概要
魔王軍の幹部の一人で、本名は“セレスディナ”。
傀儡と復讐を司る、信者が一人しかいないマイナーな邪神レジーナを崇拝する、ダークプリーストの人間。軍では謀略と諜報を担っている。
性格
初登場時は聖職者らしい善良で清楚な人物を演じていたが、本性はチンピラそのもので、相当ガラが悪くやさぐれており、口調も乱暴。上司である筈の魔王に対しても、「様」すら付けずに呼び捨てにしている。
カズマも彼女の本性を知った際は、かなり引いていた。
更にそのやり口も、流石のカズマも引く程のタチの悪さを誇り、魔王の敵になりそうな実力のある冒険者には、『実は魔王は呪いで姿を変えられた美少女で、わざわざ危険を冒さなくても時が経てば呪いは解け、世界は平和になる』という相手の情に訴えかけ、なおかつ我が身可愛さを刺激する内容の嘘を吹き込み、魔王に挑む気を無くさせている。
能力
一応プリーストではあるため、『ヒール』や『セイクリッド・ターン・アンデッド』が使える。
また、即死魔法の『デス』も使えるが、相手に耐性があると効果を発揮しない。
しかしそれよりも厄介なのは、邪神レジーナの加護を受けている事により、自身に借りを作った人間を傀儡に変え、支配する事が出来る(ただし、支配できる数には上限がある)能力である。この能力は、セレナに作った借りを返すまで解く事は出来ない。また、支配力の強さの割り振りも可能。
更に、人間のみならず死体も傀儡として操る事が出来る。しかもゾンビとは異なり、飽くまで邪神の力で操られているだけのただの死体にしか過ぎないため、アクアの浄化魔法も効かない(ちなみにセレナは、『自らの傀儡と変えた死体を操り、他のプリーストが手も足も出ない所を退治する』というマッチポンプを、街の冒険者から手っ取り早く信頼を勝ち得るための常套手段として、よく行っているとの事)。
これら以外にもレジーナの『復讐』の力も使え、自身に攻撃してきた者に同じだけのダメージを与えられる(当然セレナを殺せば、その相手も死んでしまう)。
以上の様に、高い攻撃能力を誇っていた他の幹部とは異なり、トリッキーな能力を用いる。
作中の動向
原作14巻の冒頭で、カズマを魔王軍にスカウトする目的でアクセルの街に潜入。
無償で治癒や除霊を行うなどして街の住人からの信頼を勝ち得た後、紅魔の里から帰還したカズマにファンを名乗って近付こうとしたまでは良かったのだが、偶然現れたウィズにあっさり正体をバラされた挙げ句(なお、ウィズに悪気は一切無い)、バニルに有り金を全て毟り取られるという憂き目に遭う。
次巻の15巻では正体がバレた後は開き直り、カズマと『己の正体をバラさない』という前提条件付きで互いへの不可侵条約を結び、その後も順調に人気を勝ち取っていった。
しかしそれと反比例する様に、アクセルの街でのアクアのプリーストとしての立場が無くなっていき、アクアの「……私、この街にいらない女神ですか?」という弱音と涙を見せられ、セレナを街から追い出すための妨害を決意したカズマから、遠距離から『狙撃』を使い飲み物を溢させる、セレナが泊まっている小屋の扉を『フリーズ』で凍らせ閉じ込める、「セレナは実は男」という噂を街中に流す、公衆の面前でセレナのスカートを捲り、その状態のまま『バインド』で固定するといったありとあらゆる嫌がらせを受け、遂に堪忍袋の緒が切れる。
傀儡化した従者を率いてカズマの前に現れるが、その場にアクアやバニルもいた事で上手くいかず、結局は諦めて魔王城へ帰ろうとする。
だがその際、『魔王軍内でめぐみんに懸かっている懸賞金を解除する』事と、『魔王軍がカズマ達のパーティを狙う事を止める』事を手配すると告げてカズマに感謝させ、彼を傀儡化してしまう。
カズマを支配下に置く事に成功したは良いが、その際に『我慢するのを止めろ』と命令したためにカズマが暴走。セレナから受けた借りを返すと傀儡の効果が弱くなる事を逆手に取り、セレナに要求される度に代償を求め、主にセクハラや豪勢な食事を要求して彼女を心身共に疲弊させていく。
とうとう限界を迎えたセレナは、カズマをアクア達に返却。バニルから入手していた『傀儡化を解除するポーション』で元に戻ったカズマに、同じくバニルから入手していた『レベルリセットポーション』を使われてレベルを1まで下げられた上で、警察に突き出された(なおその代償として、上述のレジーナの『復讐』の加護の力で、カズマも共にレベルダウンしてしまった)。
…が、16巻で何と脱獄を果たし魔王城へ向かう途中、アクアの命令で魔王城までの街道のモンスター狩りを行っていた、ゼスタを始めとするアクシズ教の信者達と遭遇。更には、アクアを追って魔王城へ向かう途中のカズマ達にも見付かってしまう。
アクアに散々嫌がらせをしたばかりか、家出をする原因を作った事をカズマから聞かされた信者達に吊し上げられ、その上ゼスタからはセクハラされまくった挙げ句処○まで奪われそうになり、最後はカズマが提案した『魔王軍に関する情報を洗いざらい吐き、アクシズ教に入信する』という助かるための条件を、泣く泣く呑んだのだった。
余談
ちなみに彼女が信仰しているレジーナは、元は紅魔の里に封印されていたのだが、スピンオフ『この素晴らしい世界に爆焔を!』でめぐみんが初めて爆裂魔法を使用した際の衝撃により、封印が解けてしまっている(カズマ達が初めて紅魔の里を訪れた原作5巻でも、少しだけ触れられている)。
更に同作者の作品『戦闘員、派遣します!』に、姉妹神である“ゼナリス”の名前が登場している。