夜道怪
やどうかい
埼玉県の秩父郡や比企郡小川町などに伝わる。何者かが子供を連れ去るといわれたもので、宿かいやヤドウケとも称される。
子供を攫う名人のような妖怪として伝承され、秩父では子供が行方不明になることを「夜道怪に捕らえられた」とか「隠れ座頭に連れて行かれた」という。
柳田國男の著書によると、夜道怪の正体は妖怪などではない人間で、中世に諸国を修行して旅していた法師・高野聖のこととされている。彼らが一晩の宿を借りようと「宿ぅ貸ーっ!」と叫ぶ、その声が妖怪の名の元になったという。
というのは、修行中の法師とはいえ、土地の人間からすれば得体の知れない流れ者であり、何をされるかわからないという恐怖感があったからである。スレた高野聖の中には、歓待しなければ法力をふるって懲らしめる、などと脅すものも出るようになったためなおさらだった。こうなると僧なのか集りなのかわかったものではない。「高野聖に宿貸すな、娘取られて恥かくな」という言葉も生まれたほどである。
中には高野聖を装った本物の夜盗もいたため、下手に信用して宿を貸したら、一家丸ごと惨殺されて何もかも奪われるというリアルな危険も伴っていた。
そのため、高野聖に関わらないよう平素から戒める心得が、いつか妖怪を指すものと考えられるようになった、と考えられている。
ゲゲゲの鬼太郎では
声:中田譲治
第5期の第52話「恐怖!夜道怪」にて登場。
渡世人のような口調で話し、闇を自在に操る法力や変身術を得意としている。毛針を荷物でガードしたりと素の戦闘力も高い。
水木しげるの妖怪画に準じて人型だが、素顔は梅干しのように赤く皺だらけであり、笑った際の顔は恐ろしげ(容姿を端的に述べると天秤座の童虎を恐ろしくした感じといえばわかりやすいか)。
塾での成績に伸び悩む光一少年に宿を貸して欲しいと付きまとい、渋々彼が泊めるとその礼として「成績の順位」を上げるという彼の望みを「学習塾の成績上位者を闇に葬る」という歪んだ形で叶えた。
途中、出くわした鬼太郎を得意の法力で苦戦させるが、ネコネコ便の仕事で各地を回っていたねこ娘の乱入で鬼太郎を闇に葬る事に失敗した。
今度は光一の友達である真紀を闇に葬ろうとし、怯えて教室に引き返してきた光一の無責任な返答に「恩を仇で返された」と激昂(とはいえ、宿を借りる時といい、お礼として願いを叶える時といい、この妖怪の強引な性格にも原因があるのだが…)。
鬼太郎との再戦ではつるべ火で一帯の闇を消されて不利になったかと思えば、つるべ火によって映し出された自分の影を利用して鬼太郎ファミリーを退場させる。これに対して鬼太郎は闇に隠れるという特性を逆手に取り、暗闇の中でねずみ男の屁を直撃させる作戦を決行。悶絶した所に指鉄砲を食らって降参。子供達を解放した。
その後も妖怪四十七士の埼玉県代表として第100話や劇場版で鬼太郎のピンチを救っている。
ゲーム『ゆる~いゲゲゲの妖怪ドタバタ大戦争』でもこのシーズンのデザインに準じて出演している。