概要
『僕のヒーローアカデミア』のトガヒミコと麗日お茶子のカップリング。
2人は緑谷出久を巡り衝突することになる。
以下、スクロールした先にネタバレ注意 |
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激突する「少女たちのエゴ」
190話にて、「変身」の個性を使用し大量のトゥワイスへと変貌を遂げたトガヒミコ。
「哀れな死の行進(サッドマンズデスパレード)」を発動したトガトゥワイス達に、戦場にいる者たちは次々と身動きを封じられていった。
そんな中、たった1人、それでもなおトガに声をかけ続ける少女がいた。
お茶子の言葉を聞いたトガは声を荒げ、お茶子の腹部を深く刺した。
「おまえ達が言う祝福も喜びも 私は何も感じない!」
「そっちの尺度(ルール)で 私を可哀想な人間にするな!!」
口から血を吐きながらも、「同情なんかじゃ…ない…!」と返し、トガに触れるお茶子。
トガはお茶子を蹴り飛ばし睨みつけると、再びお茶子と言葉を交わす。
結局自分たちは檻に入れて死刑、でなければトゥワイスのように殺すだけだと言い放つトガ。
勝つか負けるか・生きるか死ぬかの生存競争だと叫ぶトガを前に、お茶子は「お互い”当たり前”だ」と返答する。
お茶子の言動が同情ではないのなら、それはただのエゴだと断じたトガは、「我々は大勢であるがゆえに(サッドマンズレギオン)」を発動して言い放った。
「互いにそうなら──── 死ねよ ヒーロー」
上空からそれを見ていたレポーターは震えた声で口をついた。
「世界は 少女たった一人の気持ちで 変えられてしまう…!!」
トガの放った「我々は大勢であるがゆえに(サッドマンズレギオン)」を、ガンヘッドマーシャルアーツと個性を使い浮かせていくお茶子に、トガはなんのダメージもないと言うが、お茶子はそんなトガの言葉を肯定し、「ゼログラビティ」は人を傷つける為の力ではないと言い放つ。
全面戦争時にトガを否定したことを「あれも”私”!」と認めつつも、自分の話を聞くように呼びかけるお茶子。
林間合宿で初めて会った時は怖かったと、あの状況で何故あんなにも純粋に笑えるのかわからなかったとお茶子はトガに告げる。
「好きなものを好きと言う あなたの顔は」
「羨ましいくらいに 素敵な笑顔だと思うから」
トガの脳に根付いたような両親の言葉とは、正反対のお茶子の言葉に思わず涙を浮かべるトガ。
「私はあなたの笑顔を見なかった事にはしたくない!!」と叫んだお茶子は、再び個性を発動させた。
なおも涙を溢れさせるトガに、「罪をなかった事にはできない」、「貴女の全ては肯定できない」と続けたお茶子は、声を枯らして叫び続ける。
「血なんて一生くれてやる!」
「あなたと恋バナがしたいの ヒミコちゃん!!」
その時2人の眼の前に浮かんだ光景は、涙を流す幼少期のトガの前で、袖を捲り上げた腕を差し出す幼少期のお茶子だった。
個性を覚醒させたお茶子は、先ほどトガに深く刺された脇腹から、未だ大量の血を流し続け、次第にお茶子の体は冷えていく。
しかし、「ただ今は、彼女の中にある悲しみに触れたい」とワイヤーを射出してトガの左腕に巻きつけた。
空中で揉み合いながらも、互いに思っていたことを吐露し続けた。
「ずっとサインを出してくれていたのに 気づくのが遅くなっちゃった」
空中でトガを抱き締めたお茶子は、もう1つ本心を口にした。
「ボロボロで頑張っている姿が素敵」だと思うと、トガに明かしたままお茶子は、「あなたの笑顔が素敵だと伝えなきゃと思ったの」と続ける。
そんなお茶子にトガは涙を溢れさせつつも、いつものような笑みを浮かべて言った。
「私……カァイイ?」
「世界一」
「変身」が制限時間を超えたことで、トガが生み出したトゥワイスの複製は霧散していくことに。
ほかの地でヒーローを苦しめていたトガトゥワイスも各地で姿を消していく。
一方、トガの前で地面に倒れているお茶子は、流血しすぎた影響で寒気を覚えており、頭と体が繋がっていないと感じて全く動くことができない様子。
まだ動かなきゃいけないと強いヒーローの意志で動こうとするお茶子の前に立つトガは、そんなお茶子に向かって呟いた。
「敵(ヴィラン)連合は全部ぶっ壊すの」
「壊れた先にあるのは きっと…私が生きやすい世界」
そしてトガはなんと、お茶子の傍らに腰を下ろすと、お茶子の血を飲んでお茶子の姿へと変身した。
お茶子の姿になったトガは痛みに顔を歪めながらも続ける。
「お茶子ちゃんがいなくなるの”だけ”は やっぱり嫌」
「この気持ちは本当だから 私の血 全部あげる」
流れてくる血の温かさを感じるお茶子は、「だめ」「そんなことをしたら」とトガの行動を拒否しようとするが、対するトガは、前に死にかけた時に、トゥワイスがこうやって助けてくれたのだと告げる。
そう、他者の”個性”が使える以上、血もその人そのものになる。
つまり、”個性”を通じた同一人物の輸血行為をも可能にしてしまうのだ。
制止しようとするお茶子に、トガは再び語り掛ける。
死ぬまで血を届けに会いに来るつもりだったのか、と。
ヒーローらしく正しい事をするだけでよかったのだと。
好きな人の「血を吸う」ことで、その人になろうとしていたトガが初めて、他者に「血を与える」ことで、本当にその人そのものになった。(同じ血液を通わせている為)
皮肉なことに、最後に違う何者かになれた彼女は、涙を流しながらお茶子に自身の血を流し渡すと、お茶子を抱きしめるように地に伏したまま動かなくなった。
「私はトガヒミコ 好きに生きて 好きに生きた」