注意
※この記事は無限列車編の結末の重大なネタバレを含みます |
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概要
炎柱・煉獄杏寿郎と上弦の参・猗窩座の激闘は、猗窩座が鳩尾を貫き勝敗は決した…
しかし、亡き母の言葉を思い出した杏寿郎は最期の力を振り絞り、日輪刀で頸に切れ込みを入れて猗窩座の首を斬り落とさんとする。振り出した力は片手で追撃の一手を受け止める程であり、猗窩座も驚愕せざるを得なかった。
斬られずとも、迫りつつある夜明けまでここに押し止められば陽光で消滅させられてしまう猗窩座はこの場から逃れようと必死で対抗する。
両者の力比べの行く末は、猗窩座が自ら両腕を引き千切って離脱に成功した。
しかし既に夜明けは間近、両腕を再生させた猗窩座は一目散に森の中へ逃走。
想像以上に手こずった事に苛立ちつつも、刺さった杏寿郎の日輪刀を引き抜きながら逃走する彼の背後に炭治郎が放った日輪刀が突き刺さる。大した傷ではなかったため、構わず逃走を続けようとするが…
「逃げるな卑怯者!!」
「逃げるなァ!!」
猗窩座すれば虫唾が走るような弱者でしかない炭治郎が放った叫びに、眼を限界まで見開いて顔中に青筋を立てる。
「何を言ってるんだあのガキは? 脳味噌が頭に詰まってないのか?」
「俺はお前らから逃げてるんじゃない、太陽から逃げてるんだ!」
「それにもう 勝負はついてるだろうが」
「アイツは間もなく力尽きて死ぬ!!」
あくまで逃走しているのは鬼の天敵たる太陽から逃れるため、決して鬼殺隊に恐れを為したからではない。
それに加えて杏寿郎は既に瀕死。直接手を下さずとも命運は尽きたも当然。
この戦いは自分の勝利だと、まるで自分に言い聞かせるように森の中へと逃亡していった。
それでも尚、炭治郎は陽の差さらない森の中へ叫び続ける。
「いつだって鬼殺隊は、お前らに有利な夜の闇の中で戦っているんだ!!」
「生身の人間がだ!! 傷だって簡単には塞がらない!! 失った手足が戻ることもない!!」
「逃げるな馬鹿野郎!! 馬鹿野郎!! 卑怯者!!」
「お前なんかより煉獄さんの方がずっと凄いんだ!! 強いんだ!!」
「煉獄さんは負けてない!!」
「誰も死なせなかった!!」
「戦い抜いた!!」
「守り抜いた!!」
「お前の負けだ!! 煉獄さんの!!」
「勝ちだ!!」
人間と鬼の能力差は理不尽なまでに大きい。
一度でも手足を失えば二度と戻らず、深い傷を負えば死に至ってしまう。負傷という概念さえ即座に再生できる鬼からすれば些細ごと。
更に鬼殺隊が動けるのは、鬼が活動できる夜間だけ。鬼と戦うには否応なしに鬼と同じ土俵に立たなくてはならない。
これ程理不尽な状況下においても、杏寿郎は先に制した下弦の壱との戦いで一人たりとも犠牲者を出さず、猗窩座との激闘は敗北しながらも自分以外の犠牲者を出さなかった。
無限列車編の結果として、鬼殺隊は柱を一人喪いながらも民間人を守り切り、対して鬼側は人間を誰一人喰える事はなかった。
炭治郎の負け惜しみ通り、杏寿郎は勝負に勝ったのだ。
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彼は大事な時に戦えず、弱い卑怯者達から誰一人守れず、何も救えず、自分一人だけ生き残ってしまった。
全てを失った彼は幽鬼へと変貌させられてしまう…