意味
黙って隠れていればキジが猟師に撃たれることもなかったという表現から転じ、別に言わなくても良いことを言ったばかりに災難を被るという意のことわざ。
英語圏ではQuietness is best, as the fox said when he bit the cook's head off.と表現する。
意味としては静かにしているのが一番良いと雄鶏の頭を噛み切ったキツネが言ったというもの。
類義語
- 蛙は口から呑まれる・蛙は口ゆえ蛇に呑まるる
- 口は善悪の門
- 口は災いの元
- 三寸の舌に五尺の身を亡ぼす
- 舌は禍の根
- 物言えば唇寒し秋の風
- 病は口より入り災いは口より出ず
用例
- 例の炎上騒ぎ、最初は誰もが炎上させられた人に原因があると思ってたんだけど、本当はその人に非が無く、別の人が「彼奴を貶めるために炎上ネタを捏ち上げた」と酔った勢いで喋っちゃったんだよね。それで炎上ネタをでっち上げた奴は会社をクビになって居場所を失ったって。雉も鳴かずば撃たれまいと言うのに。全く馬鹿な話だよ。
その他
まんが日本昔ばなしに『キジも鳴かずば』という話がある。
母を亡くして父と二人暮らしの娘が重い病にかかり、父は臥せった娘に欲しいものを尋ねると「赤いまんま(赤飯)を食べたい」と希った。しばらくすると、父は自分たちでは高尚で手の出ないはずの小豆を手に入れ、娘に赤飯を振る舞った。そのおかげか、娘はすっかり元気になった。
娘は父に黙っていろと言われたにもかかわらず、嬉しさのあまりこっそり手毬唄にして口ずさんだ。
するとしばらくして、役人が娘の父をひっ捕らえ、川の氾濫で壊れた橋の再建のため人柱として川底に埋められてしまった。
父は貧乏から小豆を買えず、庄屋の蔵から小豆を盗み、それを赤飯にして娘に与えていた。
自分が浮かれて手毬唄にしてしまったせいで、父は咎を暴かれ死んでしまった。娘はそのことを深く後悔した。
やがて何年も経ったある日――。
山で猟師が雉を見つけて撃ち落とした。
すると雉の落ちた場に若い女が現れ、撃たれた雉を抱きながら「雉よ、お前も鳴かねば撃たれず済んだものを……」と悲しげにつぶやき、雉を置いてその場を去ったという。