名阪ノンストップ特急とは、近畿日本鉄道のもつ特急列車(近鉄特急)のうち、名阪甲特急(めいはんこうとっきゅう)の近鉄名古屋~鶴橋間が無停車となる列車の通称。ガチで近鉄名古屋~鶴橋間がノンストップの列車は、大阪難波~近鉄名古屋間を最速2時間5分で走り通す。最速列車の近鉄名古屋~鶴橋間の所要時間は1時間59分であるため、名阪間で2時間を切るスピードで運行している、というのはあながち間違いではない。まあ、ほとんど2時間ではあるのだが。
なぜ「ノンストップ」www
近鉄名古屋~鶴橋間
「ノンストップ」なだけあって、近鉄名古屋~鶴橋間は一切停車しない列車がある。その列車は四日市には停まらない。もちろん津や大和八木にも停まらない。伊勢中川では、大阪線は鳥羽方面を向くような配線となっているが、短絡線を通ることで無停車を実現している。
おいおい、運転士はwww
運転士はどんなに凄腕でも、集中力が切れるのは仕方ない。この観点から、長距離を走る列車が多い近鉄ではいわゆる「縄張り」が設けられており、その線区を担当する運転士以外は運転してはいけないこととなっている。つまり大阪線を担当する運転士は名古屋線を運転することはできないし、逆もまたしかりなのである。
では、鶴橋まで停まらないノンストップ特急はどうやって運転士を代えるのか?
そんな心配は御無用!!実は、名阪ノンストップ特急には2人の運転士が乗務していて、1人が伊勢中川まで運転し、もう1人が車掌を担当している。そして、伊勢中川の短絡線内を徐行運転しているときに、車掌が運転席に入ってきて交代。こうしてうまく2人の運転士を使っているのだ。近鉄って頭いい!!
ノンストップなのは日中だけ
ノンストップなのは上り7本(近鉄名古屋10:00~16:00発)、下り8本(大阪難波発11:00~18:00発)の合わせて15本だけ。他の列車は、津または大和八木のいずれか、または両方の駅に停車しているぞ。
ちなみに「ノンストップ特急・アーバンライナー」と案内されるのは前述の鶴橋~名古屋間ノンストップの列車のみで、その他は単に「アーバンライナー」とだけ案内される。
特急が特急の通過待ち!?
名阪ノンストップ特急とはあまり関係のない話だが、名阪特急には、甲と乙があり、名阪ノンストップ特急は前者を指す。乙は途中停車駅を増やしており、途中桑名・四日市・白子・津・名張・大和八木・鶴橋・上本町の8駅に停まるほか、一部の乙特急は伊賀神戸駅と桔梗が丘駅にも停車する。
また、近鉄名古屋発7:00と大阪難波発21:00の甲特急は、大阪と伊勢志摩を結ぶ先行の乙特急を名張駅で追い抜く。私鉄で唯一、特急が特急の通過待ちをするという珍しいダイヤが組まれている。
「2時間5分」の評価
新幹線には速さで劣るものの、名阪ノンストップ特急は断然安い。また、所要時間が最速2時間5分というのも、早すぎず遅すぎずで、睡眠や読書に最適な時間(睡眠サイクル1回分の90分+入眠・起床の余裕時間の合計)に適合だとして、乗客から高い評価を頂いている。
また、新幹線は新大阪駅で地下鉄に乗り換えなければならないのに対し、近鉄は大阪ミナミまで直行するので、便利。ただし逆に梅田方面に出る場合は、新幹線はおろか、在来線の新快速(米原乗り換え)を使うのと大して変わりはない(およそ2時間半、鶴橋乗り換えだと大して変わらない)。また阪神なんば線開業で、神戸方面への乗り継ぎは改善されている。
車両
ノンストップ特急には「アーバンライナー」シリーズが優先的に使われ、時刻表にも載る。
代走は、基本的に車種制限はなく、さまざまな編成が組まれる。
21000系
名阪ノンストップ特急は昭和34年12月の名古屋線改軌(狭軌→標準軌)と同時に登場した(ただし昭和36年3月の中川短絡線完成以前は伊勢中川駅で運転停車のうえ、スイッチバックを行なっていた)。運行開始当時こそ好調だったものの、昭和39年10月に東海道新幹線が開通してからはスピードの面で太刀打ちができず、大半の乗客を新幹線に奪われてしまった。しかし新幹線の度重なる値上げにより客足が戻りつつあったところを契機に、昭和63年から平成2年にかけて21000系を新造し「名阪ノンストップ特急」に投入。ここから名阪ノンストップ特急の巻き返しが始まった。
本系列の導入により、難波~名古屋間の所要時間を最速2時間5分と、従来の名阪ノンストップ特急より6分短縮し、鶴橋~名古屋間は1時間59分と、初めて名阪間2時間の壁を破った。最高速度130kmは、登場した当時としては、私鉄最速だったといわれる。オールM車の抵抗制御車。
登場時は全扉が折戸。現在は一部車両のみプラグドア。
車内設備は当初は簡易リクライニングシートであったが、リニューアルと同時に後述の「アーバンライナーnext」と同じタイプのゆりかご型リクライニングシートに交換された。リニューアル車の愛称は「アーバンライナーplus(プラス)」。
増結ユニット(2両)もあり、多客期には中間に増結される。
21020系
愛称は「アーバンライナーnext(ネクスト)」。平成14年に登場した。
21000系のデザインを踏襲しつつ、前面窓周りをブラックで塗装するデザインは、なかなか斬新。
ヘッドライトはHID灯となった。
IGBT素子のVVVFインバーター制御となり、モーターは230kWと大出力なので、MT構成は3M3Tとなった。
「デラックスシート」も21000系に引き続いて設置されたが、座席配置が1+1+1の3列式となった。片方の通路の幅が広く、もう片方は台座となっている。
VVVFインバーターの音が独特で、他ではあまり聞くことができない貴重な音(近鉄では、ほかに22600系で聴くことができる)。
本系列は21000系の置き換え用ではなく、前述の「アーバンライナー」のリニューアル工事中に不足する本数だけを補う目的で造られたため、編成数は2本のみの在籍に留まっている。またリニューアル工事完了後は本数に余裕が出たことから、「アーバンライナー」の一部が名阪間の主要駅に停まる乙特急の運用にも就くこととなった。