概要
日本でも親が言うことを聞かない子供に「おばけが来るよ!」と脅かす事があるが、こうした「親の言うことを聞かないと架空の恐ろしい何かが来る」という言い回しは、あらゆる地域・時代で名前や姿形こそ違えど存在する。
そのうち、英語圏でしばしば名前が挙がるのがこの「ブギーマン」である。
「ブギーマンがやってくるぞ」という架空の存在を使用した脅しがいつの間にか大きくなり、一つの概念として確立した、正に都市伝説そのもの。始祖といえるかもしれない。
学問的には「子供部屋のボギー」という。
アメリカではブギーマンと言えばベッドの下やクローゼットの中に潜んでおり、言うことを聞かない子供を攫うチャンスを窺っているとされる。
多くの子供にとってブギーマンの伝承は恐怖そのものであり、小さい頃は寝る前にベッドの下やクローゼットの中をクリアリングしていたという話も少なくない。
なお、姿に関してはあまり描写される事がない。そのためか、正体不明の犯罪者や殺人鬼等、何の痕跡も残さない暗殺者等の比喩として「ブギーマン」という名称が使われる事がある。
カナダインディアンのオジブウェー族にとってウェンディゴが、ラテンアメリカの民間伝承ではチャネケという小人や、カデホという魔犬、キブンゴという獣人が同様な役割を持つ。
キンダーフレッサー、キンダーシュレッカーというものが子供を攫って喰うと言われている。
また、シュヴァルツェマン(黒い男)というやたらかっこいい名前の者もいるとされており、隠れ潜む場所は上記のブギーマン伝承とそっくりである(黒いというのは体が黒いわけではなく、暗所に潜むという意味)。
ちなみに19世紀ごろにハインリヒ・ホフマンという医師が描いた『もじゃもじゃペーター』という絵本には黒人へヘイトスピーチをする子供を折檻する大男「アグリッパ」や、指をしゃぶる子供の親指をはさみで切り落とす「グレイトトールテイラー」が登場する。
けっこうなヒット作品となっており、邦訳版も出版されている。
18世紀頃、「Pere Fouetterd(ムチ打ちじいさん)」という高襟の燕尾服、潰れた山高帽、チョッキにネクタイ、長い靴下に留め金付きの靴姿(当時の田舎のおっさんによく見られた服装)出で立ちの男の伝承が広まっていた。
大きな袋を背負いクリスマス前に悪い子を袋に詰めて連れ去り、ムチで打つという恐怖の逆サンタである。
このムチ打ちじじい伝承は1930年代にアメリカへと渡り、「Father Flog(ムチ打ちオヤジ)」という名前で広まってアメリカの悪ガキ達を震え上がらせた。
派生として、普段は大きな鍋に隠れており嘘つきや盗み癖の悪い子には折檻を、良い子や更生した子にはお菓子をくれるというムチ打ちオヤジの奥さん「Madam Flog」の存在が語られる事もある。
叺背負い、隠しん坊、隠れ婆、油取りなど様々な子供を攫う妖怪が伝承されている。
こうした存在をまとめて「隠し神」と呼称する。
また、なまはげ等のように怠け者や悪い子を戒めに現れるという伝承もある。
現代でも様々な都市伝説という形で類似するものが生まれているが、テレビ番組の企画から生まれ、現在でも活動するガォーさん等もいる。
ブギーマンという名前が登場する作品
- ハロウィン(映画):本編に登場する殺人鬼「マイケル・マイヤーズ」の別名。本タグ登録数一番のキャラ。
- サイレントヒル:ホームカミング、ダウンプアにて登場するエネミー。ホームカミングではあの三角様の本作における名前であり、ダウンプアではハンマーを携えガスマスクを付けたローブの大男である。
- ウギー・ブギー:ナイトメア・ビフォア・クリスマスの悪役。ブギーマンが元ネタで、作中でもブギーマンと自称する。
- マーティー・ライト:WWEのプロレスラーのリングネームとして使用されている。
- RiseOfTheGuardians:希望の象徴であるガーディアンズの活躍で日陰者になった、暗黒時代の恐怖の化身。
- 女神転生シリーズ:現時点では『デビルチルドレン』の黒・赤の書と『偽典・女神転生』にのみ登場。前者は紫色のマントを身に纏った怪人のような姿をしている。ゲーム内ではカジノの景品として仲魔にできる。後者はゴブリンのデータ違いの悪魔である。
- 闘将!!拉麺男:地禁門三悪人の一人・不死身胴白龍が造り出した改造拳士・武器男(ブギーマン)の名前の元ネタ。
- ゴルフ:ボギーという用語は、「俺はブギーマン。つかまえられるもんなら、つかまえてみな。」という19世紀の流行歌の歌詞から、中々とれないスコアという意味で定着した。
- パワーパフガールズ:「暗いのコワい」に登場したゲスト悪役、光を弱点とする地下世界に住む闇の魔物達のボス、地上世界の支配を目論み、太陽の光を遮断してしまう程の巨大なミラーボールを開発し、永遠の夜の世界にしようとした。
- ジョン・ウィック:ブギーマンの異名で恐れられている。
- ニンジャスレイヤー:同名のキャラクターが登場する。→ブギーマン(ニンジャスレイヤー)
おり、更にブギーマンを殺す方とも言われている。
関連タグ
ドギーマン:一文字違いの全くの別物。