※以下、漫画『僕のヒーローアカデミア』第393話及び、アニメ第158話の重大なネタバレを含みます。
「構造が違う!!」
「おまえ達が言う祝福も喜びも 私は何も感じない!!」
「そっちの尺度(ルール)で 私を可哀想な人間にするな!!」
概要
トゥワイスの血を摂取したことにより、個性『二倍』による『哀れな死の行進(サッドマンズデスパレード)』で無限増殖を続けるトガヒミコに、ヒーロー達は為す術も無く身動きを封じられていく。
しかしそんな中、『ウラビティ』こと麗日お茶子は、トガの本体を見つけ出し、懸命に声をかけ続ける。
「去年の夏からの短い付き合いだけど 私けっこう考え変わったよ!」
「遅いって言ったでしょ」
「遅くてごめん!でも…見つけられた!」
「…うるさい」
「あなたは泣いてた…!!きっと―――トゥワイスに出来る事が出来なくて なり切れなくて…!!」
お茶子は続ける。「『フロッピー』こと蛙吹梅雨は『ヒミコちゃんの"好き"に死柄木達は当てはまらないから彼等の"個性"が使えないのかも』と推測していたが、トガの涙を見て分かった気がする」と、
「殺意が混ざって 今は純粋な"好き"だけじゃないから…!」
その言葉を聞いたトガは激昂しながら本来の姿を現す。
「何一つ不自由なんてなかったくせに」
「ルールに合ってただけのくせに!!」
「生きやすく産まれただけのくせに!!」
トガの脳裏に浮かぶのは、既に死体と化して家の庭に落ちていた雀の血を吸っているところをトガが雀を殺したと誤解して自身を殴りつける両親、社会の『普通』を押し付けて『矯正』という名の抑圧を行う個性カウンセリング、自分と周囲が違う事へのトガ自身の疑問に対して「人間じゃない」等の心無い言葉で自身を迫害する両親と他人、そして最後にかつてキュリオスに言われた言葉。
増殖を続ける分身は、蛙吹や耳郎の飛び散る血を摂取して彼女達に変身する。
蛙吹もトガに、お茶子の話を少しでいいから聞いてもらうよう説得を試みるが、トガは上記の言葉を言い放ちながらお茶子の腹をナイフで突き刺してしまう。
思い出されるのはかつてのヴィラン連合の仲間との会話。また生きていた頃のトゥワイスに、「トガちゃんって、敵(ヴィラン)名」つけねえの?と問われ、「つけよーぜ」と言われても、メンバーから(中には作品的に明らかにアウトなのも混ざった)候補を挙げられても頑なに顔を背けて拒むトガ。その会話を聞いていた荼毘と死柄木の言葉を聞いて(荼毘に関してはMr.コンプレス曰く『"荼毘"が言うなよ』)椅子から飛び跳ねて「だから連合入ったの!」と大喜びするトガは満面の笑顔で振り返る。
「私は トガヒミコとして生きるのです」
口から血を吐きながらも、「同情なんかじゃ…ない…!」と返し、トガに触れるお茶子。
トガはお茶子を蹴り飛ばし睨みつけると、再びお茶子と言葉を交わす。
結局自分たちは檻に入れて死刑、でなければトゥワイスのように殺すだけだと言い放つトガ。
勝つか負けるか・生きるか死ぬかの生存競争だと叫ぶトガを前に、お茶子は「お互い"当たり前"だ」と返答する。
お茶子の言動が同情ではないのなら、それはただのエゴだと断じたトガは、「我々は大勢であるがゆえに(サッドマンズレギオン)」を発動して言い放った。
「互いにそうなら──── 死ねよ ヒーロー」
上空からそれを見ていたレポーターは震えた声で口をついた。
「世界は 少女たった一人の気持ちで 変えられてしまう…!!」
トガの放った「我々は大勢であるがゆえに(サッドマンズレギオン)」を、ガンヘッドマーシャルアーツと個性を使い浮かせていくお茶子に、トガはなんのダメージもないと言うが、お茶子はそんなトガの言葉を肯定し、「ゼログラビティ」は人を傷つける為の力ではないと言い放つ。
全面戦争時にトガを否定したことを「あれも"私"!」と認めつつも、自分の話を聞くように呼びかけるお茶子。
林間合宿で初めて会った時は怖かったと、あの状況で何故あんなにも純粋に笑えるのかわからなかったとお茶子はトガに告げる。
「好きなものを好きと言う あなたの顔は」
「羨ましいくらいに 素敵な笑顔だと思うから」
トガの脳に根付いたような両親の言葉とは、正反対のお茶子の言葉に思わず涙を浮かべるトガ。
「私はあなたの笑顔を見なかった事にはしたくない!!」と叫んだお茶子は、再び個性を発動させた。
なおも涙を溢れさせるトガに、「罪をなかった事にはできない」、「貴女の全ては肯定できない」と続けたお茶子は、声を枯らして叫び続ける。
「血なんて一生くれてやる!」
「あなたと恋バナがしたいの ヒミコちゃん!!」
その時2人の眼の前に浮かんだ光景は、涙を流す幼少期のトガの前で、袖を捲り上げた腕を差し出す幼少期のお茶子だった。
大量の出血によって死に瀕したことで自身の"個性"が覚醒し、その"個性"を自身に止めを刺そうと迫り来るトガに対して「敵対する異常者としてのヴィラン」ではなく同じ目線を持った一人の人間として向き合う為に行使、 直接触れていなくても増殖していく大量の分身体と周囲のヒーローを宙へと浮かばせて無力化し、トガ本体と接触、自身のヒーローを目指した理由と人生を歩んでいく中で自身と家族だけでなく他者が存在することを知り、出久が好きになったことと遅くなったけれどトガに触れたいという気持ちをぶつけた末に、トガは自身の身の上に起きた今までの経緯について語りだす。
対話の中で、お茶子はトガの過去から現在に至るまでの全ての思いを受け止め、笑みを浮かべて「カァイイ(可愛い)?」と問いかけるトガに対して「世界一」と答える。
肉親からすら迫害され絶望していたトガは唯一の理解者を得た事で戦意を喪失、同時に時間制限によりトゥワイスの倍化能力も消滅して戦闘は終結する。