する雇われ魔法使い)で、 後にプレインズウォーカーの力に目覚めた人間の女性。
特務魔道士の例によって、限られた種類の魔法、特に赤マナ呪文ばかり習得している。その一方でも魔術師としてより、交渉人や盗賊としての活躍の方が目を惹く。
性格はかなりくだけた喋り口調で話し、皮肉めいた発言をしばしば行う。人に渾名をつける癖があり、こちらも皮肉が効いたものが多い。
背景ストーリーおよび小説での活躍
彼女はアイスエイジ・ブロックから登場している。
元々は魔導師ではなく、ストリートで盗みや強盗などをして生活していた。
ある時、(ウルザ・ミシュラ直系の子孫である)魔導師ジョダーの部屋に盗みに入るも捉えられてしまう。
しかし、ジョダーによって魔導の才能を見いだされ、彼の元で魔法を学んだ。
が、赤の魔法を幾つか習得した後、すぐに脱走。
以来、フリーの傭兵として活躍しながら、独学で赤の魔法を極めた。
そんな出会いであったが、ジョダーが行方不明であると知り、単身で追跡調査を行い、犯人である屍術師リム=ドゥールのアジトへ潜入しジョダーを救出、フレイアリーズの助けを借りてジョダーを救ったといった行動から、ただの師匠と弟子、あるいは友人といった枠を越えた深い絆で結ばれている。
灯の覚醒は、かつて敵対した屍術師リム=ドゥールが残した指輪を発見したことで体をのっとられてしまうが、かつてジョダーがフレイアリーズに師から譲り受け鏡に彼女がプレインズウォーカーに覚醒させる仕掛けを施した事をしり、 鏡をその額へと叩きつけることで神秘の破片が頭蓋深くに刺さり、ヤヤの内にあった灯が弾けて一瞬にして広がり、世界を覆い尽くした。
ドミナリア氷河期から何世紀も後の時代、かつてチャンドラが魔術を学んだレガーサ次元のケラル僧院ではヤヤ・バラードの信奉者である炎の魔術師たちは、彼女の遺した数々の言葉を教えとして伝えている。ただし、「追い詰められた時には一番強力な火力呪文を放てばいい」といった非常にヤヤらしいものである。
そしてエキスパンション:ドミナリアの背景ストーリーにて数年ぶりにご本人登場。
アモンケット次元での戦いで大敗したチャンドラはドミナリア次元にたどりついた際に強大な紅蓮術師の霊気の痕跡を察知、ヤヤのものだと察した彼女はレガーサ次元に戻り保管されていたヤヤのゴーグルを持ち出し、彼女の教育に務めたルチ修道院長の制止を振り切ってドミナリアに再訪。彼女の足跡をたどる。
そして友達を捜しにヤヴィマヤに向かうとの情報を得たチャンドラはそこでヤヤの友達=カーンと、そしてなぜかドミナリアに居るはずないルチ修道院長と対面。
困惑するチャンドラにルチは腰に下げたヤヤのゴーグルを指差した。
「それは、私のなんだがね?」
なんと、チャンドラは(そしてプレイヤー達も)知らなかったのだが伝説の紅蓮術師は彼女の師匠として陽に陰に成長を見守っていたのである。
そしてカーンの用事を手伝う傍らで口論しながらもチャンドラの成長を促し、新たな可能性を見い出した。
なお、ルチとしての初出は2009年7月発売の小説『The Purifying Fire』、上記のシーンが有った『ドミナリアへの帰還 第8話』は2018年5月なので、およそ9年弱に渡ってプレイヤーにその正体を隠していた事になる。
もっとも、『The Purifying Fire』は英語の小説であり、日本で『燃え尽きぬ炎』として漫画になったもののそちらも若干マイナーなので、知っているプレイヤーは多くない。多くのプレイヤーがルチを知るようになったのは、公式HPでストーリー連載が始まった後の、戦乱のゼンディカー・ブロックでの話である……それでも2015年8月なので、3年弱は正体を隠していたことになるが。
”時のらせん”ブロックで”プレインズウォーカーの灯”が変質し不老の存在ではなくなったことから、一部では「すでに鬼籍に入っているかもなぁ・・・」という意見もあったぐらいである。実際チャンドラとファンの前に再登場を果たした時は、テフェリーのように寿命を弄られる経験をしていない為かなりのおばあちゃんになっていた。もっとも皮肉の効いた言動と炎の手練は健在である。
フレーバーテキストの大御所
赤のカードの有名どころで皮肉の聞いた名言を数多く残している。
以下はその1例。
- こいつなら、こうるさい水の魔道師どもにうってつけだ。 ――― 特務魔道師、ヤヤ・バラード(出典:『紅蓮破』)
- ええ、「こんがり焼けた」って言いえて妙だと思うわよ。 ――― 特務魔道師、ヤヤ・バラード(出典:アイスエイジ『火葬』)
- そのむかし、破壊するだけじゃ能がないとぬかす連中に会ったことがある。やつらはどうなったと思う?残らず死んだよ。 ――― 特務魔道師、ヤヤ・バラード(出典:第5版『インフェルノ』)
カード性能
これまでプレインズウォーカーは肉体を不老不死とし、世界を創るも滅ぼすも自由というまともにカード化させるとゲームが壊れる程の存在であったためにフレーバーテキストの中のみの登場にとどまっていたが、
時のらせん・ブロックでは時の裂け目を通り抜け、現代のドミナリアに出現したキャラクターの1人としてカード化。
特務魔道士ヤヤ・バラード
マナコスト | (1)(赤)(赤) |
---|---|
カードタイプ | 伝説のクリーチャー — 人間・スペルシェイパー |
パワー/タフネス | 2/2 |
能力 | (赤),(T),カードを1枚捨てる:青のパーマネント1つを対象とし、それを破壊する。 |
(1)(赤),(T),カードを1枚捨てる:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。特務魔道士ヤヤ・バラードはそれに3点のダメージを与える。これによりダメージを与えられたクリーチャーは、このターン再生できない。 | |
(5)(赤)(赤),(T),カードを1枚捨てる:特務魔道士ヤヤ・バラードは、各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれ6点のダメージを与える。 |
経緯が経緯だけにその容姿はいまだ若く、身体にぴっちりとした服を着こなしているも、その服はぼろぼろで、新たにゴーグルを見せびらかすようにかけている。
その能力は火葬やインフェルノといった彼女の特徴を表した呪文の数々が手札を追加コストに再現可能という豪華なもの。
能力の中には自身も巻き込まれてしまうものの、そこはご愛嬌。
3マナ2/2と標準的なクリーチャーとしての質も備えており、3つも能力があるので強力なことは強力なのだが、隣接するラヴニカ・ブロックには優秀な除去が溢れていたことが逆境であった。さらに、同ブロックの同マナ域には月の大魔術師といった優秀なクリーチャーが他にいたことも採用率の低さの原因のひとつ。
決して悪くない実力を持っていながら活躍できずにスタンダードから退場してしまった、実に不遇なクリーチャーであった。
ヤヤ・バラード
マナコスト | (2)(赤)(赤)(赤) |
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カードタイプ | 伝説のプレインズウォーカー — ヤヤ |
初期忠誠度 | 5 |
能力 | [+1]:(赤)(赤)(赤)を加える。このマナは、インスタントかソーサリーである呪文を唱えるためにのみ使用できる。 |
[+1]:カード最大3枚を捨て、その後その枚数に等しい枚数のカードを引く。 | |
[-8]:あなたは「あなたはあなたの墓地からインスタントかソーサリーであるカードを唱えてもよい。これにより唱えたカードがあなたの墓地に置かれるなら、代わりにそれを追放する。」を持つ紋章を得る。 |
そしてエキスパンション:ドミナリアにてプレインズウォーカーカードとして再登場。
時のらせん・ブロックの背景ストーリー内で行われた大修復の影響でPWの不老が失われたためか、すっかりイケメンばーさん姿での収録となる。
彼女の生き様を反映してか、非常にピーキーなプレインズウォーカー。
1つ目の[+1]能力はマナ加速。制限が付く分、生み出すマナの量は赤マナ3点と大盤振る舞い。戦場に出した直後にこのマナを有効活用できれば、差し引き2マナで唱えたことになり、テンポ・アドバンテージも大きく稼げる。言うまでもないことだが、このマナをいかに有効活用できるかがこのカードの肝となる。
2つ目の[+1]能力は手札入れ替え。ハンド・アドバンテージこそ得られないが、一度に3枚も入れ替えられるため、常に新鮮な、そして影響力の強い手札を保持できる。
マナコストの都合上かなり赤が濃く、なおかつインスタントやソーサリーに比重をおいた火力呪文特化デッキでないとまともに扱えないが、翻ってそれらのデッキではこれ以上ないほど優秀なサポーターになってくれる。
敬慕される炎魔道士、ヤヤ
マナコスト | (4)(赤) |
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カードタイプ | 伝説のプレインズウォーカー — ヤヤ |
初期忠誠度 | 5 |
能力 | あなたがコントロールしている他の赤の発生源がパーマネントやプレイヤーにダメージを与えるなら、代わりにそれはそのパーマネントやプレイヤーに、その点数に1を足した点数のダメージを与える。 |
[-2]:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。敬慕される炎魔道士、ヤヤはそれに2点のダメージを与える。 |
灯争大戦収録の2枚目のヤヤ。レアリティはアンコモン。能力は赤の発生源のダメージ増加。忠誠度能力は任意の対象への火力。
クリーチャーから火力呪文まで赤ければダメージを増やせる。しかしあくまで他のカードあってこそで、劣勢の状況では非常に燃費の悪い火力同然。もっと軽くてダメージを稼げる選択肢もあるので、常に戦場に残り続けられることに重きを置けるデッキに採用したい。
なお、日本語版のブースターパックに限り、50%の確率で日本イラストレーター描き下ろしのオリジナルアート版プレインズウォーカー・カードが通常版の代わりに封入されており、
担当するのは前河 悠一氏(ユーザーページリンク参照)