概要
蒼い瞳に、痩せこけた浅黒い顔に肉の薄い突き出した鼻、深い皴が刻まれた禿げあがった額をもち口髭を蓄えた白髪まじりの年配の元軍人である無職の男で、ロンドンのジェームズ・モリアーティ教授の巨大犯罪組織の一員であり、シャーロック・ホームズからはロンドン第二の危険人物としてモリアーティ教授の次に危険視されていた。
銃の名手で在り、彼の使用するフォン・ヘルダー製作の消音効果もある空気銃から放つダムダム弾の威力もあり、其の才能はモリアーティに重宝された。
経歴
1840年に元ペルシア公使でバース勳爵士サー・オーガスタ・モランの子としてロンドンで生まれ、イートン校、オックスフォード校に学ぶ。
陸軍ベンガル第1工兵隊に所属し、ジョワキ、アフガニスタン戦役に参加し、殊勲者報告書にその名を連ねた。
鉄の神経を備え、インドでの虎狩の記録は「空き家の冒険」事件時にも破られておらず、手負いの人食い虎を追って排水溝を這った武勇伝はインドでは語り草となるほどだったが、悪い評判が立つようになりインドに居づらくなり軍を最終階級は大佐で退役。
ロンドンに戻るも、悪評は再び立つようになり、そこをモリアーティに見いだされ、一時は組織のボスも務めた。彼の為にモリアーティは年六千ポンドを支給し、並みの者には出来ない最高級の仕事だけを与え、部下と言うよりは盟友ともいうべきものであったたという。
ホームズによればローダーのスチュアート夫人殺しも彼の仕事との事である。
「最後の事件」でモリアーティがホームズに敗れライヘンバッハの滝に落ちた時も、その場に居合わせ、己を死んだことにするために崖を登り岩棚で休むホームズの頭上から岩を落として亡き盟友の仇を討とうとした。
モリアーティの組織の壊滅時は犯行に証拠を残さなかった事から警察に捕らえられる事は無かった。 しかしモリアーティが死んで食い扶持が無くなった事で、以後はクラブでのいかさまトランプで糊口をしのいでいた。
そのいかさまに気付いたオナラブル・ロナルド・アデアを殺害し、更に警戒していたホームズが帰国した事を知り、その命も狙うが、それはホームズの罠であり、ベーカー街221Bの窓に浮かぶホームズの影はオスカル・ムニエが制作した蝋人形のもので、しかも彼が狙撃場所に選んだカムデン・ハウスの空き家は偶然にもホームズとワトソンが隠れていた部屋であり、狙撃後に二人に取り押さえられ、駆け付けたレストレード警部に引き渡された。
だが、死刑になる事は無かったようで、「高名の依頼人」「最後の挨拶」でのホームズの言葉から、生存しているようである。