概要
地母神ダナの娘で、その名は“銀の車輪”を意味しており、ウェールズの文学においては名高い女性として登場している。
ケルトにおいての車輪は太陽のシンボルであり、その太陽に随伴している月も同様ものという考えから、アリアンロッドは常に車輪を回し、その車輪で戦死者を月へと運んでいたと考えられていた。また豊穣の女神であるブリキットと同一視される事もあり、かんむり座の守護を司っていたともされる。
中世のウェールズ語写本より収集した物語を収録した書物『マビノギオン』では金髪の美女で、魔術師・グウィディオンとギルヴァエスウィの妹として登場しており、記述によれば2人が戦いの時を覗いて処女の足の上に膝を乗せて眠奈なければ死んでしまう宿命を持った王・マースに仕えていた頃。
当時マースを支えていたゴーウィンという少女に恋したギルヴァエスウィが、彼女の処女を奪ってしまった為、これに怒ったマースによってグウィディオンと共に動物の姿に変えられてしまった。
その後2人の罪は許されるが、ゴーウィンの代わりになる新たな処女を紹介する様に命じ、その時に紹介されたのが妹のアリアンロッドであった。
マースは自分の脚を支える資格があるかどうかをアリアンロッドに試す為に、魔法の杖を跨ぐように命じ、彼女は言われた通りに杖を跨ぐが、その時に体から金髪の男の子を産み落としてしまう。
男の子はマースから「ディラン」という名前を授かり、後に立派に育った彼はマースに仕えたといわれている。
その一方で、失態を犯してしまったアリアンロッドはその場から立ち去るが、その時に包みを1つ落としてしまい、それを拾ったグウィディオンは、中身を箱の中に隠し、後日確認すると中にはディランと同じ金髪の男の子が入っていた。
アリアンロッドは、マースの前で処女ではなかった事を暴かれた事を深く恥じており、その象徴であった子供を嫌った彼女は2番目の子供にまだ名前が無い事を知り、「自分が与える為、名前を付けてはならない」という呪を掛けた。
男の子を育て可愛がっていたグウィディオンはこれを悲しみ、如何にかしてアリアンロッドに名前を付けさせようと一計を案じてスェウ・ラウ・ガフェスという名前を付けさせることに成功する。
自分が騙された事に気づいた彼女は怒り狂い、今度は「自分が許すまで武器を持ってはいけない」という呪いを掛けるが、これも再びグウィディオンの魔法の力によって騙され、自らの手で武器を彼に与えてしまう。
再三騙され、再び屈辱を味合わされたアリアンロッドは最後の呪いとして、「未来永劫、人間の妻を娶ることができない」という呪を掛けた。
しかしグウィディオンは、マースと共に魔法で花から女性を創り出し(要は人間ではなく、人外娘ならOKという穴を突いたという事)、スェウの妻として向か入れた。
こうしてアリアンロッドの呪いは解かれ、やがてスェウはマースの後を継ぎ、立派な王となったといわれている。
フィクションにおけるアリアンロッド
メガテンにおけるアリアンロッド
真・女神転生Ⅱに登場、種族は女神。白銀の鎧に包んだ金髪の女性の姿をしている。