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フライトラインの編集履歴

2022-11-06 14:38:31 バージョン

フライトライン

ふらいとらいん

2018年生まれのアメリカの現役競走馬。主な勝鞍は2021年のマリブS、2022年のメトロポリタンH、パシフィッククラシックS、BCクラシック(以上GⅠ)。その圧倒的かつ絶対的なパフォーマンスから、史上最強馬との呼び声も高い。

プロフィール

生年月日2018年3月14日
欧字表記Flightline
性別
毛色鹿毛
Tapit
Feathered
母の父Indian Charlie
生産者Summer Wind Equine
馬主Hronis Racing LLC, Siena Farm LLC Et Al
管理調教師J.Sadlar

父TapitはウッドメモリアルSを勝利し、種牡馬としてテスタマッタクリエイターⅡEssential Qualityなど活躍馬を多数輩出した名種牡馬。グランアレグリアの母父としても知られる。

母FeatheredはG3・エッジウッドSを勝利し、アメリカンオークススターレットSで2着。

母の父Indian Charlieはサンタアニタダービーを勝利している。


経歴

デビュー前

2018年3月14日、アメリカの名門牧場・サマーウインドファームに生まれる。


それからしばらく経ったある日、ブラッドストックエージェント(注)のデビッド・インゴードがサマーウインドファームを訪れる。

お目当ては37年ぶりのアメリカクラシック三冠馬・アメリカンファラオの半弟であるタピット産駒の栗毛の牡馬。しかし、インゴードはそれとは別の、同じタピット産駒の鹿毛の牡馬に一目惚れする。この馬こそ、後のフライトラインだった。

その後も数度見る機会があったものの自身の直感が揺らぐことはなく、高額となることが予想されたため5つの馬主グループを纏めてその代理人となると、2019年のファシグティプトン8月セールにてこの馬を100万ドルで落札した。


落札されたフライトラインはアメリカの名調教師ジョン・サドラーの元に預けられると、デビューに向けて調教が積んでいたが、2020年1月の調教準備中、何らかの原因で驚いて故障を発生。治療が行われたものの、不幸にもCOVID-19の世界的大流行による社会的大混乱も相まって育成が大幅に遅れてしまい、デビューが3歳の4月という遅い時期までもつれ込むこととなった。

  • 注:馬主から一定の手数料と引き換えに依頼を受け、代理人として競走馬の購買に当たる職業。正確には購買のみならず、競馬業界についてのアドバイスや目標レースの確定、繫殖機会の確保など様々なサービスを馬主に提供する一種のコンサルタントである。

3歳時(2021年)

4月、サンタアニタ競馬場6f(約1206m)の未勝利戦でデビューを迎える。スタート直後すんなり先頭を奪うと直線に入る頃には5馬身ほどのリード。さらに直線持ったまま差が開く一方。13.1/4馬身という圧倒的な着差を付けて初勝利を飾る。

続いて、9月にデルマー競馬場6fのアローワンス(条件戦)に出走。3,4コーナー中間で先頭を奪うと、またもや持ったままで12.3/4馬身差を付けて大圧勝。

デビュー2戦があまりに衝撃的な勝ちっぷりであったため、厩舎側はBCスプリントへの出走を提案する。しかし馬主がこれを拒否したため、年末の3歳スプリントG1・マリブSに出走することになった。


マリブステークス

マリブSにはG1を既に2勝し、その年のBCスプリントで2着に入ったドクターシーヴェルも出走しておりメンバーのレベルは決して低くなかった。

スタートするとすんなり先手を奪い、やはり今度も馬なりで、しかも鞍上が大きく振り返って後続馬の様子を確認するほどの余裕を見せつけながら他馬を一切寄せ付けず11.1/2馬身という驚愕の着差をつけてG1初勝利。

ロンジンワールドベストレースホースランキング(以下LWBRR)では124というレーティングを獲得し、ダートスプリントにおいてトップの評価を得た。また、競走馬のパフォーマンスを表す指標の一つであるベイヤー指数では118という数値を叩き出した。これは2021年のアメリカ競馬全レース全競走馬の中で最高値であった。


4歳時(2022年)

当初はサンカルロS(G2)での復帰を予定していたが、2月の調教後に飛節を痛めたためこれを回避し、当初の目標であったメットマイルことメトロポリタンH(G1)に直行した。


メトロポリタンハンデキャップ

ここでは出走馬5頭中フライトライン含め4頭がG1馬、しかも前年BCスプリント勝ち馬アロハウエストや前走カーターH(G1)を圧勝したスピーカーズコーナー、2着続きではあるもののG1で好走を続けるハッピーセイバーなど好メンバーが出走する中、圧倒的な1番人気に推される。

大きく出遅れながら、3,4コーナー中間で先頭に立つとあとは独走。今回は馬なりではなかったが、残り数十mで鞍上が完全に追うのをやめる余裕を見せつけノーステッキ6馬身差でG1・2勝目とした。

この勝利を受けたレーティングは126と発表されたのち、127に上方修正された。この時点で既にダートでは2022年度トップ、芝を合わせてもバーイードと1ポイント差の2番目の評価であった。


パシフィッククラシックステークス-競馬史に残る大圧勝劇

大目標BCクラシックに向け、ダート10fのパシフィッククラシックS(G1)に参戦。その年のドバイワールドカップ勝ち馬カントリーグラマーを抑えて単勝1/5(1.2倍)の圧倒的1番人気に推される。

五分のスタートから2番手を追走。道中抑えきれんばかりの手応えで進出していき、3コーナーに差し掛かったあたりで既に他馬は馬なりのフライトラインに付いていくことすらできない。直線に入ってなお差は開く一方。最後は100m以上流す余裕を見せつけて19.1/4馬身という圧倒的かつ絶対的な着差を付けてゴール板を駆け抜けた。走破タイム1:59.28はトラックレコードまで0.17秒という最後流しておきながら出したとは思えないタイムである。

この勝利によりLWBRRでは139というシガーの135を上回る米国史上最高にして世界を見渡してもフランケルに次ぐ史上2位を得ており、タイムフォームレーティングにおいても143という米国馬としてはそれまでの最高であるアロゲートの139を上回る単独トップ。また、レーシングポストレーティングにおいては140を獲得。ドバイミレニアムの139を超え、フランケルの143に次ぐ全世界史上2位の評価を得ている。ベイヤー指数においても、126という数値を叩き出し、ゴーストザッパーの128に次ぐ史上4位タイとなっている


ブリーダーズカップクラシック

パシフィッククラシックSの後はBCクラシックに直行。

主な対抗馬としてはトラヴァーズSを勝利し2022年連対率100%を誇る3歳馬エピセンター、前年のBCダートマイル勝ち馬にしてこの年にペガサスWCホイットニーSウッドワードS、この年にGI2勝を挙げている3歳馬テイバなど。それ以外も出走全8頭全てがGI馬という豪華なメンバーであったが、それらを押しのけ圧倒的な1番人気に推される。

スタートは五分に決めライフイズグッドが先陣を切るところをぴったりと2番手に付ける。そのままハイペースで逃げるライフイズグッドを付かず離れず2番手で楽々と追走し後続を大きく離していく。向こう正面でペースアップしたライフイズグッドを捕まえに行く。なんと1マイルの通過タイムが1:34.58!同日に開催されたBCマイル勝ちタイムより速いラップである!この地獄のようなハイペースを刻んだライフイズグッドは直線で失速。しかしフライトラインは全く苦にしない。フライトラインにもはや敵はいない。懸命にステッキが入るライフイズグッドを尻目に初めて圧倒的な伸び脚で見る見るうちに突き放していく。なおも余裕を十分に残したまま後続を8.1/4馬身千切り捨て、6戦無敗の世界最強馬はゴール板を駆け抜けていった。

最終的な単勝オッズは1.44倍。BCクラシック史上最も低い単勝オッズでの勝利であった。

また、2着に付けた着差8.1/4馬身もBCクラシック史上最も大きいものだった。

レーティングはまだ発表されていないが、Frankelの140越えも全く夢ではない


来年の動向は共同所有のオーナーとの意見調整を挟んで決定するとのこと。ただし、既報にてオーナー側としては来年も現役を続行する意向が強いとされており、この怪物的な強さはまだ拝めそうである。


レーティング

特筆すべき評価を得たものを記載。


マリブS

レーティング数値備考
ベイヤー指数1182021年アメリカ競馬最高値
LWBRR1242021年ダートスプリント最高値

メトロポリタンH

レーティング数値備考
ベイヤー指数1122022年ダートマイル暫定最高値
LWBRR1272022年ダートマイル暫定最高値

パシフィッククラシックS

レーティング数値備考
ベイヤー指数126アメリカ競馬史上4位タイ
LWBRR1392022年世界最高値、米国馬史上最高値、世界史上第2位
タイムフォーム143米国馬史上最高値、世界史上第5位
レーシングポスト140米国馬史上最高値、世界史上第2位

特徴・エピソードなど

もちろんその桁違いの能力も特筆点なのだが、非常に大きな馬体の持ち主でもある。その恵まれた体躯と素晴らしい柔軟性、そして他を寄せ付けない強靭かつ巨大に発達したトモの筋肉が繰り出す躍動感に溢れる走行フォーム、そしてそのフォームから繰り出される圧倒的なストライド長は8mを超えると見られる。なお、アメリカ競馬に馬体重測定の文化はないので正確な馬体重は分からない。

目の上のくぼみが非常に深い。また、レースでは青いシャドーロールを着用している。

2022年7月30日にデルマー競馬場6fで併走追い切りを行った。一流のスプリンターを軽々とぶっちぎる本馬の併せ調教という無茶苦茶な使命を負ったこの時の併走馬の名前は"Impossible Task"(不可能な仕事)であった。

BCクラシックが終了した時点で、キャリア6戦で2着に付けた着差の合計が71馬身という想像を絶するもので、平均して1戦あたり約12馬身付けていることになる。アメリカ競馬はG1であっても10馬身近い差をつける圧勝が時折見られるが、本馬ほどコンスタントに圧倒的な着差を付け続ける馬は他にいない。



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