概要
――狛治さん、もうやめて。
狛恋とは、『鬼滅の刃』に登場する狛治=人間であった頃の猗窩座と恋雪のカップリングである。
恋雪は道場を営んでいる慶蔵の一人娘であり、身体が弱かった。
狛治は自分の父も体が弱く、自身が盗みをして得た金で薬を買っていたが、そのことが父に知れ、父親はそのことを嘆き自殺。真っ当に生きろという遺言を残していたが、納得できるはずもなく荒れていた。そんな荒れていた時に自分より強い慶蔵に招かれた先で彼は恋雪と知り合い、彼女の看病を進んでやるようになる。次第に心を通わせあい、昔よりも体がよくなった恋雪に自分の夫になって欲しい、と逆プロポーズを受け、それに喜んでいた矢先に。
恋雪と慶蔵の父娘は、隣にあった道場の人間に、井戸の水に毒を入れられ、殺されてしまう。
絶望のどん底に落とされ、何も悪事をしていない大事な二人を殺された怒りで、彼は隣の道場の人間をすべて肉体破壊によって殺害。しかし、死んでしまった人間が戻って来ることはない。
もうどうでもよいと思っていた時に、鬼舞辻無惨に遭遇。
人間でありながら、複数の人間を殺せてしまった狛治に目を付けた無惨は狛治の頭部を腕で突き、鬼にしてしまう。これが猗窩座という鬼が生まれた経緯である。
その後は、もうどうでもよいと思っていた人間の時による反動か、記憶にない様子だったが、無限列車の任務に来ていた竈門炭治郎に言われた「卑怯者」という言葉に反応したり、技が恋雪と見た花火の名前であったり、技の展開時に雪の結晶が現れたり、また型の姿勢が義父である慶蔵が使っていた素流のものであったりと、無意識にそれを残していた。
本格的に猗窩座の過去が戻ってきたのは17巻収録の149話から。
自分の背後から掛けられる言葉と手の気配に反応していたが、それらは猗窩座自身の幻覚。
これは慶蔵のものだった。
激戦の末、猗窩座はさらに変貌を遂げようとした。
そして、その際にかかった言葉が上記の恋雪のものである。
強くなる約束を守ろうとする気持ちと「強くなりたいのではなかったか?」という無惨からの圧で雁字搦めになる中、恋雪は「ありがとう狛治さん、もう十分です」と微笑む。そこでようやく鬼としての進化を振り切れた猗窩座はみるみる狛治の姿に戻っていく。
人間時代と鬼化以降に起こした惨事に葛藤した末、共に地獄に逝こうと決めてくれた最愛の恋人の腕の中で焼かれていった。
「お帰りなさい、あなた」
余談
猗窩座初登場時の扉絵と、過去が明かされた時の扉絵が実は繋がっているのでは、という考察がある。前者はまだ恋雪の言葉が届いていないときのもの、後者は言わずもがな。
やたら強い人間を勧誘するのは、慶蔵が掛けてくれた言葉を真似しているという考えもできる。そして、特に猗窩座が鬼として変わっているのは、女を喰わず、鍛錬で鬼として強くなることをしていたということである。(女は栄養がある、といって特に積極的に喰らっていた童磨とは正反対である)ちなみに、それを無惨は容認していた。
更に猗窩座の技名が花火の名前であること、雪の陣が恋雪の髪飾りと同じであること、「強くなりたい」という動機の根底に恋雪の存在があった。これらの事から、猗窩座という鬼の在り方に甚大な影響を与えたのが彼女だったという事になる。
更にネタバレ注意
鬼滅の刃の20巻においてのキメツ学園の設定より、狛治と恋雪が学生結婚をキメていたのが判明した。しかも2人揃って手芸部。武闘派の狛治が1人で入るとは考えにくいため、恋雪に合わせて入部した可能性が高い。
「子供の頃から結婚の約束をしており家は隣同士。お互いの親も公認ときてもう結婚するしかない」
二人の渾名は姫と狛治殿。恋雪の家の道場は狛治が継ぐことになっている。おめでとうございます。
更に2021年2月4日発売のファンブック2のおまけ漫画にて狛治と共に地獄にいるのが確認された。
間違いなく天国行きの彼女ではあるが、狛治が鬼にされていた期間と同じく彼のいない天国は地獄も同然と感じたのだろう。
狛治の性格上、彼女が地獄まで着いてきたことは心苦しいものがあるだろうが、それでも一緒にいることは嬉しく感じていると予想できる。
末永くお幸せに。