この記事のメイン画像は、デザインを担当した伊藤暢達氏ご本人が描いたイラストである。
概要
三角頭(さんかくあたま / Pyramid head)は、コナミの『サイレントヒルシリーズ』に登場する人型のクリーチャー。
一部ファンからは「三角様」と呼称される。
初出は「サイレントヒル2」であり「2」の個体はその特性上その他のシリーズ作品には出ていないが、『サイレントヒル』シリーズを代表する人気の高いクリーチャーであるため、後続作品や映画版にも名や設定を変えて登場している。
すべて別個体となっているが、「罪」「暴力」「懺悔」などのキーワードを基に現れることが多い。
共通する大まかな特徴は、ピラミッドを彷彿とさせる角錐状の赤い金属でできた兜のようなものを被った、異様な姿のクリチャーであるということ。
大鉈や長槍など巨大な武器を持っており、それらを引きずるようにぎこちなく歩く。
「サイレントヒル2」における三角頭
レッドピラミッドシングと呼ばれる三角頭。
他の三角頭に比べて体格が細く、シンプルな角錐状の赤い兜を被り、基本的には人の身長ほどもありそうな大鉈を携えている。
その他の大半のクリーチャーが全裸なのに対し、袖を排除したトレンチコートのような形状の白い衣装を纏い、黒い長靴と白いゴム手袋を着用している。
動きこそ鈍いが力が強く、大鉈による即死攻撃や、ゲーム終盤では長槍に持ち替え連続攻撃を仕掛けてくる。
兜は銃弾を弾き返すほど強固なうえ、肉体も異常なほど頑強で、基本的に不死身。
ある理由から、主人公のジェイムスの命を執拗に狙う。
また、ジェイムスの亡き妻・メアリーに瓜二つなヒロイン・マリアや、他のクリーチャーをも虐殺する凶暴性と嗜虐性を有し、ジェイムスにそれを見せつけ、精神的にも彼を苦しめる。(ライイングフィギュアやマネキンといった他のクリーチャーを殺害する様子は、まるでレイプしているようにも見える。)
なおクリーチャーに対し殺意を露にする様子はジェイムスが初めてクリーチャーと遭遇した時の様子と重なる。(ジェイムスはクリーチャーと初遭遇したとき、わざわざ木材をバリケードから引き剥がし、明確な殺意を示していた。)
その姿はサイレントヒルに古くから伝わる「処刑人」の姿に酷似している。
サイレントヒルのレンデル・ストリート沿いにある廃歴史資料館には『霧の日、裁きの後』という絵画が存在しており、そこには多角錐の大きな被り物を被った袖を排除したトレンチコートのような形状の白い衣装を纏い、槍を手にした処刑人が描かれている。
正体
その正体は、ジェイムスの自罰意識が、かつての処刑人の姿を借りて具現化した存在である。
第一作「サイレントヒル」にて、アレッサと融合した「神」が異世界を生み出した結果、元々神秘的な力があったサイレントヒルの土地は変貌。「心に深い傷を負った罪人」を呼び寄せ、彼らの現実逃避に力を貸し、記憶を奪い、彼らの内面世界を具現化するようになってしまっていた。
不治の難病に苦しむ妻メアリーを自らの手で殺害した「罪」を背負うジェイムスの「現実逃避」の産物こそ、このレッドピラミッドシングであり、マリアであった。
マリアは「ジェイムスにとって最も都合の良いメアリー」であるのに対し、レッドピラミッドシングは「現実逃避をするジェイムスを裁く、心の中にいるもう一人のジェイムス」である。
つまり、ジェイムスにとって鏡の向こうの虚像のような存在であり、「サイレントヒル2」の最大のテーマである「自分と向き合う」ということを端的に表現したキャラクターと言える。
マリアやクリーチャーを何度も虐殺するのは、ジェイムスの「妻殺し」や秘められた暴力性、発散できなかった性欲を表している。ジェイムスにそれを見せつけ精神的に苦しめるのは、この存在が罰の象徴であることのヒントとなっている。
また、武器「大鉈」は後にジェイムスが入手することになるものと組み合わせると、巨大なハサミになる。これもレッドピラミッドシングがもう一人のジェイムスであることを示している。
声や体格も、実はジェイムスと同じもの。後の作品と比べて体格が細いという前述の説明はこれが理由。
アパートでの最初のボス戦終了後、水の中に撤退してゆくのは、ジェイムスの結末のひとつを暗示していると推測できる。
最後はとある理由で二体に増え、全てを思い出したジェイムスの前に立ちはだかる。
しかし、ジェイムスから「もういらない」と告げられ、おびえた様に後退り、そして初めてジェイムスの攻撃に怯むようになる。
交戦の末、最後は自らの喉に槍を突き刺し、オブジェの如く直立した死体となった。
こうしてレッドピラミッドシングは役目を終えた。
なお、最後に自害するのも、ジェイムスの結末のひとつを暗示している。
映画「SILENT HILL」における三角頭
レッドピラミッドと呼ばれる三角頭。
3メートル程の長身で、「2」のレッドピラミッドシングよりもかなり屈強な体格をしており、巨大な大剣を振り回し、鉄パイプをも簡単に捻じ曲げる怪力を誇る。
頭部に被った角錐兜も「2」に比べて装飾が多く一部がメッシュ状となっている。上半身は裸、下半身には人間の皮膚を剥ぎ取り繋ぎ合わせたものを纏い(お尻が見えている)、クリーパーという虫クリーチャーを大量に引き連れる。
教団の人間に対して強い殺意を抱いており、その怪力と大鉈で容赦なく襲い掛かる。人の皮を服を脱がすように力ずくで剥ぎ取るシーンが有名。
三角頭といえばこの「レッドピラミッド」の姿を思い浮かべる人も多く、筋骨隆々なイメージはこの映画から来ている。
映画続編の「SILENT HILL:Revelation 3D」にも登場し、なんとアレッサを苦しめた教団関係者を処刑する死刑執行人であり、アレッサの守護騎士であった…という設定が明らかになった。(なお続編は1作目の監督が方向性の違いを理由に降板しているため、最初からこの設定だった可能性は低い。)
「サイレントヒル:ホームカミング」における三角頭
ブギーマンと呼ばれる三角頭。
映画1作目の三角頭(レッドピラミッド)の影響をモロに受けていてデザインが酷似しており、軍用コンバットナイフのような形の大鉈を振り回す。
本作ではイベントシーンで登場するのみで、主人公のアレックスと直接対峙することは無いが、これは今作のブギーマンがアレックスの父・アダムによる息子への懺悔の念の具現化であるためである。
ただし、分岐によってはアレックスがブギーマンにされてしまうエンディングが存在する。
「サイレントヒル・アーケード」における三角頭
正体は"現在"の少女エミリーが幼い頃に出会い、その際に母親を殺した強盗のメタファー。
二度戦闘することになり、初登場時はトルーカ湖近辺のブラックヘイブン病院、廊下でエミリーを発見し追いかけようとすると突如遊覧船の汽笛が鳴り、遊覧船内部のエンジンルームと思しき異空間に飛ばされ、そこで戦闘になる。
弱点は胸だが、兜が胸をチラチラと遮っていて、狙っても弾かれうまく当てられない。
鉄の扉を閉め閂をかけても隙間に無理矢理大鉈をねじ込んで引きちぎってくる等、まさに強盗の様なパワープレイが多い。
道中仲間の一人であるジェシーがお馴染みのお供であるクリーパーに足を取られ捕まってしまうが、その際ダメージが足りないとぶん投げて壁に叩きつけ殺害、うまく気を逸らされるとその場に放り捨ててからコチラに向かってくる。(精子のメタファーとして使われるクリーパーが居る、ということは恐らくエミリーの母親は殺害前、あるいは後にレイプされている。)
その後、一定期間生存すると戦闘終了で、主人公達に目掛けて大鉈を振り下ろした瞬間汽笛が鳴り、間近で止まった大鉈は錆びた換気扇に変化する。
ストーリー後半、エミリーの深層心理内の自宅にて最後の決戦となり体力を削り切ると仰け反って動きを止め消失、以降ストーリーには出番がない。
何故エミリーが処刑人である彼を創造したのかは不明だが、道中通るエミリーの実家が経営している美術館に例の絵が飾られているため、それに対する恐怖か、母親を奪った強盗への断罪願望と強盗への恐怖が折り重なった結果現れたものと推察される。
しかし、ノーマル、或いはグッドED後初登場したエンジンルームのような場所で佇む彼がゆっくりとこちらに振り向き、世界が反転する際の演出で消える謎めいた幕引きが挿入される。そのため今作における彼は倒せていない。
処刑すべき罪人が存在しない故か、或いは主人公達が代わりに役目を遂行した(2の刑務所で読める書物にある「湖に潜む亡霊」と、「それに囚われた"過去"の少女、ハンナ」が今回の黒幕、本来はそちらを処刑しようとしていた?)故か、その詳細はアーケードがレールシューティングである以上、探索要素が薄く、見られる資料等が少ない為あまり明らかになっていない。
「サイレントヒル:ブックオブメモリーズ」における三角頭
ピラミッドヘッドと呼ばれるが、外見は「2」のレッドピラミッドシングに酷似する。
更に巨大な大鉈を所持しており、非常に強力な攻撃を繰り出してくる。耐久力も高い。また、複数体存在する。
関係するクリーチャー、人物
ヴァルティエル(サイレントヒル3)
従者を意味する「Valet」+神の御使い「el」がその名の由来であるとおり、教団の信仰する「神」の従者であり、「聖女」を監視する天使。
輪廻転生を司り、その象徴であるバルブのハンドルを回し続けている。
頭部以外の外見がレッドピラミッドシングに酷似しているが、そもそもレッドピラミッドシングの元となった「処刑人」の装束がヴァルティエルを基としているためである。
ブッチャー(サイレントヒルゼロ)
肉屋らしいエプロン・黒い長靴・ゴム手袋を身に着けた大柄のクリーチャー。巨大なクリーバー(包丁の一種)を所持している。
主人公トラヴィスの内に潜む残虐性が具現化したものであり、その姿はどことなく「2」のレッドピラミッドシングに似ている。
Белый охотник《ベールイィオホートニク》(サイレントヒルゼロ)
サウンドトラックに付属する短編漫画に登場する別世界の三角頭。ロシア語で「白い狩人」を意味する。
兜が白く、長大な火器を携行している。
ジミー・ストーン(サイレントヒル4:ザ・ルーム)
教団のヴァルティエル派の司祭であり、儀式の際に赤い三角頭巾を着用していたことから「赤い悪魔」と呼ばれていた。
サイレントヒル2に登場し、ジェイムスが見た絵画『霧の日、裁きの後』の処刑人の正体はこのジミーだと思われる。
ウォルター・サリバンの無意識下にヴァルティエルを宿らせ、洗脳し、儀式のためなら大量殺人すら厭わない術者に仕立て上げた張本人でもある。
生前のウォルターは錯乱した様子で「あいつは俺を殺そうとしている。裁こうとしている。赤い悪魔だ、怪物だ。許してくれ。やったのは俺だけど、俺じゃないんだ!」と知人に漏らしていた。
外部出演
『モンスター烈伝 オレカバトル』
あろうことか、本来子供向けであるアーケードカードゲーム『モンスター烈伝 オレカバトル』へのゲスト出演を果たしてしまった。
2013年9/14より解禁の第6章における登場で、属性は土で種族は悪魔、EX技は処刑執行。どう考えてもユーザーの年齢層が噛み合わないチョイスだが大丈夫かコナミ。
その異様な見た目など、原典を知らずにプレイしたお子様にトラウマを植え付けることは必至…と思われる。しかも三角頭戦BGMはBetrayalのままである。
実際にプレイしてみると分かるが、本当に異彩を放っている。大きなお友達は原典を知っているとトラウマを刺激されるかもしれない。
しかし、これがまたただのネタとは言いがたい。実際に使うと、これが専用技の威力や性能自体に目を見張るものがあり、原典通り鈍足ではあるがとても優秀なモンスターとなってしまっている。
なにより、彼の回避技【ホワイトミスト】は、昨今の対戦環境で猛威を振るう【七十二変化の術】にも対応できるとのこと。
さらに、2015年の新6章解禁以降、彼も他のコラボ曲持ちのキャラクターと同じくパワーアップアイテムを用意される優遇っぷり。しかもその効果が体力アップに、専用攻撃【断罪】、EX、超EXの威力を上げるという、こいつの性能を最大限に活かせる効果である。
(他のコラボのパワーアップアイテムは攻撃力アップだけ。ただし、後に別の強化アイテムにより、新専用技を得たコラボモンスターもいる。)
回避技は昨今の対戦で猛威を振るう技に対応、攻撃技にも磨きがかかり、こうなるとネタモンスターどころかガチモンスターと言わざるをえない。
しかし、その新6章にて新たなネタが発生。新6章にて追加されたモンスターに『イシス』というモンスターがいるのだが、そのボス戦のお供にまさかのこいつが選ばれてしまったのだ。
確かにイシスの元ネタはピラミッドに関係するのだが、ピラミッド違いもいいところである。
しかし、こちらもまたただネタで選ばれたにしては、イシスの回復・復活効果とこいつの攻撃技・回避技両方で非常に相性が良すぎる。まさにガチ編成である。
どうしたコナミ、推しすぎではないか…?
『スーパーボンバーマンR』
さらにさらに、スーパーボンバーマンRにまで現れてしまった。
この作品のこいつは、一応ボンバーマンらしいので爆弾を使う。
しかもサイレントヒル星という惑星からきたという設定でバブルヘッドナースも一緒という……。
なんでロビー君を差し置いてあんたらが出てくるんだ。
『Dead by Daylight』
非対称型対戦ゲーム「Dead by Daylight」の4周年記念にシェリル・メイソンと一緒にゲスト参戦。
キラー名義は「THE EXECUTIONER(エクセキューショナー)」であり、処刑人の意。
コラボ発表当日の盛り上がりはすさまじく、X(Twitter)のトレンドに「サイレントヒル」の名前があがったほど。
詳しくはTHE EXECUTIONERの頁で。
もはや、(色んな意味で)いじられキャラになってますね、あなた……。
関連イラスト
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Белый_охотник THEEXECUTIONER 異形頭