概要
漫画『憂国のモリアーティ』に登場するルイス・ジェームズ・モリアーティ×ウィリアム・ジェームズ・モリアーティのBLカップリング。
二人は血の繋がった兄弟だが、ルイスは養子扱いのため戸籍上は義兄弟である。理由は後述する。
髪型と眼鏡・頬の傷の有無以外まるで瓜二つの双子のようにも見えるが(身長もそう変わらないため尚更)ルイスの金髪の方が灰がかっており、赤い瞳もウィリアムに比べると少し暗い色をしている。
幼少期は潰れた貸本屋を二人で寝床にしていた。その後は孤児院へ移り、モリアーティ家に養子として引き取られる。アニメでは孤児院がラグドスクール、貸本屋が大英博物館に変わっており、主任司書からここ(ラグドスクール)で預かってくれと頼まれたらしい。
当時ルイスは心臓病を患っていたが、モリアーティ家に引き取られた後に手術を受けた。ある日、アルバートと共に馬車で帰宅したウィリアムは、使用人に掃除を手伝わされていたルイスに慌てて駆け寄り「何してるんだ まだ寝てないと…」と声をかけるなど、病み上がりの弟を気遣う様子が伺える。その後使用人に怒鳴られたウィリアムは、ルイスにこっそり先に部屋へ行くように指示し、鼠退治の助言のお礼に貰ったパンを持たせて逃がした。
またある時ルイスは、ウィリアムが義母や現在のウィリアムの名前の元となったアルバートの実弟からの理不尽な虐待で受けた傷の手当てをしており、彼の兄に対する世話焼きな一面が垣間見える。
屋敷を燃やしたあと、ウィリアムはルイスとアルバートと共に、アルバートの実弟と入れ替わるような形で生還する。そのためルイスとは戸籍上義兄弟という形になった。
#16『二人の探偵 第二幕』でルイスはホームズのリアム呼びに「("リアム"…!?何て馴れ馴れしい…!)」と、後ろにいた駅員も困惑するほどの怒りを露わにしたり、「(ホームズ…唯一人ウィリアム兄さんが一目置く男 とは言っても兄さんから見れば利用するだけの格下の相手…馴れ馴れしく呼んで…あまつさえ兄さんに勝負を挑もうなどとおこがましいにも程がある……利用価値が無くなった時は 僕が──…)」と心の中で吐き捨てたりするなど、ホームズを強く敵対視している模様(もしかして : 嫉妬)
なお、アニメでは原作にない二人の絡みがやたらと付け加えられている。
第1話はなんとまるごとアニオリとなっており、ルイスとウィリアムを中心にストーリーが進んでいく。人は見たことの無いものは欲しくならない、目にしたものを欲しくなるということを、ウィリアムは「ルイス、君の作るオムレツは絶品だ。僕は出先でも空腹を覚える度にそれが恋しくなる」と、ルイスの手作りオムレツに例えると同時に褒め称えた。それを聞いたルイスは「それは…どうも」と満更でもなさそうに顔を綻ばせた。
第3話は前述した幼少期のストーリーで、夜に屋敷の寝室で心臓病の発作が起きてしまったルイス。急いで人を呼びに行こうとしたウィリアムに、ルイスは息を切らしながら「待って…ください…兄さん…大丈夫…いつもの発作ですから…しばらくすれば…それより傍に…」と訴え、片手を差し出す。それを見たウィリアムは、静かにルイスの片手を両手で握りしめた。
第4話は自身が教授を務める大学に近いという理由でダラムへと越してきたが、途中で道に迷ってしまい到着が遅れてしまったウィリアムを原作ではアルバートとルイスが出迎えていたが、アニメでは何故かルイスだけが出迎えていた。その後ウィリアムは、ルイスの用意したお茶を嗜みながら「やっと帰ってきたという気がするよ」と零した。それに対してルイスは「帰ってきたはおかしいんじゃありませんか?この屋敷を買うときに下見をしたのを除いては兄さんがここに来るのは初めてでしょう」と言った。するとウィリアムは「確かにここは大学に近いからということで選んだ仮住まいに過ぎない。だがそれがどこであれ、ルイスの淹れたお茶を飲めるところが僕の家だよ」と笑顔で答えた。ルイスは照れて顔を背けたかと思いきや、どこか嬉しそうに微笑んでいた。
以下、単行本3巻〜13巻のネタバレ(アニメ派の方は注意)
#10『バスカヴィル家の狩り 第一幕』では、お互いが胸に秘めていた想いを打ち明けた。
エンダース伯爵が死んだ後も人狩りが行われていると知ったフレッドとモランは、その事をウィリアムに報告する。出発準備の命令が下され、退室する二人。フレッドが先に準備をしに行く中、残されたモランと扉の前に立っていたルイスはこんな会話を交わす。
「…フレッドはウィリアムをどこか遠い存在に感じていたみてぇだ」
「…でもフレッドの気持ち…僕には少しだけ解る気がします…」
ルイスは、常に自分だけが作戦に参加させてもらえないことに不満を抱いていた。だが、
「お前はフレッドとは違う…だろ?あいつとは兄弟なんだ」
「心を隠す必要がどこにある?言いたい事ははっきり伝えた方が良い」
モランにそう言われ、ルイスは何かを決意したような顔で「そう…ですね…」と呟いた。
モランと別れたあと、ルイスはウィリアムの部屋へと向かう。「急な仕事なんですね」と言ったルイスにウィリアムは「あぁ…直ぐに出る事になる 屋敷の事は任せたよ ルイス」と言った。するとルイスは「………良いですね…僕だけが──…」と零す。それを不思議そうに見つめるウィリアムに、ルイスは「兄さんの計画が進むにつれて どんどん兄さんを遠い存在の様に感じてしまうんです…」と、初めて自分の想いを口にした。ウィリアムは「そんな事ないよ いつも一緒じゃないか」と言うが、ルイスは「……いつも一緒……なら この作戦 僕も加えてもらえませんか?」と頼み込んだ。「……ルイス それは…」と躊躇うウィリアムに、ルイスは「兄さん 僕はもう あの頃の様な弱い子供じゃないんです」と言った。するとウィリアムは「………………そうか…ごめんルイス………これはエゴなんだ…僕の…」と言い、罪を犯した者は等しく罰せられるべきで、その対象には自分やアルバートやモラン、そしてルイスも含まれることをおもむろに語った。
「でもルイス…君は………君だけは 穢れのない新しい世界で──…」
「だから君には出来うる限り無垢でいて欲しかったんだ…その僕のエゴが…ルイス…君をより孤独の淵に追いやっていたんだね…」
一見、ルイスのウィリアムに対する矢印は一方通行のように思えるが、実はウィリアムもそれと同じくらい、もしくはそれ以上にルイスに大きな矢印を向けていた。(ルイス→→→→→ウィリアムではなくルイス→→→→→(←←←←←)ウィリアムだった)
悪を悪で制するウィリアムは弟のルイスにだけは悪に染まってほしくないという理由でわざと汚れ仕事から遠ざけていたのだ。そんなウィリアムに、ルイスはこう言った。
「………兄さん…世界が良くなるのは良い事です………ですが」
「その世界にウィリアム兄さんがいないなら 僕には何の価値もありません…」
その言葉に、ウィリアムは顔を上げた。そして「……そうだね…君の気持ちを一番に考えるべきだった」「……もう迷わない 昔通り 一緒に罰を下しに行こう あの頃と同じさ」
「"悪い貴族をやっつけろ"だ」
ルイスの肩を持ち、幼少期に交わした誓いの言葉を口にした。ルイスはそれに「望む所です 兄さん!」と威勢よく応えた。
その後、#11 『バスカヴィル家の狩り 第二幕』でルイスはウィリアムの命令が最優先だと両足を怪我した子供を見捨てようとし、フレッドと口論になったところをモランに止められる。また、単独行動に移る際に「無茶すんなよ」とモランに言われ「無茶くらいします これは兄さんの命令ですから」と得意げに答えた。
そして無事に作戦が終わった後、ウィリアムの「今回は特に時間も無い中 皆よくやってくれた」という言葉に「付いて行きますよ 兄さん」と返した。
ちなみに、この話はアニメで放送されない代わりに、Blu-ray&DVD第3巻の特典ドラマCDに収録されることが明らかになっている。
#27『ホワイトチャペルの亡霊 第三幕』では『バスカヴィル家の狩り』でのルイスの言葉もあってか、ウィリアムは作戦にルイスを誘う。そして、#28『ホワイトチャペルの亡霊 第四幕』でルイスとウィリアムは二人で共闘して敵八人を皆殺しにした。
#48『最後の事件 第一幕』でルイスはこの計画の最後にウィリアムの死が組み込まれている恐怖からずっと目を背け、心に蓋をして日々生きてきたということを胸の内で独白した。
「何故ウィリアム兄さんなのだろう…何故…世界の為に命を捧げるのが兄さんでなければならないのだろう…」
「この世界にとって兄さんが悪魔でも 僕には兄さんしかいないのに…」
満月に手を伸ばし、兄を想うルイス。その後フレッドとの会話でも「…もしあの天才的な頭脳を持つのが兄さんじゃなく僕であったなら…兄さんをこんなに苦しめる事はなかったのに…と…」「──兄さんは優しすぎる人です だから悪人といえどその命を奪う事に胸を痛めてしまう…僕はそんな兄さんを否定しようとは思いません」「……何故なら…その優しさこそが兄さんだから……」と語っていた。そして「僕も僕のエゴで兄さんには生きて欲しい」と、自分の想いを口にした。
余談だが、#48の扉絵にはウィリアムのイメージカラーである赤色の花びらを抱きしめるかのような姿勢を取るルイスの姿が描かれている。
関連タグ
ルイス・ジェームズ・モリアーティウィリアム・ジェームズ・モリアーティ
表記揺れ