M202
えむにぜろに
特徴
四つある砲身が特徴であり、そこに焼夷弾を装填して主に使用する。焼夷弾の燃焼剤は、ナパームと誤解されるが実際にはTPA(増粘自然発火性剤)が使われている。
発射時に強い白色の光を発しガソリンやナパームより高温であるため、この光は非常に激しく距離によっては直接火に晒されずとも熱放射だけで火傷を引き起こす危険がある。
なおM72LAWと口径を共有していることから同兵器の弾(つまり対戦車榴弾)を一応装填可能であるが、M202用には対戦者榴弾用の装填クリップは作られていない。
また本来この兵器の使用用途は飽くまでも火炎放射器の代わりであるため、基本的に対戦車榴弾は配備されていない。
つまり仮に榴弾としての使用が必要な状況ならそれ専用に開発された他の兵器のほうが有効であり、M202に対戦車榴弾を搭載することはない。
逆にM202が本来の目的においては代替の兵器はなく、前述のM72LAWは対人/対戦車火器としての旧式化により殆ど置き換えられているが、火炎放射器の代わりとなるM202の後継は存在していないため、今後も末永く使用されることが予想される。
近年では、M202は弾薬がかさばる等使い勝手が少々悪く、またそもそも焼夷兵器が必要な近距離戦が起きてないこと、焼夷兵器自体の人道性の問題もあり、配備はされているものの使用例は殆どない。
余談
M202は、コマンドーやバイオハザード等の映画やゲームなどに多く登場しているため、知名度は比較的にある。
しかしこの兵器の本来の目的は前述のように、射程の短い火炎放射器の代替であり、実射の動画をみても分かるように爆発による被害はあまりなく、その後に起きる焼夷効果がメインである。
しかしながら殆どの創作物では派手な榴弾(ないし成形炸薬弾)を発射する、一般的なロケットランチャーとして描写されてしまっている。なおこの手の兵器は焼夷兵器の有効性と、その射程の短さが問題となったベトナム戦争以降に、火炎放射器の後継として「ナパームロケットランチャー」が一つのジャンルを確立できるほど各国で開発された(例:M202,RPO Rys,AGI3×40など)のだが、皮肉にも開発のきっかけともいえるベトナム戦争で焼夷兵器の非人道性が注目され、また先進国の介入する紛争の多くが山間部や砂漠地帯などの開けた土地に移行したこともあり使用されなくなってしまった。
これに前述したような有名創作物による勘違いが加わり、この種の兵器自体の知名度が芳しくない…