悪いことは本人が一番よく知ってるんだ。バクチ狂の悲哀を描きたいんだ。 ありま・猛
概要
ありま猛のファミリー企画独立直後、最初期(1981年)の作品。ギャンブル中毒の悲哀を描く。
登場人物のクズ度が連ちゃんパパに勝るとも劣らず、古谷三敏ソックリのほのぼのとした画風で、救いようのない人物たちが淡々と描かれる。
しかし後味の悪いシーンも多く、作者コメントからも狙って露悪的に描いていたことが伺える。
そのためブーム前の書評で既に「麻雀クズの主人公」「人物のクズっぷりはかなりガチ」と書かれていたほどだが、掲載誌がもともと過激な作品の多い近代麻雀オリジナルのため、さほど違和感はなかった模様。
登場人物
- 藤木賭(カケル)
通称「カケちゃん」。いつも涼しい顔でタバコをふかしている麻雀打ち。自他共に認めるシビアな男で、唯一、両親に対する孝らしきものはあるが、それ以外の人情味はあまり感じられない。父に遊興費を貸さない実兄夫婦を脅迫し、涼しい顔で灯油を撒くシーンは語り草である。
ただし回を追うごとに陰惨な行動は減っていき、女性とも付き合うようになる。
- 藤木彦六
主人公が生まれる際に男か女かを隣人と賭けたことからカケルと命名した、という筋金入りのギャンブラー。常にバクチに負けて困窮しており、妻の結婚指輪をチンチロ代二千円のために売り飛ばすなど、カケル以上の人格破綻者。