概要
レシプロエンジンのうち、エンジンの動作に必要な吸入、圧縮、膨張、排気をピストンが1往復、つまり2動作(クランクシャフト1回転)のうちに完結させるエンジンである。
このサイクルでかなり多数の形式があるが、現在Pixivに投稿されている作品はほぼ全てが自動車(二輪車)と、それに載せられた2ストロークガソリンエンジンである。
2ストロークガソリンエンジン
2ストロークガソリンエンジンは、4ストロークに比べると小型軽量で、製造コストが安く同じサイズであれば高出力となる傾向がある。4ストロークがピストン2往復のうちに1回の爆発なのに対し、2ストロークは1往復で1回爆発させるのだから、単純に考えてトルクは2倍も違う。
しかし4ストロークがなぜわざわざ2往復するのか?といえば、それは吸気と排気を混ぜないで済むからである。つまりその行程を省く2ストロークは原理上、未燃焼(不完全燃焼)のガソリン蒸気や有機化合物を排出しやすくなるため、排気管から出る排気ガスが必然的に汚くなる。
加えてエンジンオイルをガソリンと同時に燃焼室に取り込む構造であるため、元々汚い排気ガスはオイルの燃えさしとでも言える煙と微細なオイル飛沫、不快な臭気を含んでさらに汚くなってしまう。そのため多くの2ストロークエンジンはマフラーから白煙がもくもくと上がっている。もちろんこれらはいずれも環境に対して悪影響を及ぼすものである。
また運転特性はピーキーで、運転しづらい。加えて回転数が上がると排気音は甲高い独特なものとなり、人によっては耳障りに感じるようになる。これらをバイクの「味」として許容あるいは熱烈に支持するファンもいるが、一般的には敬遠される。
かつてはコストの安さや構造の簡単さ、出力の高さが買われて、軽自動車や小型オートバイ、原動機付自転車、草刈り機、チェーンソーなどに使われていたが、環境規制が非常に厳しくなったため、4ストロークなど他の型式に置き換えが進められ、バイクではほぼ絶滅している。
バイクレースの最高峰であるロードレース世界選手権(WGP→MotoGP)では、1960年代~1970年代に日本メーカー勢が2ストローク車で席巻して以降、2ストロークが一般的となっていたが、世の中の4ストローク化への趨勢から減っていき、2011年を最後に全クラスから撤廃されている。
が、2ストロークゆえにこのレースが面白かったのだと主張してやまないファンも少なくない。
またHONDA創設者の本田宗一郎やヨシムラ創設者の吉村秀雄は2ストロークが嫌いであったり、逆にYAMAHAやSUZUKIは2ストローク車に熱心であったりと、この技術が現役であった頃はメーカーによって個性が大きく見られたのもバイクの面白さの一つであった。