ゲーム『エースコンバット』シリーズの恒例ミッション。
トンネルなどの上下左右を壁に囲まれた場所に突入し戦闘を行う。
エースコンバット、というか飛行機は基本的に「地形への接触=即死」であり、機体制御の甘いプレイヤーは容赦無く墜落するため、このトンネル潜りが初心者と中級者を分ける最初の壁となっている。
トンネル内は通過するだけの場合もあれば激しい戦闘が行われる場合もある。
後者の場合は
- トンネル内にターゲットがあるが、撃つとミサイルの爆炎で視界が遮られる(6のシャンデリアで顕著)
- トンネルが崩壊の危機に晒される演出として、画面が大きく揺れる(Xのアーケロン要塞で顕著)
などなど接触の危険が増す要素が存在する。
また前者であっても
- 画質が荒すぎてどこが壁なのか全く分からない(シリーズ初期)
などの理由で難所指定されるトンネルは存在する。
スキマニア・クグロフ
しかし、ゲームに慣れてきたプレイヤーは、ミッションとして指定されておらず、くぐる必要性が全くない隙間であっても、機体が通れそうな場所ならそれをくぐるのをゲーム開発者も望んでいると言わんばかりに片っ端から通りたがる。
- 橋に巻き付くようにコークスクリューを行う
- トンネルを背面飛行やアフターバーナー全開で通り抜ける。
- ポストストールマニューバを使ってトンネル内でUターンする
などなど「どうやってくぐるか」ではなく「どれだけ美しく、或いは度肝を抜くようにくぐるか」を競う様は、最早ある種の中毒である。
この魅力に取りつかれた者たちをスキマニア・クグロフと呼ぶ。
6ではミッション14で王様橋に向かう際、壊れている部分の下を潜ると仲間が褒め称えてくれる。どうやら公式にもネタとして認知されているようだ。
そして7では、ゲーム機についた録画シェア機能を生かし「#ACE7スキマニア」とハッシュタグを付けてTwitterに投稿する企画が公式から開催された。
シリーズに於いて有名なトンネル
エースをトンネルに潜らせるというのは作中においても明らかに普通ではない特別な事例であり、何かのっぴきならない事情がある場合が多い。
つまりトンネルの説明をすること自体がストーリーのネタバレとなりかねないため、できれば実際にプレイしてから以下を読むことを薦める。
ハミルトンネル
エースコンバット5のミッション27「ACES」にて潜るトンネル。
ベルカ人の野望により乗っ取られた衛星SOLGからの核攻撃を防ぐため、オーシア国内ではあるが元々ベルカの土地であった信託統治領ノースオーシア州に本社を置く「ノースオーシア・グランダーI.G.社」の実験施設にあるコントロールユニットを破壊せねばならない。
直前にオーシアのハーリング大統領とユークトバニアのニカノール首相が手を取り合って陰謀を暴いたことにより、オーシア、ユークの所属を問わず多くの仲間がノースオーシアに集結する。
しかし陸軍の展開力では施設の妨害を突破するのに時間がかかるため、地上部隊がこじ開けた扉から、主人公ブレイズ率いるラーズグリーズ隊が輸送用の長大なトンネルへと突入する。
……その後を追ってアレン・C・ハミルトンまでもがトンネルに入ってきた
ハミルトンの怨嗟の言葉を聞きながら、彼の攻撃を躱してトンネルを進み、コントロールユニットを破壊するブレイズ達。段違い平行棒。反対側から迫ってくる敵。それを撃墜した時の破片に巻き込まれるハミルトン……
苦難を乗り切ったラーズグリーズは、シャッターの閉まりゆくトンネルから抜け出す。
負け続けのケストレルから発艦し見送られたACESは、アンダーセン艦長の確信の通り、勝ったのだ。
特徴
- ハミルトンに後ろから追いかけられ、精度が低いとはいえミサイルに撃たれたりしながら進むトンネルであること
- 途中途中でシャッターが閉まっていくため、ある程度速度を出さないといけないこと
- 途中で段違い平行棒と呼ばれる障害物が進路を塞いでおり、そこではより一層精度の高い操縦が求められること
- 長大なトンネルでありながらチェックポイントがないため、失敗すればミッション最初のイベントムービーと対地戦闘からやり直さないといけないこと
- ハミルトンがうるさくて集中できないこと
カウントンネル
エースコンバット7のミッション20「ダーク・ブルー」にて潜るトンネル。
主人公トリガーと、ライバルエースミハイの機動を学習した戦闘機ADF-11F『レーベン』のAIが、世界一高い電波塔である軌道エレベーターにそのデータを送信するのを防ぐミッションで、前半は超高機動の敵二機とのドッグファイトをすることになる。
ところが倒したレーベンの片割れは、ノーズユニット分離機能を使って生き延びていた。そして軌道エレベーター地下の送信施設へと繋がる、自動車用の海底トンネルへと逃げ込んでいく。データ送信を阻止するには当然陸軍では間に合わないため、周囲の要請もありトリガーがトンネルへ突入する……
《みんなトリガーを頼りすぎんだよ》
なんとトリガーの後を追って、僚機のカウントまでもが突入することに。周囲の引き留めを断固として拒否したカウントは
《心配するな 俺は前いた部隊で学んだんだ》
《「トリガーについていけば 生き残れる」ってな》
とトリガーに最大の信頼を寄せて、トンネル内で文字通りトリガーにピッタリついてくる。トリガーの活躍により何とかデータ送信を阻止したはいいものの、途中でカウントがトリガーを庇って被弾してしまった上に、海底トンネルのシャッターがレーベンによって閉じられ退路を断たれてしまう。だがカウントは気づいた。脱出方法が一つだけあることに……
《軌道エレベーターだよ》
混乱の原因であり、希望の象徴でもある軌道エレベーター。その風防内部から成層圏のダークブルーの空をめがけて垂直上昇すれば生き残れる。
胴体着陸を成功させたカウントが見上げる視界の先で、トリガーは見事12,000メートル以上の距離を駆け上がって脱出に成功。「天界の王」の座を世界で一番高い場所にて掴み取ったのだ。
特徴
- 自動車用の片側二車線のトンネルであるため入口の時点でかなり狭く、大型戦闘機だとギリギリ通れる程度の広さしかないこと
- トンネル突入後は鉄道トンネル2つと合わせて3つのトンネルが、途中に複数設置されている広場によって接続されているが、レーベンはその3本のトンネルのうち1~2本のシャッターを下ろして塞いでくるため、スピードを出しすぎると騙されてシャッターに衝突してしまうこと
- 軌道エレベーター直下の地下空間でレーベンを倒し、複数のデータ受信装置を破壊するための時間猶予がたったの45秒しかないこと
- 軌道エレベーターの風防に突入できる場所がこれまた狭く、地下空間内を旋回している状態から中心へ向かい、そして突入しながら垂直に軸線を合わせるというという複雑な機動をせねばならないこと
- 最終的にはシリーズ初となる垂直トンネル状態の風防内部を上昇していかなければならないこと
- 風防内部には宇宙エレベーターのクライマー(ゴンドラ)が複数停止しており、それらを避けながら上昇する必要があること
- チェックポイントがあるにはあるが、海底トンネルの入り口前、地下空間の入り口前と悉く難所の手前に設置されているため、やっとこさ難所を切り抜けても安心できないこと。
関連項目
エリア88……「タイトロープ作戦」などにおいて、同様の要素がみられる
スターウォーズ……デス・スター破壊作戦などにおいて、同様の要素が見られる。
エースコンバットのトンネルは、上記二者から「狭い場所を戦闘機でくぐる」カタルシスをオマージュしたものと思われる。