シリーズ全般についてはサイレントヒルシリーズを参照。
あらすじ
作家であるハリー・メイソンは休暇を利用して、娘のシェリルが行きたがっていた田舎の寂れた観光地「サイレントヒル」に向けて車を走らせていた。
道中で日が暮れ、すっかり暗くなった山道を走行中、とつぜん道路を横切った少女の姿に驚き、ハリーは運転を誤ってしまう。
気がつくとそこはサイレントヒル。季節はずれの雪が降り、観光地でありながら深い霧に包まれた町には人の気配が全くない。おまけに助手席にいたはずのシェリルの姿も消えていた。
ハリーはいなくなった娘を探すため、サイレントヒルの探索を開始する。
しかし、街はおぞましい怪物が徘徊する異界と化していた……
登場人物
本作の主人公。32歳の作家で妻は他界している。
シェリルにせがまれ、一緒にサイレントヒルを訪れた。
娘を強く愛しており、娘のためならば怪物の蠢く危険な町に分け入る事もいとわない。
ちなみに、ファミ通のガイドブックはカバーを外すとハリーの書いた本になるという、なかなか憎い装丁になっている。
ハリーの愛娘。父に連れられサイレントヒルへ向かう道中で姿を消し、
まるでハリーから逃げるように深い霧の中に消えていった。
彼女を救い出すことが本作の最終目的である。
サイレントヒルの隣町、ブラマ市から来た警察官。28歳の女性。
突如連絡が取れなくなったサイレントヒルの調査に訪れた。
危険な町の中に準備もなく立ち入ろうとするハリーを制止するが、
彼を止められないと悟ると、拳銃を貸し与えてくれる。
「まちがってもあたしを撃ったりしないでよ」
サイレントヒルの教会で出会う中年の女性。46歳。
年齢的にはまだ中年のはずだが、その姿は老婆のように老け込んでいる。
シェリル捜索には協力的な言動を見せるが、その言葉には疑わしい点も多い。
サイレントヒル市街の病院『アルケミラ病院』の院長。50歳。
異常事態に巻き込まれている割には、妙に落ち着いた態度を見せる。
だが……
アルケミラ病院に勤める美しい看護婦。21歳。
他の看護婦がクリーチャー化してしまった為か、かなり怯えている。
何故か、彼女とは「裏世界」でしか会う事が出来ないのだが……
ハリーの前に度々姿を現す謎の少女。
ダリアによれば、彼女こそがこの異常事態の原因だというが……?
どことなくシェリルに似ているようにも見えるが……?
登場クリーチャー
本作のクリーチャーは、ある人物が抱いた恐怖や悪夢が原型となっている。
その為、続編以降に比べて動物に近いデザインのものが多い。
グローナー
街を徘徊する野犬のようなクリーチャー。
まるで悪性の病に冒されたように全身の肌が荒れ、体毛が抜け落ちている。
顔面が触手状の蟲に覆われた強化型「ワームヘッド」も存在する。
エアスクリーマー
手下を呼び出す「サモナー」と呼ばれる大型種もいる。
ワームヘッドと同様の強化型「ナイトフラッター」も存在する。
マンブラー
ハリーがゲーム冒頭で遭遇したクリーチャー。
身体は小柄だが、巨大な爪で相手にしがみついて攻撃してくる。
当初のデザインが問題視され、変更されたことで有名(余談欄を参照)。
リンク先を参照。
ラーバルストーカー
小学校を徘徊する子供の影のようなクリーチャー。
攻撃してくることはなく、こちらから倒すことも出来ない無害な存在。しかし……
ロンパー
繁華街やリゾート・エリアで遭遇する、巨大な猿のようなクリーチャー。
飛び跳ねて近づき、ハリーを押し倒して攻撃する。
パペットナース
(画像左端)
肉塊のようなクリーチャーに寄生され、操られている看護婦。
シリーズにおけるナース型クリーチャーの先駆けだが、あまりセクシーさはない。オシャレさんなのか服装と髪型の異なる3パターンが存在する。
亜種として男性の医者が寄生された強化型「パペットドクター」が存在するほか、
ある人物に肉塊が寄生し、ボスキャラと化してしまうイベントも発生する。
ただし、ボス戦中にある特殊なアイテムを使えば肉塊を除去し、救うことも出来る。
ちなみにただでさえ影が薄いのにパペットドクターには公式の設定画が存在しない。(ファミ通のガイドブックのイラストは攻略本独自のもの)
ハングドスクラッチャー
下水道で遭遇する手足の長いカエルかイモリのようなクリーチャー。
その名の通り、天井から吊り下がって引き裂くように攻撃をしてくる。
下水道ではラジオの電波が届かないため、不意打ちに要注意。
スプリットヘッド
小学校の地下室に潜む巨大トカゲの如きボスクリーチャー。
名前の通り、顔面が縦半分に割れるという常軌を逸した形の顎を有する。
噛みつかれると即死するうえ絶大な耐久力を誇るが、弱点を狙えばたった2発で倒せる。
悪夢の主にとっては思い出深い存在らしく、続編にも似たクリーチャーが登場する。
ブラッドサッカー
病院で遭遇する触手状の吸血性の怪生物。
あらゆる攻撃の効かない無敵の存在だが、床に根を生やしているため接近しなければダメージを受けないが、そのすぐ上にはキーアイテムが……。
なお、最終世界では突然現れて即死させてくる。
ツインフィーラー
砂地を徘徊する芋虫のようなボスクリーチャー。武器は口から吐く毒液。
巨体に反し、素早く砂に潜ってしまうので地形を利用しないと攻撃が当てられない。
一定ダメージを与えると逃げるが、羽化した成虫フロートスティンガーと再戦することになる。
余談ながら、遭遇前に超小型版の姿を見ることができる。
二体いるラスボスの一体。淫魔という名前に反し、姿はバフォメットに似る。
偉大な神とも、下級の悪魔とも言われるが、邪悪で危険な存在である事には変わりない。
空中に浮遊しているので銃火器でしかダメージを与えられない。攻撃手段は雷撃。
ちなみに「もう一つの教会」の祭壇にその姿が描かれてたりする。
二体いるラスボスの一体。光輝く美しい少女のような姿の存在。
一見ただの人間にも見えるが、雷撃を放ってくるうえ、周囲を覆う結界で身を護っている。
誕生経緯ゆえ、このボスが現れるルートでは絶望的な展開にしかなり得ない。
世界観
スティーヴン・キング
本作はもともと「モダンホラー小説の大家であるスティーヴン・キングの小説をゲーム化しよう」という企画で話が進んでいたが、これが諸事情によって頓挫(詳細不明)。当初のコンセプトをなんとか活かす形で、オリジナルタイトルとして開発された。
こうした経緯の残滓とも言える要素が随所に残っており、なかでもキングの中編『霧』(映画『ミスト』の原作小説)の影響が本作の世界観に強く表れている。
加えて舞台はアメリカの田舎町、主人公は一般人、武器は田舎町でどうにか手に入りそうな物ばかりなのに、敵は得体の知れない異形の怪物たち……といった、キング作品の特徴的な要素がシリーズ全体に根付いている。
嫌悪感
本作はプレイヤーに嫌悪感を与えるために、身の毛もよだつグロテスクな怪物を跋扈させ、ノイズを多用した不協和音のようなBGMで耳を責め、妙に傾いたカメラワークで三半規管を攻撃するなど様々な工夫が施されている。
特に本作を象徴する要素である「裏世界」においてはその工夫が徹底している。
画面から臭い立つような嫌悪感がプレイヤーの精神をジワジワと蝕み、ゲームプレイの続行すら躊躇わせるほどの恐怖を抱かせるのだ。
不可思議
本作には不可思議(神秘的、超自然的、霊的、非科学的)な力が大きく関わっており、いわゆる「オカルト」の要素が強い。これらはプレイヤーを恐怖に陥れたり、困惑させたり、時には斜め上の角度から笑わせてくれたりすることもある。
誰もいないはずのトイレから音がしたり・・・
歩いて来た平坦な道が振り返ると深い谷になっていて、後戻り出来なくなったり・・・
死んだはずの人間から手紙が来たり・・・と様々な事が起きる。
あとUFOとか見える。マジで。
闇
全体的に暗い。ホラーゲームゆえの視覚的な暗さはもちろんのこと、登場人物の設定や物語の展開も陰鬱で陰惨で陰湿でとにかく暗い。明るいところがない。それらがプレイヤーの心理状態を重く冷たく圧迫していく。こんなゲームが人気シリーズとなるのだから、画面のこちら側の闇もまた然りである。
余談
視界の悪さ
とにかく視界が悪いこのゲーム。昼は霧で真っ白。夜は闇で真っ暗。どんなに目を凝らしても数メートル先までしか見えない。キング作品の影響や恐怖演出の仕掛けであると同時に、第1作開発当時の「遠景を描画出来ない」という技術的な問題への妥協策として導入されたものである。
敵デザインの変更
ザコ敵として登場する茶色い怪物「マンブラー」は肌色と設定されていたのだが、「子供のような外見の敵が登場し、殺せてしまう」という点が問題となり、CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)倫理委員会が3度に渡って却下。現在の形に修正された。
小さな影の怪物「ラーバルストーカー」もこの制作過程で生じたもので、相互に攻撃が不能ということでようやく通ったのである。
北米版では「グレイチャイルド」という容姿の違うクリーチャーが代わりに登場する。(マンブラー自体も下水道で登場する)
元々は日本版と欧・豪州版でもこちらが採用されるはずだったが差し替えられた。
北米版を原型とした映画版にもこの「グレイチャイルド」が登場している。
なお、「グレイチャイルド」は国内版でも実は意外な形で出演は果たしている。