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センシティブな作品

「どうしてだ? 杉元……どうしてこんなことを?

 人間鹿ウコチャヌプコロしても子供なんか出来ないのに…

 ましてやオスの鹿とウコチャヌプコロする意味がわからない

 オスはメスとしかウコチャヌプコロしないはずなのに

 オスとウコチャヌプコロするなんて

 どうしてだ? 杉元……」

概要

ウコチャヌプコロとは、アイヌ語

らしい…

元ネタは、漫画『ゴールデンカムイ』のメインヒロインであるアシリパ姉畑支遁奇行を知って困惑気味に発した台詞(上記)。

真面目なアイヌ語解説

用法

アイヌ語には複数の単語を組み合わせてできた言葉(いわゆる熟語)が多く、これもその1つである。

ちなみにこの言葉の単語ごとの意味は、

  • ウコ:互いに
  • チャヌプ:知る、覚える
  • コロ:~している、~しながら

である。そのまま訳すと「お互いを知り合う」といったところだろうか。

厳密に言えば、「ウコチャヌプコロ」は動物用で、人間同士なら「ウコパウチコロ(直訳すると「互いに淫らな思いを持つ」)」「ウコオモイヌ(「下の方を静かに聞き合う」または「下をちょっとやり合ってみる」といったところかと思われる)」「オチウ」等を用いるのが一般的らしい(実際『ゴールデンカムイ』の作中では、後に谷垣インカラマッが致した人間の男女による行為は「オチウ」として改めて説明されている)。

表記・発音

アイヌ語仮名は機種依存文字になるのでこればかりは仕方のないことではあるのだが、「プ」と「ロ」は本来なら小文字で表記する

発音の方も五十音では到底表せない&日本人(和人)の感覚では理解不能なのだが、強いて言うならこんな感じである。

  • 小さい「プ」:「ップ」と言った時の「プ」の直前の「ッ」のような感じの音。例として「オトイネㇷ゚」は「おといねっぷ(音威子府)」と表記されている。江戸時代には「ヲトヱ子フ」と表記されていた。分かるか。
  • 小さい「ロ」:この言葉の場合、コをちょっと舌を巻く感じで発音するとそれっぽくなる。

この機会に、失われた文化に想いを馳せつつ、発音を想像しながら「ウコチャヌプコロ」と声に出して読んでみてはいかがだろうか。

ちなみに、原作だと「プ」と「ロ」は正確に小文字で書かれている。アシリパの台詞ではもちろんの事、なぜか杉元の台詞でも「プ」と「ロ」が小文字になっている。正確に発音できていたのか、はたまた単なる誤植なのか、真相は不明。

余談

  • 「ウコチャヌプコロ→姉畑」の図式が定着してしまったこともあってイマイチ知られていないが、この言葉を発したのはアシリパと主人公の杉元佐一(真顔で復唱した)のみで、姉畑本人は一度もこの言葉を使っていない
  • アシリパは「オスはメスとしかウコチャヌプコロしないはずなのに」と語っているが、実際のところ、ヒト以外の動物でも同性愛行為は極端に珍しいものではなく、様々な種類の動物で見られるものである。ただ、近年になるまで「動物の同性愛行為」は、学者の間でもあまり認識されておらず、いかに自然と親しんでいる明治時代のアイヌと言えど、学者ではないアシリパは、知らなくても不思議ではない。

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