概要
本体となるモビルスーツについてはインパルスガンダムの項を参照。
本機が装備するデスティニーシルエットは、フォース、ソード、ブラストの全シルエットの特性を備えた万能型モジュールであり、ストライクのI.W.S.P.またはマルチストライカーに相当する統合兵装システム試験運用型とされている。
デスティニーインパルスは従来のインパルスのように各シルエットモジュールを換装する必要なく、このモジュール単一で全状況に対応できる万能MSとして開発された。形式番号のΘはギリシャ文字の八番目であり、8番目に設計されたシルエットであるデスティニーシルエットを意味している。デスティニーインパルスは全4機が建造されており、3機がロールアウトした。
シルエットモジュールにはデスティニーガンダムと同じくミラージュコロイドを発生させる高機動スラスターウイングを持ち、さらにレーザー対艦刀エクスカリバーと、新たにテレスコピック・バレル延伸式ビーム砲を2門装備する。さらに、フラッシュエッジビームブーメランについてはビームシールド発生装置と一体化したものが本体に装備されている。
しかし、本機はチェストフライヤーが新設計となったものの、分離・合体機構は従来のインパルスのままであり、過剰ともいえる重武装は機体に大きな負担をもたらす結果となった。更にビームに偏った装備のためエネルギー効率も悪く、1回の出撃で2〜3回のデュートリオン充電が必要という劣悪なエネルギー効率となった。そのため、より強力な万能機開発は新規設計により行われることとなり、X42S デスティニーの開発が提案された。この時、試作された4機のデスティニーインパルスが完成していたが以降の開発・生産は中止となっている。
従来のインパルスの三つのシルエットモジュールの性能を単一で賄うことを目的としてデスティニーシルエットは開発されたが、万能機とした反面、インパルス元来の開発コンセプトである「パーツの換装による多局面の戦闘への対応」という意義が希薄なものとなっている。劇中でも「これは“インパルス”では無い」とはコートニー・ヒエロニムスの談である。
試作された4機のうち3機のデスティニーインパルスは、装備した各シルエットによりVPS装甲の色に違いが生じている。1号機は赤紫、2号機は「ザフトレッド」のような赤、3号機は青紫となる。3機はそれぞれロールアウトされ、1号機はマーレ・ストロード、3号機はコートニー・ヒエロニムスに受領される事となる。2号機の受領については現時点不明、4号機についてはその存在以外、詳細不明である。
前述の通り実戦運用に難のある機体だが、メサイア攻防戦に投入された3号機は多大な戦果を挙げている。
ちなみに色の違いは、もともと月刊ホビージャパンに連載していた企画に登場させる際「ベース色は青紫で」と条件を提示してデザインを発注したところ、デザイン担当の大河原氏がデザイン画を青紫より若干赤みが強い紫で彩色し、更にプラモデルの作例を担当したモデラーがそのデザイン画の色彩を空気遠近法と解釈して青みを抜いたカラーで塗装した結果、「ザフトレッド」のような赤になった為。その後、同誌のリニューアル一周年記念で再び、青紫のカラーで作例を製作した際、当時の担当者がデザイン画のカラーを1号機、「ザフトレッド」カラーを2号機、当初の想定である青紫のカラーを3号機と想定していたのをサンライズ側が汲み取って公式設定に取り入れた結果である。
バリエーション
デスティニーインパルスR
デスティニーインパルスの計画を引き継いだ民間企業が独自のコンセプトを加えて完成させた機体。
最大の特徴は自律飛行が可能な「デスティニーRシルエット」、コネクターの規格はストライカーパックシステム。武装はウルフスベイン長射程ビーム砲塔が2門のみだが、ストライカーパックシステムに対応した機体にコネクターを介してジャックする機能を持つ。
インパルス側はビームシールド等が無い通常の状態に戻され、コアスプレンダーをストライカーパックのプラグを搭載したブロックに変更している。
随伴機として後述の「DIアダガ」という機体が出撃の際に同行している。Rは「リジェネス」の略。
DIアダカ
デスティニーインパルスRの護衛随伴機として設計された機体。デスティニーインパルスRと頭部の形状が異なり所謂モノアイガンダム風となっているが、それ以外の外見上の差異はない。
有人で戦闘を経験させることで、デスティニーインパルスRの操る高性能無人機として機能させることのできるAI「バディシステム」を搭載している。
インパルスガンダムブランシュ
デスティニーインパルスRをエルザ・ヴァイス専用に調整した機体。
機体カラーが白系主体に変更され、エルザ用に調整されたことで反応速度も20%程向上している。
元々予定されていた機体名は「デスティニーインパルスRブランシュ」だったが、エルザが機体に運命という不確実な名前を付けたくなかったことと、元々この機体を所有していたカイト・マディガンにより最近このタイプの機体に流行っている名前として「ガンダム」の名を加えることになり、「インパルスガンダムブランシュ」と命名された。