概要
サイレントヒルシリーズの根幹に関わるキーパーソンの少女。
シリーズ第1作目の『サイレントヒル』では、サイレントヒルを訪れたハリー・メイソンの前に度々姿を現す謎の少女。
どこかハリーの娘であるシェリルに似ている。
※以下、全面にサイレントヒルシリーズに関するネタバレを含みます。
『サイレントヒル ゼロ』
フルネームはアレッサ・ギレスピー(Alessa Gillespie)。
よく誤記が見られるが、ギレスビーではなく、ギレスピーである。
生まれながらに不思議な力を持つ少女だが、その力のせいで周囲からは「魔女」と呼ばれ虐めを受けていた。
更には"神"の復活に全てを捧げる「教団」の幹部であり「聖女派」の司祭である母ダリア・ギレスピーからも壮絶な虐待を受けて育つ。
なお父親はダリアが酒場で働いていた際に肉体関係を持った男だが、娘を認知せず逃げたので私生児として育っている。
幼いながらも「教団」の異常さを察知しており、母には儀式をやめて質素でいいから共に暮らそうと訴えるなど、賢明で心優しい少女であった。
しかし7歳の時、ついに神をアレッサに宿らせ復活させようとするダリアによって儀式の贄(聖女)とされ、性別も判らなくなる程の大やけどを全身に負ってしまう。
精神体を使って、サイレントヒル出身のトラックドライバーであるトラヴィス・グレイディを導き、彼の助けを借りてなんとか"神"の復活を阻止。
そして未だ自身の胎内に残る"神"の成長を止めるため、「フラウロス」というアイテムの力を借りて自らの魂の半分を赤ん坊へと変え、遠くへ逃がした。
この赤ん坊こそが、後にメイソン夫妻に拾われて養女とされるシェリルである。
しかし「教団」により、自身の本体は大やけどを負ったままアルケミラ病院の地下に監禁されることとなる。
成長が止まっており未熟であるとはいえ、"神"を宿してしまったことによりアレッサはどれほど肉体的損傷を受けても死ねない状態となっていた。
「魂の半分」を取り返したいダリアは、アレッサを苦しめることでその半身を呼び戻そうと画策し、アレッサはこの後7年に渡って母から更なる虐待と拷問を受ける事となる。
『サイレントヒル』
前述の通り、主人公でありシェリルの養父であるハリー・メイソンの行く手に度々姿を現す。
シェリルの幸せを壊したくないという想いで、7年にも及ぶ母からの虐待・拷問に耐えていたが、ついに限界が来てしまいシェリルに助けを求めサイレントヒルに呼び寄せる。
シェリルと一体化したことで傷も癒え、「教団」の支配からも逃れたが、同時に"神"の成長が再び始まってしまう。
町や裏世界、そして自分もろとも"神"を消滅させるため、サイレントヒルの町に巨大なメトラトンの印章を形成するが、娘を助けたい気持ちをダリアに利用され騙されたハリーの妨害で失敗。ダリアによって捕らえられ、儀式は再び執り行われてしまう。
裏世界の最深部で"神"の未熟な母体へと変貌し、魔除け「アグラオフォティス」を浴びたことで不完全な"神"を早産してしまう。
だが、アレッサ=シェリルは"神"の力を抑え込み、ハリーは"神"を殺すことに成功する。その影響で彼女は滅びる運命にあったが、最後の力を使って自らの生まれ変わりを生み出しハリーに託した。
そして崩壊し炎に包まれる裏世界からハリーを守り、脱出させ、無事に彼が現実世界に生還したことを見届けた後、静かに息絶えた。
『サイレントヒル3』
アレッサは息を引き取ったものの、彼女の妄執はサイレントヒルの地に残留しており、自らの生まれ変わりであるヘザー・メイソンが遊園地("神"の消滅という悲願が阻止された因縁の深い土地)へ現れた際には、クリーチャー「メモリー・オブ・アレッサ」となって復活を遂げる。
アレッサはヘザーの姿を模倣し、ナイフ、ハンドガン、鉄パイプ、サブマシンガンと武器を持ち換えながら執拗にヘザーを襲撃。「自分と同じ苦しみを味わわせたくない」という優しさ故にヘザーを殺害しようとし、自らの輪廻転生を終わらせようとした。
「3」のストーリーでシェリルに固執しているクローディア・ウルフは、実は教団幹部の娘でありアレッサとは姉妹のようにして育った。そのため、彼女はアレッサの為に"神"を復活させようとしていた。しかし、シェリルとしての人生を歩み、ハリーを殺されたヘザー=アレッサはそれを拒絶する。
結果的に"神"はクローディアを母胎として誕生したが、生み出された"神"の姿はクローディアが理想とする通り、アレッサに酷似していた。
映画『SILENT HILL』
演 - ジョデル・フェルランド(Jodelle Ferland)
日本語吹替 - 中川翔子
ゲーム1作目『サイレントヒル』を原作としており、映画版でもダリア・ギレスピーの娘であり、父親の無い私生児であることも共通する。
しかし、ゲーム版とは異なりダリアは母親として娘をまっとうに愛していた。
小校では私生児というだけの理由でいじめられ、彼女が孤立した状況に目を付けた清掃員のコリンによって性的な虐待まで受けていたアレッサだが、ダリアの姉で教団指導者のクリスタベラは「罪を浄化する」と称してアレッサを教団の儀式に連れて行った。しかし、彼女が行おうとしていた「儀式」とは魔女狩りであり、アレッサは火あぶりにされてしまう。
身を焼き焦がされたアレッサの憎悪と絶望は奇跡を呼び、儀式の際に起きた事故で地下の炭鉱にまで火が点く大火災が発生。サイレントヒルの町そのものが封鎖される事態を引き起こす。奇跡的に生き延びていたアレッサはブルックヘイブン病院に収容されるが、終わらない苦痛と看護婦らから奇異の目を浴びる憎悪から、彼女の中から善の心と悪の心が分離。悪の心は悪魔ダーク・アレッサとしてサイレントヒルの異界を支配し、善の心はダ・シルバ夫妻によって引き取られ、養子シャロン・ダ・シルバとして育った。
しかし、シャロンの心は半身であるダーク・アレッサに惹かれ、ゲームと同様の経緯でサイレントヒルを訪れてしまう。ダーク・アレッサは救出しに来た義母ローズ・ダ・シルバに様々な試練を与え、シャロンの救出と教団の殲滅のため協力を持ちかけてくるのだが……
映画『SILENT HILL: Revelation 3D』
演 - エリン・ピット(幼少期の姿)
日本語吹替 - 釘宮理恵
ダーク・アレッサとして登場する。アレッサの全身を焼かれた苦しみや憎しみから生まれ、前作でクリスタベラ率いる「教団」を壊滅させた悪魔。
少女時代のアレッサの姿をしているが、真っ白な肌をしており全く生気がない。愛情を受けて育ったヘザー(シャロン)に嫉妬しており、現在のヘザーと酷似した姿に変貌して同化しようとする。
余談
- 『サイレントヒル3』に登場する教団の教会には「神の娘にして母」とされる聖人「聖アレッサの肖像」の絵画がある。
- 『メタルギアソリッド3』に登場する「グラーニニ・ゴルキー研究所」には、どういうわけか先述の絵画が置いてある。教団はアメリカの田舎町で崇拝される小規模な宗教団体のはずだが、ソビエト連邦にもその魔の手を伸ばしていたのだろうか……?