ソイレントグリーンとは、1973年にアメリカで制作されたSF映画。
監督は「海底二万哩」や「ミクロの決死圏」を手掛けたリチャード・フライシャー。
あらすじ
2022年、ニューヨークでは際限の無い人口増加によってあらゆる資源は枯渇。社会は荒廃していた。
人口爆発によって多くの人民が、食品や住居を満足に得ることが出来ず、街はスラムと化し、「本物の肉や野菜」は一生のうち目にすることが出来るか否か、という超高級品に成り果てた(一例として、イチゴジャム一瓶が150ドルである)。そして、その代わりとなる食品は、「ソイレント社」が供給するクラッカー状の合成食糧の外には殆ど口にする事ができない有様であった。
一方で、僅かな特権的階級は巨万の富を以て至上の価値を持つ「本物の肉や野菜」を食する極度の二極化社会となっていたのである。
ある夜、裕福な生活を送っていた弁護士のサイモンソン(ジョゼフ・コットン)が何者かによって殺害される。
殺人事件を担当する警察官 ソーン刑事(チャールトン・ヘストン)は、同居人で相棒である老人 ソル(エドワード・G・ロビンソン)の協力を得て捜査に乗り出すが、何度も妨害を受けた末に暗殺すらされかける。
捜査を重ねた末、ゾーン刑事はある真実に辿り着く。事件の背景には大きな禁忌が…
ソイレント食料
原作小説「人間がいっぱい」は人口爆発後の世界で主人公の刑事が小さな殺人事件を追いかけるという内容であり、映画版は独自の展開が非常に多く、有名な結末部分も映画オリジナルである。
「ソイレント」という単語はソイビーン(大豆)とレンテイル(扁豆)からきたもので、原作では植物性たんぱく質を用いた代用肉であり、庶民にとっては結構なご馳走とされ、ソイレントステーキやソイレントバーガーなどが登場している。「ソイレントグリーン」などというものは原作にはない(似たような形状の海草クラッカーは一般的な庶民の食べ物として登場するが)。
そもそも、前述のとおりソイレントという名称は豆から来ているのだが、映画版ではソイレントグリーンの素材は海のプランクトンとされている(実際には嘘だったが)ため、意味不明な名前になってしまっている。ちなみに、プランクトンを素材にした食品自体は原作にも登場しているが、まったく違う名称(エナーG)である。
なお、原作のソイレント肉のようなものは当時の欧米SF小説では「安価な家畜向け飼料を使って工場で大量生産されてる人工食料」といったニュアンスで、割とよく登場する未来食の一種。ただし、この映画の結末を見た人が誤解しないように、翻訳で名前を変えてたりする。
ちなみに、ソイビーンの語源はソイソース(醤油)である。