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名阪ノンストップ特急

めいはんのんすとっぷとっきゅう

近畿日本鉄道において、2012年3月19日まで運行されていた、鶴橋駅~名古屋駅間無停車の特急列車の通称。
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概要編集

大阪難波近鉄名古屋間を最速2時間4分で走っていた。最速列車の近鉄名古屋〜鶴橋間の所要時間は1時間59分であるため、名阪間で2時間を切るスピードで運行している、というのはあながち間違いではない。まあ、ほとんど2時間ではあるのだが。


近鉄名古屋〜鶴橋間「ノンストップ」なだけあって、近鉄名古屋〜鶴橋間は一切停車をしなかった。伊勢中川では短絡線を通ることでスイッチバック回避と無停車を実現していた。


2012年3月20日のダイヤ改正にて、全ての名阪甲特急が津駅に停車することとなり、50年余りに渡る「名阪ノンストップ特急」の歴史に幕を下ろした。


ノンストップ特急の雑学編集

運転士編集

運転士はどんなに凄腕でも、集中力が切れるのは仕方ない。この観点から、長距離を走る列車が多い近鉄ではいわゆる「縄張り」が設けられており、その線区を担当する運転士以外は運転してはいけないこととなっている。つまり大阪線を担当する運転士は名古屋線を運転することはできないし、逆もまたしかりなのである。では、鶴橋まで停まらないノンストップ特急はどうやって運転士を代えるのか?そんな心配は御無用!!実は、名阪ノンストップ特急には2人の運転士が乗務していて、1人が伊勢中川まで運転し、もう1人が車掌を担当している。そして、伊勢中川の短絡線内を徐行運転しているときに、車掌が運転席に入ってきて交代。こうしてうまく2人の運転士を使っているのだ。近鉄って頭いい!!


津駅に停車する列車の場合は、津駅が縄張りの区切りとされているため、乗務員交代が同駅で行われることとなっている。ノンストップ運転取りやめ後はすべての名阪特急が津駅にて乗務員交代することとなった。


ノンストップなのは日中だけ編集

全ての名阪甲特急が津駅に停車するまで、ノンストップなのは上り7本(近鉄名古屋発10:00〜16:00)、下り8本(大阪難波発11:00〜18:00)の合わせて15本だけ。他の列車は、津または大和八木のいずれか、または両方の駅に停車していた。ちなみに「ノンストップ特急・アーバンライナー」と案内されるのは前述の鶴橋〜名古屋間ノンストップの列車のみで、その他は単に「アーバンライナー」とだけ案内されていた。方向幕にも、ノンストップ特急は行先に「NONSTOP」または「ノンストップ」と表示され、更に他の特急の行先は青または黒文字表記だったのに対し、赤文字で表示されていた。


特急が特急の通過待ち!?編集

名阪ノンストップ特急とはあまり関係のない話だが、名阪特急には、甲と乙があり、名阪ノンストップ特急は前者の一種に含まれていた。乙は途中停車駅を増やしており、途中桑名・近鉄四日市・白子・津・名張・大和八木・鶴橋・大阪上本町の8駅に停まるほか、一部の乙特急は伊賀神戸駅と桔梗が丘駅にも停車する。甲特急と乙特急は停車駅や使用車両の面からも明確に区別されている。


2016年3月19日のダイヤ改正からは大阪難波駅発21:00の甲特急が白子、近鉄四日市、桑名を停車駅に追加した。この大阪難波発21:00の甲特急は、大阪と伊勢志摩を結ぶ先行の乙特急を名張駅で追い抜く。私鉄で唯一、特急が特急の通過待ちをするという珍しいダイヤとなっている。

なお、2020年現在では土休日ダイヤの近鉄名古屋発8:20の甲特急が榛原駅で、水曜を除く上り京都「しまかぜ」が伊勢中川駅でそれぞれ阪伊乙特急を追い抜くダイヤが設定されている。


「2時間4分」の評価編集

新幹線には速さで劣るものの、名阪甲特急は断然安い。また、所要時間が最速2時間4分というのも、早すぎず遅すぎずで、睡眠や読書に最適な時間(睡眠サイクル1回分の90分+入眠・起床の余裕時間の合計)に適合だとして、乗客から高い評価を頂いている。近鉄も「2時間あるから、ちょうどいい」というコピーで宣伝している。


また、新幹線は新大阪駅で地下鉄に乗り換えなければならないのに対し、近鉄は大阪ミナミ(大阪難波駅)まで直行するので、ミナミや天王方面へ向かうには近鉄特急の方が便利と言える。


なお、津駅に新規停車後も大阪難波~近鉄名古屋間最速2時間5分運転は維持していたが、2016年時点では1本にまで縮小し、大阪難波~近鉄名古屋間平均2時間9分、鶴橋~近鉄名古屋間平均2時間3分運転と所要時間が伸びていた。その後線路の改良・ダイヤ見直しによって2020年ダイヤ改正後は5本(大阪難波発3本、近鉄名古屋発2本)が大阪難波~近鉄名古屋間最速2時間5分、鶴橋~近鉄名古屋間最速1時間59分運転となっている。


津駅への全列車停車開始時における使用車両編集

ひのとり」以前の名阪甲特急には「アーバンライナー」が優先的に使われ、時刻表にも載っていた。

代走は、基本的に車種制限はなく、さまざまな編成が組まれていた。


21000系編集

 難波〜名古屋間の所要時間を最速2時間5分と、従来の名阪ノンストップ特急より6分短縮し、鶴橋〜名古屋間は1時間59分と、初めて名阪間2時間の壁を破った。最高速度130km/hは、登場した当時としては、私鉄最速だったといわれる。オールM車の抵抗制御車。登場時は全扉が折り戸。現在はバリアフリーに対応するため一部車両のみプラグドア。


車内設備は当初はレギュラーシート・デラックスシートとも簡易リクライニングシートであったが、シートピッチを1,050mmに拡げた上で背もたれと座面の連動を最適化し、本式のリクライニングシートに近い角度まで倒せるよう工夫が施されたシートを採用していた。その後、リニューアル工事と同時に後述の「アーバンライナーnext」と同じタイプのゆりかご型リクライニングシートに交換された。リニューアル車の愛称は「アーバンライナーplus(プラス)」。


基本編成は6両。2両の増結ユニットもあり、中間に組み込まれて8両で運行されていた。

現在は名阪乙特急などで使用されている。


21020系編集

愛称は「アーバンライナーnext(ネクスト)」。2002年に登場した。21000系のデザインを踏襲しつつ、前面窓周りをブラックで塗装するデザインは、なかなか斬新。ヘッドライトはHID灯となった。IGBT素子のVVVFインバーター制御となり、モーターは230kWと大出力なので、MT構成は3M3Tとなった。「デラックスシート」も21000系に引き続いて設置されたが、座席配置が1+1+1(2列+1列で、全ての座席が独立)の3列式となった。片方の通路の幅が広く、もう片方は台座となっている。


本系列は21000系の置き換え用ではなく、前述の「アーバンライナー」のリニューアル工事中に不足する本数だけを補う目的で造られたため、編成数は6両編成2本のみの在籍に留まっている。またリニューアル工事完了後は本数に余裕が出たことから、土・休日の夕方に運転される増発分の甲特急(大阪難波発20分台・近鉄名古屋発25分台)を全て「アーバンライナー」で賄えるようになった他、名阪間の主要駅に停まる乙特急の一部の運用にも就くこととなった。

現在は21000系ともども名阪乙特急などで使用。


過去の車両編集

10100系ビスタカー編集

ビスタ三世代

通称ビスタII世(イラスト右下)。試作的要素の強かったビスタI世10000系を元に造られた、元々は名古屋線改軌に合わせて投入が開始された名阪ノンストップの看板車両だった。当時近鉄のビスタカーは国内唯一のダブルデッカー(二階建て電車)として全国区で有名になった。当初は難波方と名古屋方がそれぞれ流線形になっている3連節編成同士を背中合わせに連結した編成が定数だった(このほか、両側が貫通型の編成も存在する)。

しかし東海道新幹線開業により乗客は激減、収容力に重きを置いていた10100系では乗車率が低いわりに居住性が低いという事態になり、ビスタカーは1編成のみとし、後述の「エースカー」を連結して編成長を調整するとともに居住性の高いサービスを確保することになってしまった。そして最終的に、ビスタII世は近鉄の看板である名阪ノンストップを去ることになるる。


10400系11400系エースカー編集

近鉄10400系旧エースカー

ビスタカー登場後もツリカケ式の旧型車が運用されていた名阪乙特急の更新用に製造されたオールフラットカー仕様の汎用特急形車両……のはずが、東海道新幹線開業により固定編成前提の10100系の運用が難しくなった名阪ノンストップにもフレキシブルな運用が可能な車両として投入されることに。イラストのようにビスタカーと組んで運用される姿は、VistaとAceの組み合わせであることからVA編成と呼ばれ、それまでのビスタカーのみの編成ともまた違った人気を持っていた。このVA編成はII世とだけではなく、後述のビスタIII世と組んだこともある。


12000系12200系スナックカー編集

4連が定格性能のエースカーですら過剰となった名阪ノンストップ用に投入された定数2連の特急用車両。名阪ノンストップが最も落ちぶれていた(この車両が設計された頃には2200系のように1両だけでも走れる両運転台の特急電車も結構マジに検討されたとか)時期の新車である。供食コーナー「スナックコーナー」を設置するも評判は芳しくなく、最終的に合理化の為廃止された。名阪ノンストップ時代はとにかく惨めな扱いだったが、逆に名阪特急を離れてからは汎用特急車両として八面六臂の活躍をしている。


18200系複電圧車・18400系ミニスナックカー編集

京都橿原線の1500V昇圧&限界拡張を機に投入された車両。この車両が登場するまでは京都・橿原線の特急は大阪線には入れなかった。

前者は他の特急車よりも短い18m車体で複電圧機構を備え、大阪線の33‰急勾配100km/h登坂と登場当時600V且つ限界が小さかった京都線乗入れを両立させた車両で京伊特急の開祖。後のあおぞらⅡ

後者は12200系と同時に登場し、車体も20mとなった。1次車はスナックコーナーを備えるが2次車は省略されている。後に2次車があおぞらⅡの増結用に改造された。

18400系も実は複電圧車なのだが、登場時既に昇圧実施寸前だったため、電圧切り替えは工場でしか行えない設計になっており昇圧までは京都・橿原線限定運用だった。


12410系サニーカー編集

サニーカーと呼ばれた12400系を3連化改造し、名阪特急用の新車として1980年に投入されたもの。1976年を皮切りに国鉄が値上げを濫発し、さらには国鉄労組構成員の横柄な態度など乗客置いてけぼりの騒動が続いた結果、近鉄名阪ノンストップは首の皮一枚を残して息を吹き返すことになった。


これにより3両編成への輸送力強化が求められるようになったことから投入されたのが本形式である、後述する30000系に準じたスタイルで登場し、将来は4両化することも見越した設計となっていた。


1983年に全編成が4両化され、21000系投入まで名阪特急の顔として運用された。現在は12200系や12400系同様に乙特急での運用がメインとなっている。


30000系ビスタカー編集

ビスタII世は名阪特急を離れた後、観光特急・乙特急などの運用に主体だったため、後継車である三代目ビスタカーは観光特急に特化したスタイルで登場していた。


国鉄の料金値上げにより2両から3両、4両、更には一部6両編成が生まれるなど利用客の増加は続いていた。これにより遂には一部列車にビスタIII世の充当が開始される(※)。この為、1985年には登場から5年ぶりに30000系が1編成増備された(30215編成)。

期間は3年間と短かったが、「健在ビスタカー」をアピールするには充分だった。

  • ※:一般的に1985年ダイヤ改正説が通っているが、実際には1978年のデビュー直後から投入されていたようである。

関連タグ編集

近畿日本鉄道 近鉄 近鉄特急 アーバンライナー 伊勢志摩ライナー さくらライナー Ace しまかぜ

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