概要
2000年代にアラスカ州で頻発した行方不明事件の犯人であるといわれる、水掻きのある長い爪のある手を持つ大きな尾の怪物である。
2004年に同州東部ジュノーの沖合にボートで釣りに出ていた男性2人のうち、1人が釣り針にかかった謎の大物に海に引きずり込まれたのを皮切りに、数年ごとに釣りや水辺を散歩している人々が、目を離した一瞬のうちに行方不明になってしまうという事件が頻発するようになった。
2006年に南部コディアック島で泳いでいたカップルが、背びれと長い尾を持つ人間のような怪物に足を引っ張られ、2007年に南部キナイ半島で行方不明者が出た際には、砂浜に水掻きがある足跡が残されていたという。
その特徴がイヌイットの伝承に登場する、言うことを聞かない子供のしつけに使う怪物・クァルパリクにそっくりであったため、それが正体であるといわれるようになった。
伝承によるとクァルパリクは、髪を長く伸ばしたどことなく人間の女性に似た緑肌の人魚のような怪物で、手には長い爪を持ち、肘から手首、ふくらはぎに鰭を持つ。
通常は水中に潜んでおり、まるでハミングのような声で歌い、水辺に近づいた子供を引きずりこんでしまうと恐れられている。
なお行方不明事件があった地域と時期を精査した結果、サケの回遊時期と一致していたことがわかり、クァルパリクはサケを追いながら移動していると考察されている。