富士吉田市周辺はかつて養蚕が盛んで、女性が養蚕や機織りをし、男性が行商や食事をする風習であった。山梨県の郷土料理として他にほうとうがあるが、調理や食事に時間がかかるため手軽に作れ、かつ機織りをしながら食事ができるものとしてこの吉田のうどんが生まれた。
吉田のうどんはうどんに味噌と醤油の合わせ汁をかけ、麺の上にキャベツと馬肉を載せるスタイルである。また、お好みにより揚げ玉も添えられる。ここまでなら味噌も含まれていることを除けば普通のうどんと変わりないが、特徴的なのは麺のコシの強さである。先述の通り男性が調理をしていたため強い力で地粉をこねており、それによってコシの強い麺が作り出されている。その硬さは想像を絶し、茹でた麺を束ねれば鉄アレイをぶら下げることができるのではと思うほどで、普通の人が初めて食べると顎が非常に疲れる。
当然入れ歯の人にはお勧めできない食べ物であるが、そのコシの強さを気に入り甲府や静岡、さらには東京など遠くから吉田のうどんを求めて通う人もいる。最近ではインバウンドで外国人が訪れる光景も見られる。
またこのコシの強さはよく噛ませることで満腹感を誘発させる(そもそも少ない材料で作る目的も麺の硬さにつながっていると言われている)。そのため並盛りレベルでも満腹になる人がいるほどである。
富士吉田の市内(郡内の他の市や町にも多数存在している)には吉田のうどんの店が多くあるが、暖簾をかけない店や、昼過ぎ(午後2時頃)には閉店してしまう店が多い。そのため初めて訪れる場合はガイドブック必須であるが、着いた頃には行列になっている場合もあり、入店する前には麺切れで店を閉めてしまうこともある。
なお、吉田のうどんは冷やしでも提供されるが、温タイプよりさらに固くなり食べ慣れているはずの地元民ですら苦労する(慣れていれば啜って食べられるが初心者にはおすすめできない)。初心者が知らずに冷やしを頼むと食べきれない場合があるので、まずは温タイプから慣らすことをお勧めする。