真面目な概要
核戦争時、地上を死滅させる勢いの核攻撃とそれによる死の灰から逃げるケンシロウ、ユリア、そしてトキの三人は避難用に作られたシェルターへとなんとかたどり着くが、そこは既に大勢の子供達と数人の大人で埋め尽くされていた。
唖然とする三人に対し数少ない大人であったシェルターの御夫人は言った。
「ご・・・ごめんなさい ここは もうひとり いえ・・・どうつめてもふたりまでです!! 時間が ありません すぐに死の灰が押しよせてくるわ!!」
その言葉を受け、ケンシロウ達は当然悩むのだがここでトキはケンシロウとユリアの二人の背を押してシェルターへと押し入れる。そして自らはシェルターの扉を固く閉じた……。
そしてこの時シェルターが満員である事を告げたのがシェルターの御夫人である。
特に名前も無くここだけの出番であるが、作中でも屈指の名シーンと言われ、トキの人柄を現すシーンでもあるために、この夫人の存在も記憶に残った者も多いと思われる。
名前も特にないため、「シェルターのおばさん」「シェルターのババア」と言われ、イチゴ味ではトキに「御夫人」と言われた。
トキが死の灰を浴びた原因?
長らくこの夫人はファンの間でもシェルターのババア等あまり良い扱いは受けていなかった。
と言うのも件のシェルターであるが、確かに子供達でスペースが無いように見えるがケンシロウ達三人であれば案外入れそうなのだ(しかもこの後のトキの犠牲に涙するケンシロウのシーンで、もっとスペースの余裕があることが確認できる)。そうであるのにもかかわらず、死の灰が迫る事への焦り故か「どうつめてもふたりまでです!!」と言い切ったためにトキは一人シェルターの外で死の灰を浴びる事となり、トキを北斗神拳伝承者の道から断念させる結果となる。
そのせいでファンからは当時から「入れるだろ」「ババアが出ろよ」「子供肩車したら?」「ババアの正体はトキの伝承阻止を目論んだ南斗シェルター拳の使い手」などの声が聞かれ、近年のネット界隈でも「子供が増員され天井付近まで埋まっている」「トキがケンとユリアを突き飛ばすシーンでトキの背後に子供を配置し、あたかもトキが二人を締め出したように見せる」といったコラ画像が出回るなど散々な扱いを受けている。
それもあってかは不明だが、アニメ版では自動開閉するはずのシェルターの扉が故障して外から動かさないと閉まらない等、トキが外に残る理由付けが強くなった。……肝心な時に故障するシェルターなんて欠陥とか言ってはいけない。
また『トキ外伝』では「エレベーターが重量オーバーの為あと二人しか乗れない」という理由となった。
イチゴ味的な概要
ターバンのガキの様な原作の名も無きモブを妙な強キャラにする事に定評があるスピンオフ作品北斗の拳イチゴ味でも、「第122話 199Xスペシャルの巻」でついに登場した。
出だしは原作とほぼ変わらずやはりシェルター前で「どうつめてもふたりまでです!!」と言い切る。
が、ここはやはりイチゴ味。ケンシロウ達は示し合わせそっと……シェルター内へと三人同時に入り込んだ。
一瞬無事シェルター内へ入れたかに見えたが、次の瞬間三人は凄まじい勢いで後方へと吹っ飛ぶ。
ここで御夫人が再び言う。
「ご・・・ごめんなさい ここは もうひとり いえ・・・どうつめてもふたりまでです!!」
その後、ユリアを優先し次にトキがケンシロウを肩車、一人づつそっと入る、天井に張り付いてスペースの確保、仮死状態になる事での食料や空気の問題解決を実践、提案するも悉くシェルターからは三人目が弾かれる結果となり、そして
「ご・・・ごめんなさい ここは もうひとり いえ・・・どうつめてもふたりまでです!!」
である。
ついには「激流を制するは静水!!」と全盛期トキが軽やかな動きでシェルター内への侵入を試みるがなんとここでシェルターの御夫人は直立不動、体勢も表情も変えぬままトキと同等かそれ以上の動きでトキを弾き飛ばした。
そう、今まで三人での侵入を拒んだのはこのシェルターの御夫人だったのである。
またこの時二人の動きの擬音であるが、トキは「シュッ シュルル シュルル ビタァーン スィィーン」なのに対し、夫人の動きは「ス・・・ススゥースゥー」のみ、トキ以上に動きに無駄が無い。更によくよく見ると、トキはこの際一コマ中四つの残像を見せ、二コマ目でスィィーンと飛び上るが、夫人は一コマの中で六つの残像をえがいている。このコマの描写的にもトキ以上に無駄なく、かつ多く動けている節がある。これには思わずケンシロウでさえ驚愕していた。
その戦闘能力たるやトキ曰く「北斗琉拳の魔闘気の様な気の流れ」「この空間(シェルター)にいる限りその夫人の力は無双となる!!」とまで言わしめている。なんなんだこのババア。
結局トキはこの運命を受け入れオチとしては原作通り一人外で扉を閉める役割で終える。
トキ「・・・これもまた運命!」
なお、この際コマ横の煽り文は、「運命なんだったら仕方ないね・・・。」
例えギャグであろうと、それが北斗次兄の運命であったのであろう。仕方ないね・・・。