概要
峠のコーナーの端っこの溝を用いるため、この名前がついている。
"突っ込み"重視と"立ち上がり"重視の2つのパターンがあり、やり方も若干異なるが、いずれも使うのに適した溝がないコースでは使用できない。
なお一般的な表記は「溝落とし」であるが、作中では「ミゾ落とし」であるため、本記事もこれに倣う。
通常のミゾ落とし
コーナーのインの溝に前輪を落とすことで、遠心力でリアを出してアンダーステアを防ぐ。これにより思い切った突っ込みが可能となり、ライバルが「曲がれっこない!」と思うようなスピードで曲がることが可能になる。
拓海初めて発見したのは中学生の時で、雪道でも速く走れるように道路の端の雪にタイヤをひっかけたことで閃いたという。
高橋啓介との2度目の秋名でのバトルが初登場で、以降も何度か用いられている。
必殺ミゾ落としパート2!!
前項が突っ込み重視なら、こちらは立ち上がり重視のやり方。
溝に落とすことで速く走るというよりは、走行ラインの自由度を広げるというのに近いと思われる。
しかし作中でその原理について言及は全くされていない。
前項のミゾ落としを閃いたことを得意気に話す中学生の拓海に、父の文太は「もう一つのやり方がある」とヒントだけを残していた。
その後閃いた描写自体はなかったものの、無事会得したようである。
なおこちらは岩城清次との秋名のバトルにおいて1度使用されたのみである。
Vol.91のタイトルにもなっているが、最後のコマで拓海がこの技名を心で呟いただけで、詳細については次話Vol.92に持ち越されている。またこのフキダシでは「パート②」の表記であった。
デメリット
前項を読んでもらえば分かる通り、いずれも原理自体は簡単で地味なのだが、対戦相手とバトルしつつ全開アタックしている状態で溝に正確にタイヤを落とすのは至難の業であり、作中でも用いているのは拓海だけである。
またその拓海でも入念なコースの下見と一発の集中力が必要であり、秋名以外で積極的に用いることは少ない。
啓介が「ゲームの必殺技みたいにポンポン連発できるものではない」「(離れた差を追めるために使うようになったら)もうマジでヤバい」と深刻そうに話していた通り、乱用する中で数ミリのコントロールを誤ると拓海ですら致命傷を負うこともある。
そうした使用環境の限定された技とあってその知名度の高さとは対照的に意外と使用回数は少なく、中盤以降はブラインドアタックにほぼ取って代わられている。
その他
ミゾ落としの正体を見破れるのは一定レベル以上の走り屋だけのようで、作中では中里毅と高橋涼介しかいない。
なお涼介はオーバーテイクポイントを聞いただけで何が起きたかを理解するという拓海に劣らぬバケモノぶりを披露している。
啓介も初見では全く分かっていなかったが、その後腕を磨く中で技の難易度を理解していったようだ。
涼介は拓海のことを「ストレートでもコーナーでもない、第三のポイントを走るのがうまい」と表現しているが、その評価に2つのミゾ落としが大きく貢献しているのは間違いない。
現実でのミゾ落とし
2018年11月22日分放送の報道ステーションにて、当時WRCにおいてTOYOTA GAZOO Racingのエースであったオイット・タナクの強さが紹介されていたとき、このミゾ落としが登場したことがある(ただし技名は登場しなかった)。
要約すると通常のドライバーがトラクション重視で舗装路に沿って走るのに対し、タナクは多少リスクを犯しても舗装路の端のグラベル(土砂)もしっかり踏んで走ることで理想的なコーナリングラインを実現しているとのことであった。
原理的にはパート2のやり方である。
またジムカーナでもパート2のやり方はよく用いられているとされている。