隻狼よ、迷えば敗れるぞ…
概要
CV.金尾哲夫
戦国末期の日本をモデルにした架空の国、葦名の国の国主。
わずか一代で葦名を国盗りの戦で手に入れ、葦名家を興した隻眼の老人。『剣聖』の名で呼ばれ恐れられ、そして他国にも名を轟かす歴戦の剣士。
隻腕になった主人公を唯一「隻狼」と呼ぶ人物でもある。「迷えば敗れる」という彼の発言は、あらゆる意味で作品を象徴している。
豪放磊落な性格かつ酒豪、特にどぶろくを好んでおりエマや仏師など、それを知っている者は多い。
国盗り以前から強さに貪欲で、若い頃からあらゆる死闘を重ねて高みを目指し続けており。かつて賊の頭目だった刑部を打ち倒し、賊党ごと召抱えている。
その強さを葦名の武人達に生かすため、自身の剣術を『葦名流』と名付けて伝承し始める。
長年服従を続けた葦名衆だったが、ある時に世の乱れに乗じ、一心は葦名衆を率いて国盗り戦をしかけ、最も信を置く七人の侍たちに槍を授けて主戦力とした。多くの犠牲を出したものの自ら敵将の田村主膳と相対し、ついに討ち取った。この時に刑部の槍が折れており、戦後に「見事な折れぶりよ」と褒め称え、田村の槍を下賜している。
その後は葦名衆全員で酒盛りの場をもうけ、酒の席には梟、お蝶、刑部、道玄なども参加していた。
その後、母が死去した弦一郎を孫として引き取り、教育係に刑部を選任している。
その後に弦一郎の剣の師である巴と一戦交えた際は、その姿に見惚れながらも勝利。仏師が修羅に飲まれた際はその左腕を斬って鎮めたり、竜とも……と、活躍は絶えなかった。
ある時から病を患っており、本編開始時ではエマから「命を保っているのが不思議」と言われるまでに悪化、衰弱しており葦名本城の離れで静養している。
しかし時折看病にくるエマの目を盗んで葦名に入り込んだ外敵を隠れて斬っており、葦名城内の道場にふらりと立ち寄っては侍達をのしてゆくなど強さの熱は冷めやらず、いまだなお刀を振り続けている。
しかしエマもそれを察しているようで、看病ついでに一心を叱責しつつ剣術を教わったりしている。
*以下、ゲーム内容のネタバレを含む*
物語での関わり
一心が病床にある間、孫の弦一郎が葦名家を統率し、敵を退けるため、異端の力を利用しようと計画する。
葦名は、古い土地であり、数々の不思議な力が伝わっているが、どれも人間の手に負えるものではなく、理を歪める危険を孕んでいる。その一つが人間を不死に変える能力を持つ竜胤の御子であり、弦一郎は竜胤の御子、九郎に協力を強要する。
しかし九郎が竜胤の力を危険視し、使うべきではないと考えていたため計画は難航する。また同じく竜胤を危険視していた一心も部下の忍びを走らせ、九郎を救出しようとしている御子の忍、狼(隻狼)を葦名城内に手引きし、弦一郎を妨害させる。
戦闘
葦名一心
再び、修羅を…斬る事になろうとはなぁっ!
老境となった一心はさらに病に冒され、既に最盛だった頃の力を発揮することは出来ないものの、葦名流をなすうち剣の心技を極め、技は研ぎ澄まされている。
かつて修羅を斬った一心に、修羅と化した狼の呀が通るかはプレイヤー次第である。
武器
- 打刀
一心が静養している離れの櫓にある打刀、木瓜の鐔が付いており刀身全体に木目のような刃文が施されている。鞘は赤いが全体的に煤けたように黒ずんでおり、蛭巻が施されている。
密かに一心が外敵を斬る際は、これを帯刀する。
櫓の刀掛けに掛かっているのはこの刀ではなく、弦一郎の太刀によく似ているが、この刀は打刀である。
技
- 葦名流
宗家は葦名一心。戦に勝つことを至上とした彼の戦いの全てを『葦名流』として纏め、伝えた流派。
正眼構えを基本とし、源の水の流れの如く力強く実直な太刀筋が特徴の剣術で、一対一以外にも多勢との戦いにも備えがある。
命の鍔際に立つことで剣技を磨いた一心だが、その勢いは止まることを知らず、伝書は生涯未完となっている。
しかし真髄は他のあらゆる技を飲み込み絶えず変化してゆく『葦名無心流』にあり、様々な武器や技をこの流派で扱うことができる。
- 通常攻撃
基本的な連続攻撃は3回。ただし攻撃タイミングが読みにくいので弾きがしづらい。
- 踏み込み斬り
中距離から一気に間合いを詰めて放つ一撃。技の始めや回復を狩ろうとしてくる。
- 去なし
こちらの攻撃をかわして回転斬りや掴みで反撃する。考えなしに一心に斬りかかると突如かわされるので注意。
- 下段
下段は2種類存在し、下段が来るかどうかの見極め方はいくつかあるが基本一心が納刀した際は警戒すると良い。
- 突き
突きも2種類あり、剣戟中の掌底で間合いが離れた際や、こちらは突き自体の出は速いが攻撃前に不自然に移動する。
- 掴み
腕を捻って投げ飛ばし地面へ叩き付ける葦名流の柔術。攻撃を去なされた瞬間など密着状態だと即座に納刀し掴んでくる。投げた後は葦名十文字で追い討ちをかけてくる。
- 一文字
斬り抜けの直後に正眼の構えの一心に近付くと素早い一文字が飛んでくる。
ステップでキャンセルすることが多い。
- 一文字・二連
しばらく刀を打ち合っていると放ってくる上段からの専心一文字。追い一文字はディレイを掛けることができる。威力を重視しているためか流派技と違い体幹回復効果は無い。
威力もさることながら2発受ければ体幹ダメージもかなりのものだが、一文字を弾けば体勢を崩し、追い一文字は放ってこない。
- 奥技・葦名十文字
かつて修羅の腕を落としたとされる葦名流の奥義。十文字が使える相手の中では弾きのタイミングが最も遅い、構えている一心に近付くと斬り上げ→下段の迎撃技になる。
- 秘伝・一心
唸りと共に刀を振り、周囲から炎を噴出させ納刀しながら接近し、神速の連撃で敵を斬り刻んだ後、居合いの追撃を放つ大技。
吹き出した炎を交わしながら連撃を弾き、最後の居合いを弾いて初めて隙ができる。
- 放ち斬り(炎上)
地面を踏んで巻き上げた炎を刀で飛ばす、炎は地を這って真っ直ぐ遠くまで飛んで行く、炎上状態になりやすい。
- 放ち斬り(炎上)
一文字を放ちながら地を踏み、吹き上がった炎を刀に乗せて前方に斬り放つ、一文字を弾いてしまうと後の斬撃をかわしにくくなる。
- 下段放ち斬り(炎上)
一心の背後を取ると、背後に対して炎属性の下段斬りを放つ。
剣聖 葦名一心
不死斬りのもう一振り「開門」を手にした弦一郎の願い、葦名の黄泉帰りを果たす為、剣聖 葦名一心として狼の前に立ちはだかる、開門の力によって全盛期の姿で蘇っており、更に不死と化している。
武器
- 黒の不死斬り
銘は『開門』。狼が手にする赤の不死斬りと対をなす、蓮の花形の鐔が付いた両刃造りの大太刀。
死なぬ者さえ殺す力の他に、条件を満たせば死んだ者を黄泉帰らせる力がある。
- 片鎌槍
国盗り戦で田村主膳が持っていた槍。形部の手に渡ったはずだが、一心を一度忍殺すると地面から取り出す。
以降は槍と不死斬りの変則二刀流に加えて下記の短筒をも用い、文字通りの総力戦を挑んでくる。
- 短筒
一心が懐に隠し持っている銃。戦国時代の一般的な銃と異なり連射が可能。
技
- 通常攻撃(二刀流)
素早い刀とゆっくりな槍のいずれかで始まり、連続攻撃中に振る武器を自由に変化させる。いずれもタイミングが読みにくいので弾きがしづらい。
弾くとすぐに攻撃が止まり、他のあらゆる技に繋がる。
- 銃撃
中距離や遠方から短銃身の鉄砲による銃撃。走りながらや跳び退きながらの槍攻撃の後に4発、槍を弾いた際にも4発、ジャンプ槍叩き付けを弾くと高威力の1発を撃ってくるなどバリエーション豊富。
- 乱舞攻撃
出し始めると弾いても止まらない連続攻撃。出しきりだと刀攻撃2発、槍攻撃4発、突きの引き込みを入れて攻撃の計8回の攻撃。槍攻撃2発目でキャンセルでき、抜刀斬り払いに移行することもある。
- 下段
下段を槍で凪ぎ払う。槍を弾いた時や銃撃後に繰り出す。
頻度が少ないので突きと間違えないように。
- 突き→引き込み
正面に突きを放つ、連続攻撃後または槍を弾いた際などに突いてくる。直接この技を出すことはない。
「こちらに走り寄りつつの刀攻撃1発→槍によるなぎ払い1発→突き」「槍4連撃→突き」の流れは確定モーションなので覚えておくと見切りの準備(心づもり)はしやすくなる。
突いた槍を引き込むこともでき、引き込み中の槍に当たると引き寄せられ、刀での近接攻撃に持ち込まれる。
突きを見切れば、引き込みは出せない。
- 一文字・二連
上段からの渾身の面打ち。打つ際に1回斬ってから放ちディレイはかけられない。
片手で放つ事になるが威力は十分。流派技と違い体幹回復効果は無い。
威力もさることながら2発受ければ体幹ダメージもかなりのもの。弾いても竜閃は出せない。
- 秘伝・竜閃
刃を抜き放ち真空波を伴う斬り下ろしを放つ。その後に遅れて地を這う衝撃波が飛ぶ桜竜を想起させる大技。
弾きでないと防御を貫通する。縦斬りの為かわしやすくはあるが衝撃波にも注意。
- 抜刀斬り払い(秘伝・竜閃)
刃を抜き放ち真空波を伴った斬撃で周囲を高速で斬り払う。
全方位かつ広範囲攻撃の上、下段のように見えるがジャンプではかわせず弾きでないと防御を貫通する。
- 二連斬り(秘伝・竜閃)
斬り抜けた後に力を溜めながらこちらに接近、2発の斬撃を飛ばす大技。
衝撃波こそ出ないが納刀せずに2発の刃を飛ばす、もはや極限の領域に達している。
- 纏い斬り(打雷)
跳び上がり武器に雷を落として着地と共に雷撃を放つ大技。特定の手順で雷を返す事ができ、当たれば大きなチャンスとなる
見事、血戦を征した先に待ち受ける結末は、プレイヤーの判断に委ねられる…
心中の葦名一心
発売から一年が経つ2020年10月29日。SEKIROのVer.1.05無料アップデートが実施され、過去のボスと記憶の中で再戦・連戦できる要素が新たに増え、連戦・不死断ちのすすき野原にて様々な技を習得した心中の葦名一心が登場する。
解放すれば連戦でなくても再戦できるようになる。
- 通常攻撃
通常の一心よりも大技の頻度が減少。
- 下段攻撃
斬り合いに差し込むように使用してくる。
通常の一心と同じ感覚で戦っていると引っ掛かるだろう。
- 一文字・二連
弾いても竜閃に派生しなくなった。
- 奥技・葦名十文字
距離が遠いと、更に距離を詰めてから放つようになった。そのため直線的にダッシュして距離を離していても追いつかれてしまうが、一心の周囲を円を描くようにダッシュすれば避けることができる。
- 抜刀斬り払い(秘伝・不死斬り)
竜閃と差し替わる形で使用する大技。
黒の不死斬りを納刀し念を込めた後、一気に抜き放ち周囲を斬り払う。一心周囲を第一波が、一拍置いて第二波がさらに外縁を薙ぎ払う。
怨霊耐性のあるもので防御しなければたとえ弾いても貫通ダメージを受ける。また、下手に第一波を弾いて凌ごうとすると極大のノックバックで第二波の範囲内に弾き出され、先述の削りダメージと合わせて難易度と身体力によっては即死が確定する。
初見では面食らうこと必至だが、対処法としては霧がらすの無敵で凌ぐ、鳳凰の紫紺傘で弾く、爆竹で発動自体を阻止するといったものがある。
第2段階でもごく稀に使用する。
- 剣槍三連撃(下段)
不死斬りを掲げて猛進し刀で下段を放ち、さらに槍を振り上げながら跳び上がり、〆に突きまたは縦方向の溜め薙ぎ払いを放つ。
初撃の下段をジャンプでかわしても槍の振り上げで叩き落とされる。それを空中弾きした後も、〆の派生をしっかり見極めなければ痛手を負うことになるだろう。
バックジャンプで下段が届かない位置まで離れれば比較的安全に対処できるが、やはり〆には気を付けなければならない。
ただでさえ難敵中の難敵であるラスボスの強化版だけあって苦戦は必至である。しかし、他の強化ボスとは異なり技を追加しただけで既存のセオリーが十分通用するため、「強化ボスの中では一番戦いやすい」などの声も上がっている。
黄泉帰りは、その者の全盛の形を取る
即ち、死闘を重ね、貪欲に強さを求め
あらゆる技を飲み込もうとした一心だ
一心は最期まで死闘を求め、それは叶った
~戦いの残滓・剣聖葦名一心~
一心の思惑
葦名で起こる様々な事柄に関わり、物語において重要な情報を知っている節があり、不死に関すること、黄泉帰りのこと、不死斬りに関しては赤と黒の二振りあることまで知っており、国盗り戦では黒の不死斬りを振るっていた。
重要な書物である「黒の巻き物」を自身の部屋に置き、会話からは仙峯寺にも行ったことがあるような口振りも窺えるが、本人から核心たる言葉は一つも得られない。
後々にどこからか黒の不死斬りを得る弦一郎の葦名を思う覚悟を感心していた様子もあって、一心の性格から考えても弦一郎に黒の不死斬りのありかを密かに教えた可能性が高い。