概要
キチパチ(キティパティ/シチパチ)とはチベット仏教の伝承に登場する男女2人の敬虔な僧侶が転じた護法神である。この名はサンスクリット語で「火葬の王(墓地の王)」という意味で、漢訳では屍陀林王と表記される。
この2人の僧は墓地(鳥葬場)の近くで修行していたが、あまりにも深い瞑想状態であったために、接近した泥棒に気づかずに斬首されてしまった。
人の身での修行を妨げられてしまった2人の僧は、憤怒により泥棒や犯罪者を罰する護法神へと転じ、墓地の守護者ともなったが、出自故に墓地の外には出ることができないとされる。
この神は炎の輪に包まれ踊る男女一組の骸骨として描かれ、憤怒と慈悲、死と再生を内包するマハーカーラの持つ75の化身の1つとして、年に2回僧侶によって行われる儀式で顕現する。
余談
この名はモンゴルやゴビ砂漠で発掘された、オヴィラプトル科の恐竜の属名に採用されている。
この種の化石は非常に保存状態が良かったために、美しくもあるこの骸骨の図像がイメージされ名づけられたとされる。