概要
『サイレントヒルシリーズ』の第4作目。ジャンルはホラーゲームおよびアドベンチャーゲーム。
これまでのシリーズでは「サイレントヒル」という町が舞台になっていたが、
本作は主人公のアパートの自室と、穴から侵入する異世界が舞台になっている。
その為、前作まで存在した市街探索要素は無くなっている。
また、アイテムの所持数制限や、殺害不可能な敵「ゴースト」の登場など、システム面に関わる変更もいくつか加えられている。
加えてラジオやUFOエンディングなどのシリーズお馴染み要素もオミットされた為、発売当時は評価を巡って賛否両論を呼ぶ作品ともなった。
あらすじ
とあるアパートに住む青年ヘンリー・タウンゼントは
ある日を境に悪夢を見るようになった。それと同時に
部屋から出られなくなっていた
ドアは頑丈な鎖で封じられて開かない。
窓は開ける事も割る事も出来ない。
壁は何をやっても壊れない。
どんな大声も騒音も、部屋の外には届かない。
電話さえ通じない。
不可思議な力によって日常から完全に隔離され、途方に暮れていた……
しかしそんな状態になってから5日目、浴室の壁に巨大な穴が開いた。
追いつめられていたヘンリーは、穴を通って部屋からの脱出を試みる。
しかし、穴を通った先には異常な世界が広がっていた……
主な登場人物
主要な人物
主人公。平凡な青年。年齢や職業などは情報が無いため不明だが、写真撮影が趣味のようだ。
サイレントヒルという土地とも本作で起きる事件ともまったく関わりが無く、何か特別な能力や生い立ちを秘めているわけでもない本当にただの普通の青年。
ヘンリーの隣人であり同じく普通の女性。本作のヒロイン的存在。ヘンリーとは隣人として顔と名前を知っているくらいの関係。
優しい性格だが、人に頼りがちなところもある。部屋に空いた小穴からは、彼女の私生活を覗き見る事も可能。
- 少年
異世界の中で、たびたびヘンリーの前に現れる。
素性も目的も不明。
突如ヘンリーの前に現れた謎の男性。通称“青いコートの男”。
執拗に追いかけてくるが、果たしてその目的とは…?
関連人物
穴を抜けた先で出会う、妖艶な雰囲気を持つ女性。
扇情的な言動でヘンリーを手玉に取ろうとする。
吃音(どもり)のひどいオカルトマニアの男。
教団について何か知っているようだが……。
中年太りの禿げた男。なにかに怯えている。
無類の酒好きで、水牢の監視員をしていた。
ヘンリーと同じアパートに住む男性。
短気な性格で、拳銃を所持している。
ヘンリーらの住むアパート「サウスアッシュフィールドハイツ」の管理人を務める老人。
『サイレントヒル』シリーズの第2作目『サイレントヒル2』の主人公ジェイムス・サンダーランドの父親。
ここから先、本編のネタバレを含みます。
クリーチャー
ウォルターが作り出した、異世界の生命体。ゴーストと違い、HPが尽きれば死ぬ。復活することもない。
- スニファードッグ
ヘンリーが最初に遭遇するクリーチャー。名は「麻薬探知犬」を意味する。
オスとメスがおり、嗅覚と聴覚が異常に発達している。オスメス共に血のニオイを嗅ぎつけてはその血を啜る習性がある。メスの方は顎も発達しており、一度噛みつかれれば、ほどくのは難しい。
- グリディーワーム
「強欲な芋虫」という意味の名を持つ芋虫型クリーチャー。
こちらには一切攻撃をしてこない上に、このクリーチャーを倒すことはできない。
通路をふさぐ障害物のような役割だが、何のために存在しているのかは不明である。
- ウォールマン(オールドタイプ)
壁と同化しており、近づくといきなり長いかぎ爪で襲い掛かってくる。
名前は「壁男」を意味し、壁のところからは一切移動はできないので、遠距離から攻撃すれば良い。
- ハマー
「ブンブンいう者」という意味の名の通り、羽を高速で羽ばたかせながら血を吸ってくる鳥型クリーチャー。鳥型だが、飛んでいる時の音はもはやハエそのものである。
耐久力は低く、叩き落すには一撃だけで済む。しかし、叩き落しからの踏みつぶしを忘れないように。
- ヴィクティム07+08(ツインヴィクティム)
ウォルターによって儀式を完遂させるために心臓を抜き取られ殺害された幼き双子の兄妹ビリー・ロケイン、ミリアム・ロケインの成れの果て。名前は「7人目と8人目の犠牲者」という意味。ウォルターに殺害されるも、ゴーストにならずクリーチャーとなってしまった稀有な存在。一説によれば、ウォルターの罪悪感からこのような姿になってしまったといわれる。偶に「reciever of(受信機)」と呟くこともある。
ヘンリーを見つけると二つの大きな顔と大きな指をこちらに向け、異常に発達した細長い両手で走りながらヘンリーに襲いかかる。因みに二度目の水牢のある場所では六体同時に相手することになる。
- レッドトリーマー、ブルートリーマー
それぞれ「赤い振動、青い振動」という意味の名前を持つ、ヒルのようなクリーチャー。
向こうから攻撃してくることはないが不用意に踏むとダメージを受ける。
- トードストゥール、ホワイトストゥール
湿った場所などに生息しているキノコ型のクリーチャー。名前の意味はそれぞれ「唐傘状の毒キノコ」、「白い毒キノコ」という意味を持つ。こちらも向こうから攻撃してくることはないが、ぶつかるとダメージを受ける。
- ガムヘッド(オールドタイプ)
名の意味は「ゴム頭」で、猿のような軽快な動きでこちらを翻弄させてくる人型クリーチャー。
奇声を発しながら集団で襲い掛かってくることもある。
筋肉が発達しており、攻撃力もそこそこ強い。一体だけでは大したことはないが、集団になると厄介な存在になる。
- ガムヘッド(ニュータイプ)
従来のガムヘッドに比べ知能が上がっており、ヘンリーの武器を奪って襲ってくることもある。
また、体力、攻撃力も飛躍的に向上している。
- ホイールチェア
悪霊が憑りついた車椅子で、その名の意味はズバリ「車椅子」である。攻撃こそしてこないが、ゴーストと同等か、それ以上の邪悪な思念を振りまいており、近寄っただけでダメージを受けてしまう。中には人影が映るという強力な個体も存在する。その正体はウォルターに殺された犠牲者の中でゴーストに成り損ねた者達の成れの果てであるらしい。
このクリーチャーはゴーストと同じく、一時的に動きは止められても絶対に倒すことはできない。
どちらかというと、ゴーストに近い存在かもしれない。
- ペイシャント
ウォルターの気まぐれで異世界の住人になった交通事故の若い被害者女性。ウォルターに内蔵をかきむしられた後、ヘンリーに襲いかかる。
名の意味は「患者」で点滴スタンドを振り回しながら攻撃してくる。こちらもガムヘッドと同じで集団で出くわすと厄介な存在である。
- ボトムズ
ウォルターの歪んだ家族(おそらく両親)への思いから生まれたクリーチャー。
人の体が上下逆さまになったような姿をしている。ヴィクティム07+08と同様に長い手と腕を動かしながらヘンリーに襲いかかる。名は「底」を意味する。
ヴィクティム07+08と同じような容姿をしているが、体力や攻撃力は断然こちらの方が上である。
- ウォールマン(ニュータイプ)
ウォールマンの別種であり、上位種である。天井から獲物を見つけると壁伝いに降りてきて巨大なかぎ爪で攻撃してくる。もちろん従来のウォールマンよりも体力、攻撃力は高くなっている。
- ダミー
作品中唯一の中ボスで、最終ステージの門番のような役割を持っているウォールマン(ニュータイプ)。
ダミーは1つの本体と11体のダミーで形成されており、本物を倒さない限り先へ進むことはできない。本物を見分けるには片っ端から殴っていき、本体を見つけるしかない。本体を攻撃すると他のダミーも仰け反るので、それで見分けることができる。
ゴースト(21の秘跡による犠牲者)
ウォルターによって異世界で殺害された人間達の成れの果て。邪悪な思念を振りまきながら異世界をさまよっている。ヴィクティムとは「犠牲者」を意味する。
こちらはクリーチャーと違い浮遊し、接近してきてプレーヤーを殴る、首を絞めるなどの攻撃をしてくるが
壁を貫通して追ってくる
接近されるだけでダメージを受ける
など、厄介な能力が備わっている。
そして極めつけにどんなにダメージを与えても倒すことが出来ない。
ダメージを与えて一時的にダウンさせて無力化する事は出来るが、存在を消す事は出来ないのだ。あるアイテムを使えば永遠に無力化させる事は出来るが、それには回数制限(5回)がある。これをどう運用するかがゲーム攻略の鍵となる。
第一の啓示
ヴィクティム01/ジミー・ストーン【十の心臓】
ヘンリーが最初に出会うゴーストで、スキンヘッドの男の姿をしている。最初の犠牲者でもある。
部屋の浸食度が進むと、ヘンリーの部屋にお邪魔することもある。
生前は聖母派・聖女派の対立を治めるためにヴァルティエル派を擁立してヴァルティエル派の司祭になった男性で、儀式の際に着用していた赤い三角頭巾をかぶっていることから周りには赤い悪魔と呼ばれていた。故に、サイレントヒル2に登場する処刑人こと赤い三角頭の正体はこのジミーだと思われる。ウォルターを術者に仕立て上げた張本人であり、21の秘跡の影の実行者。希望の家一階でウォルターに後頭部を撃ち抜かれ死亡した。遺品は経典の切れ端。後に心臓を抜かれてゴーストとなり、異世界を彷徨うことになる。
ヴィクティム02/ボビー・ランドルフ【十の心臓】
ジャスパーとセインの友人でオカルトマニアの男子高校生。アフリカ系の男性で太り気味の18歳。三人でサイレントヒルを観光中、教会でたまたま聞いた「悪魔」という存在に出会うため、三人でプレザントリバー大学へ向かうが、ウォルターに絞殺される。遺品はオカルト本。後に心臓を抜かれてホイールチェア化する。
ヴィクティム03/セイン・マーティン【十の心臓】
ジャスパーとボビーの友人でやはりオカルトマニアの男子高校生。細身の白人男性で18歳。ボビーが殺害された後、同じようにウォルターに絞殺される。遺品はカメラで、後に心臓を抜かれてホイールチェア化した。
ヴィクティム04/スティーブ・ガーランド【十の心臓】
建物乱立の世界に登場するペットショップ「ガーランド」を経営している中年の男性店長。非常に気性が荒く、怒りっぽい性格だったと言われている。以前、店に来たウォルター少年に商品であるペット(子猫)を傷つけられている。ウォルターによって胸以外をサブマシンガンで銃殺され、商品であるペット達と共に死亡した。その後は心臓を抜かれてゴーストと化し、武器でもあり遺品でもあるスコップを持ちながら彷徨っている。
ヴィクティム05/リック・アルバート【十の心臓】
建物乱立の世界に登場するスポーツ用具店「アルバートスポーツ」の店長。優しく男気のある性格で几帳面。因みに生前のウォルターはここでアルバイトをしていた。
スティーブ殺害の直後にウォルターにゴルフクラブで撲殺され死亡した。遺品はバレーボール。後に心臓を抜かれてホイールチェアと化した。
ヴィクティム06/ジョージ・ロステン【十の心臓】
ジミーの右腕で、彼と同じく、ヴァルティエル派の司祭であり、どうやら聖母を監視するヴァルティエル派であることから標的にされたらしい。ジミーにより聖母派の管理を任されていた人物で、同じくジミーの命令でウォルターを術者として育て上げ、儀式の遂行を円滑にするために無意識領域にヴァルティエルを忍び込ませた。よって、この事件の影の共犯者でもある。その後、希望の家地下祭壇室でウォルターに鉄パイプで撲殺された。遺品は経典。後に心臓を抜かれてホイールチェア化した。
ジミーにしろ、ジョージにしろ、自分が殺されることも計画の一部だったのだろうか?
ヴィクティム07/ビリー・ロケイン【十の心臓】
サイレントヒルに住むロケイン家の息子であり、サイレントヒルの学校に通う小学生。双子の妹であるミリアムととても仲が良く、いつも一緒に遊んでいたらしい。
ある日、自宅前で妹と遊んでいると、いきなり現れたウォルターに斧で撲殺されて死亡した。
死体は雨の気配に気付いて呼びにきた父親によって茂みの中から発見された。遺品は靴。後に心臓を抜かれクリーチャー化した。
ヴィクティム08/ミリアム・ロケイン【十の心臓】
サイレントヒルに住むロケイン家の娘であり、サイレントヒルの学校に通う小学生。双子の兄であるビリーととても仲が良く、いつも一緒に遊んでいたらしい。
ある日、自宅前で兄と遊んでいるといきなり現れたウォルターに斧で撲殺されて死亡した。
こちらはどうやら首が吹っ飛んだようで、死体には首がなかった。
因みに死体はビリーの死体に狼狽した母親により発見される。遺品は髪の毛。後に心臓を抜かれ異世界で兄ビリーと融合し、クリーチャーとなってしまった。
ヴィクティム09/ウィリアム・グレゴリー【十の心臓】
建物乱立の世界に登場する時計屋の老人の男性店長。生前は腕利きの時計職人だったといわれる。二度目の建物乱立の世界で彼が書いたと思われる日記を読むことができる。ある四つの思い出に浸っていたようである。
ウォルターにマイナスドライバーで喉を刺され死亡した。遺品はマイナスドライバー。
後に心臓を抜かれてホイールチェアと化す。
ヴィクティム10/エリック・ウォルシュ【十の心臓】
サウスアッシュフィールド通りにあるバーのバーテンダー。建物乱立の世界にも彼が生前働いていたバーが登場する。誕生日にウォルターに顔面を銃で撃ち抜かれて死亡した。遺品はビリヤードの白い手玉。後に心臓を抜かれてゴースト化した。
ヘンリーが最初に彼と出会うときにはもうすでに帰服の剣が刺さった状態になっており、封印されていたようだ。おそらく、生前のジョセフが封印したと考えられる。
第二の啓示
ヴィクティム11/ウォルター・サリバン【解放】
21の秘跡の犠牲者の一人でこの事件の黒幕でもある長髪のコート男。
生前は周りの人物達の話によれば穏やかな性格であったらしく、とても殺人をするような人物には見えなかったといわれる。
実はウォルターはヴァルティエル派の司祭であるジミーとジョージによって操られていた可能性があり、ジミーに命令されたジョージの手によりウォルターの無意識領域(無意識な心)に神を復活させようとするヴァルティエルを刷り込ませたと考えられる。
つまり、ウォルターはヴァルティエルに操られ、21の秘跡を行ったと言える。
ある日、ビリー、ミリアム兄妹殺害の罪で牢獄に収監されていたが、食事についてくるスプーンを喉に突き刺して自殺を図った。しかし、これは自殺などではなく肉体から解放され不死を手に入れるための儀式に過ぎなかったのである。因みに彼の肉体的な死後に10人殺害していたことが世間で明らかとなる。
十の心臓を捧げ、肉体の解放を行ったウォルターは自分の内面世界(異世界)を作り上げ、犠牲者をその世界に引きずり込み、そこで殺人を続けていた。しかしその中で母を純粋に求める自分と分裂してしまい、母を求める自分から解放されてしまった彼はただひたすら儀式を執り行うため殺人に手を染めていく殺人マシーンと化してしまう。
異世界でヘンリー達に襲いかかるウォルターは本物のウォルターではなく、いわばウォルターのゴースト体ともいえる存在である。彼の本体は異世界の最下層に位置する儀式の間に存在している。
彼の本体は、もはや人としての形をとどめておらず、自らのゴースト体にただ命令を下すだけの存在に成り果ててしまっている。
ヴィクティム12/ピーター・ウォールズ【虚無】
ニット帽をかぶっているジャンキーの高校生で、キマってないときは非常に小心者になる。ウォルターが肉体の解放という儀式を行った二年後に殺されることになる。彼は麻薬を吸い込んではハイになって自分が強くなった気になれることに喜びを感じるという非常に虚無な生活を送っていた。
サウスアッシュフィールド通りの裏路地で友人達と共にトビーから買った麻薬によりハイになっていたところ、突然「神様を見た!」という言葉を残して行方不明となり、半年が経ってからホテルサウスアッシュフィールドの客室でウォルターに殴殺された。遺品は麻薬のジョイント。後にゴーストと化し、異世界を放浪するハメになる。他のゴーストより少し体力が多い。
ヴィクティム13/シャロン・ブレイク【暗黒】
ある教団信者の老いた母親。教団に息子を返すよう直談判しに希望の家へ向かう途中で彼の墓を見つけ、彼が死亡してしまっていること知ってしまい、彼女の心はその瞬間、暗黒に包まれてしまった。そして失意に暮れているところをウォルターに水没させられ死亡した。ウォルターの肉体の解放から実に三年後の出来事であった。遺品は黒い帽子。後にゴーストとなり、いつまでも戻らない息子を探し回っている。
このシャロンの死体が発見されたころ、同時にピーターの死体も発見されている。
ゴーストの中でも老婆だからなのか、体力が低く、ゴーストの中では最弱である。
ヴィクティム14/トビー・アーチボルト【憂鬱】
元聖母派のヴァルティエル派の司祭でジミー・ストーン、ジョージ・ロステンと司祭達を続けさまにウォルターに殺され、その影響によって揺らぐ教団を見て憂鬱になったトビーは教団を立て直すためにマリファナの密売などで資金を得て希望の家を何とか運営していた。さらには市議会議員にまで上り詰めるが、後にメキシコの森の中でウォルターによって100mもの崖から突き落とされて死亡した。遺品は古びた絵本。後にゴーストと化し、ジミーと共に異世界を彷徨うことになる。よく見ると彼のゴーストは崖から突き落とされた時のものなのか、後頭部が血だらけである。因みにロリコンだったらしい。
ゴーストとしてはそこそこ強い部類に入る。
ヴィクティム15/ジョセフ・シュライバー【絶望】
ヘンリーがアパート「サウスアッシュフィールドハイツ」の302号室に住むようになる遥か前からこのアパートの302号室に住んでいたフリーの敏腕ジャーナリスト。黒いスーツを着ている。
独自に教団や希望の家を調査しており、希望の家に関しては彼が書いた希望の家に関する批判記事を読むことができる。
物語序盤、ヘンリーは彼の「赤の手紙」に従い、事件の真相を究明していくことになる。
生前はヘンリーと同じようにクリーチャーやゴースト達と戦い、調査していたが、事件の真相まであと一歩というところで力尽きて死亡してしまう。
彼の住んでいた部屋そのものが異世界に取り込まれ、やがて彼から希望は消え去り、絶望に支配されながら人生の幕を閉じる。
しかし、死しても尚、ヘンリーに赤の手紙で敵の対処法やゴーストの対処法を教えるなどして協力し続けた。いわばジョセフは影の功労者である。
彼の死体だけは異世界に取り込まれてしまった為、世間では行方不明扱いとなっている。
ヘンリー達が異世界の最下層の手前の世界である「過去の302号室」に辿り着いたとき、天井から上半身だけを出したゴーストの姿でヘンリーと直接出会う。ゴーストの中では唯一ヘンリーに味方するゴーストである。そして、自らの知っていること全てをヘンリーに教え、ウォルターを止めるにはもう彼を殺すしかないことをヘンリーに告げた。
第三の啓示
ヴィクティム16/シンシア・ベラスケス【誘惑】
ヘンリーが「地下鉄の世界」で出会った二十代後半から三十代前半くらいの女性。この異世界を自分の夢だと主張する。頑固な性格だが、男性に対しては妖艶な色気を醸し出して誘惑したりする。かつて、当時13歳だったシンシアは友人たちとサウスアッシュフィールド駅内を歩いている途中、そこで野宿する生前のウォルターに声をかけられる。その際にウォルターの「きれいな顔」に興味を抱くが、「10年以上前から見ていた」とウォルターが言ったことに気味悪さを感じ、怒鳴りつけた。この時ウォルターの恨みを買ったと考えられる。地下鉄でウォルターにナイフで滅多刺しにされ、遅れて駆け付けたヘンリーに看取られながら息絶えた。後に貞子の様なゴーストと化し、ヘンリーを苦しめた。
ゴーストとしては強力な部類に入り、髪の毛をヘンリーの体に絡ませ動きを封じたり、張ったまま高速移動したりもする。長い髪の毛の奥には窪んだ瞳と裂けた口がある。
ヴィクティム17/ジャスパー・ゲイン【起源】
ヘンリーが「森の世界」で出会うオカルトマニア。
吃音症のようなたどたどしい口調の三十代前半の男性。
かつて友人のボビーとセインと共にサイレントヒルへ観光に行ったが、そこで二人の友人をウォルターによって失う。その際にウォルターに殺されそうになるが間一髪のところで逃げだし、事なきを得たが、結局は殺されてしまう。
二人の友人を失ってから10年が経った時、彼は再び「悪魔」に興味を抱いて全ての起源となった「希望の家」を訪れる。
チョコレートミルクが好きらしく、ヘンリーがそれを渡すと、あるキーアイテムをくれる。
ヘンリーと共に希望の家に入ると、何故か急に焼身自殺をした。おそらくウォルターに操られたのだと考えられる。因みに彼の来ている服には1のラスボスであるインキュバスがプリントされている。
後にゴースト化し、全身に炎を纏いながら森の世界を彷徨っている。
ゴーストの中では最強の部類に入り、まともに戦えば必ず苦戦する。
銀の銃弾と帰服の剣で早い内に封印してしまった方が良い。
ヴィクティム18/アンドリュー・デサルヴォ【監視】
ヘンリーが「水牢の世界」で出会った肥満体型の中年男性。
教団が運営する孤児院「希望の家」の関連施設であるパノプティコンの水牢で雇われている、囚人の子供達を監視する監視員。
無類の酒好きで酒に酔ってはよく腹いせに水牢の子供達を虐待していた。その子供達の中には幼き頃のウォルターもおり、森の世界で書かれているウォルターの日記にはウォルター自身も暴力を振るってくる彼のことが嫌いと綴られていた。
酒好きな上に酒癖も悪く、機嫌が悪い時や酒に酔ってご機嫌な時も囚人の子供達を殴ったり蹴ったりしていた。
その為、水牢に囚われている子供達からも相当恨まれており、ある者は殺害計画を立てていたりもしていた。子供たちの間でついたあだ名は「デブオーガ」であった。「水牢の世界」で出会った当初は何故か独房に閉じ込められており、ヘンリーに助けを求めていた。そして、ヘンリーが独房の鍵を開けると、今度は幼きウォルター少年に恐れをなしてた。
ヘンリーにウォルター少年のことを告げるとどこかへ行ってしまう。
その後、ウォルターに拷問室で殺害され、後にゴーストと化した。
彼のゴーストは先へ進むためのキーアイテムを持っており、物語上、必ず帰服の剣を突き刺さなければならない。
攻撃手段は歌を歌ったり、回転しながら突撃したりと多彩である。
ヴィクティム19/リチャード・ブレインツリー【混沌】
ヘンリーが「建物乱立の世界」で出会った、スーツを着た中年男性。
一見紳士的だが、気に入らないことがあるとすぐにカッとなる性格の持ち主。
ヘンリーの住んでいる302号室の向かい側にある207号室に住んでおり、異世界に囚われたヘンリーの様子になぜか気付かなかった。アパートの住人達の間では、彼はちょっとした名物になっていたようだ。
リボルバーを携帯しており、異世界でクリーチャーと戦っていた模様。
後にこのリボルバーはリチャードの死後、ヘンリーの手に渡ることになる。
かつてまだ少年だったウォルターは希望の家から電車を使い、一時間ぐらいかけてアパート「サウスアッシュフィールドハイツ」の302号室に出入りしていた。そんなウォルターを見た若き日のリチャードは少年だったウォルターを怒鳴りつけ、アパートから追い出していた。
その為ウォルターから相当恨まれていたようである。
異世界でも少年のウォルターを見かけると、リボルバーで脅していたことから、21の秘跡に選ばれたと考えられる。
最期は電気椅子に座らされ、感電死した。
後にゴースト化し、ヘンリー達に奇怪な動きをしながら襲い掛かってくる。その様はまさに混沌(カオス)である。
手に持っているバールを振り回しながら攻撃したり、殴ったりしてくる。
また、ゴーストの中で唯一二足歩行するゴーストであり、壁抜けをしない代わりに瞬間移動をしてヘンリーのところへ来る。
感電死したことにより服がボロボロの状態のままヘンリー達の前に現れる。
最後の啓示
ヴィクティム20/アイリーン・ガルビン【母体】
ヘンリーの部屋の隣の部屋303号室に住む若い女性。
一度、殺人マシーンと化したウォルターに殺害されかかるも、少年ウォルターに救われている。
その後、異世界からの脱出の為、ヘンリーと行動を共にすることになる。
かつて幼い頃、母親と一緒にサウスアッシュフィールド駅を歩いていたところ、寝袋に包まっているウォルターが目に入る。彼女はウォルターに「なぜここにいるのか」「寒くないのか」など訊ね、孤独と寒さをしのげるようにと人形をあげた事があった。そのことをウォルターは人形をもらったことより、母親と一緒にいたアイリーンを羨ましがるような感じでヘンリーに話していた。
因みにその人形はウォルターが大切に持っていた結果、彼の負の力を吸い続けてしまったせいか、呪いの人形と化してしまっている。
21の秘跡は儀式により聖母(神)の復活を目指す「聖母派」によるものだが、前作に登場する「聖女派」関連のアレッサやヘザーのように、神を宿す母体に近い役割を担っていたのかもしれない。
ゴーストとしては出現しないが、エンディングによっては生存したり殺害されたりもする。
最終決戦の舞台となる儀式の間では、彼女が血の池に完全に入るまでにウォルターを倒さなければグッドエンディングを迎えることはできない。
グッドエンディングの場合はヘンリーとは友人のような間柄になり新しい部屋を探すことを提案していた。
ヴィクティム21/ヘンリー・タウンゼント【知恵】
本作の主人公である青年。寡黙で静かな性格だが、内に秘めた正義感は強い。
「絶望(ジョセフ)より知恵を受けし者」であり、21の秘跡の犠牲者候補の中では唯一術者に反旗を翻すことができる存在。ジョセフの影からの支援のもと、ウォルターの計画を阻止することになる。
部屋の浸食度が極端に進むと玄関の前で血だらけで立ちすくむ(ヴィクティム21化した)ヘンリーの幻影をドアスコープ越しに見ることができる。
これは部屋自体がもう異世界と同化しかかっており、ヘンリーに未来の自分を見せられるほど強力になったことが暗示されているのである。
彼もゴーストとしては登場しないが、エンディングによっては21の秘跡が完成してしまう。
逆にグッドエンディングでは、無事、ウォルターを倒し、アイリーンと共にアパートから脱出するという結末も迎えることができる。そして入院しているアイリーンのお見舞いに来ていた。
関連イラスト
関連リンク
SILENT HILL PORTAL SITE – サイレントヒル公式サイト