概要
日本の各地で伝承される神隠しを行う怪異の総称。
神と名前が付くが、ここでの「神」は一般に信仰される神の部類ではなく、貧乏神や疫病神に代表される人に危害を加える妖怪の事を指す。
起源に関しては諸説あるが、こうした妖怪達の伝承が生み出された明治時代以前の日本では人さらいや身売りなどの女子供が家庭からいなくなる出来事が当たり前だったり、聞き分けのない子供をしつけるために架空の存在を作り出したなどの背景が要因として考えられる。
隠し神の一例
- 油取り
- 東北地方で伝承される妖怪で、子供を好んで誘拐し、携えたハサミでその子から油を取るという悪趣味な性質を持つ。
- 鳥取県でも同様の怪異「子取りぞ」の伝承が存在し、こちらは南京皿の素材として子供の油を狙っているという。目的が明確な分、余計に悪趣味さが際立っている。
- 叺親父(かますおやじ)
- 青森県に伝わる。ここでいう「かます」というのはいわゆるバラクーダの事ではなく、藁で作った袋の事を言い、子供をこの袋に閉じ込めて誘拐するという。
- 隠れ婆
- 兵庫県に伝わる夕暮れ時に子供を攫う老婆。
- 名前の「隠れ」には神隠しの他に、死角に隠れるという意味も含まれており、物陰などの死角から襲ってくるとされる。
- 夜道怪
- 埼玉県に伝わる落ちぶれた僧侶の成れの果てとされる妖怪。詳しくは該当項目参照。
- 四時婆
- 学校の怪談に伝わる老婆の妖怪。悪事の一つに子供を異次元に攫うといったものが挙げられている。
- 八尺様
- 魅入った人間を攫うのではなく、取り憑いて殺してしまう都市伝説上の妖怪。しかしながら、子供をターゲットにする事が多いため、性質は隠し神に近いと言える。
- 山姥/天狗
- 山は古くから神聖な場所や一種の異界と見なされていた領域であり、そんな場所を陣取る彼らもまた、隠し神としての性質を持つ。山は子供が遊ぶには危険が多い場所という事もあり、これもまたブギーマン的な性質を備えているのだろう。
- 尤も、橋や便所、四つ辻など「異界」と繋がっているとされる場所は至る所に存在し、日が沈めば見知った景色も暗闇が支配する空間に様変わりする為、山のような非日常の世界でなくとも、常にこうした人さらいの恐怖とは隣り合わせだったわけで、だからこそこうした隠し神の伝承が各地に存在するのだろう。
関連タグ
妖怪 誘拐 神隠し 夕方
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