有栖川有栖(作家アリス)
ありすがわありす
私の小説。私の繭よ。
概要
独身の中堅推理作家。
ペンネームではなく歴とした本名である。学生アリスの有栖川有栖が父親に名付けられた本名であるように、こちらは母親に名付けられた本名。
探偵役の火村からは、苗字を省略した愛称『アリス』と呼ばれている。
誕生日について特に表記はないが、二次創作では作者と同じく4月26日が当てられている事が多い。
血液型はO型だが、血液型占いには興味がなく、火村の血液型を知らない。
初登場時32歳。33、34と徐々に加齢していたが、34歳からはサザエさん時空に。この辺の事情は『菩提樹荘の殺人』のあとがきに詳しい。
本人いわく、からくも同年配サラリーマン並みの収入を維持しており、四天王寺夕陽丘のマンションに1人で暮らしている。
親友である犯罪社会学者火村英生のフィールドワークに同行して殺人現場に乗り込み、推理する彼に付き添ってワトスン役を務める。
自身が取材旅行先で事件に出くわし、火村を呼び出すというパターンも多い。火村の解決した事件は、ポリシーとして絶対に小説のネタに使わない。
人物
作者と同名の語り部という性質上、客観的な人物像が描写されることは少ない。
それでも、文章の端々から人となりを窺える。
- 大阪生まれの大阪育ちで、関西弁で喋る。語り口は軽妙で屈託がない。
- 初対面の人物から、大抵自由業に見えると評される。普段からラフな格好で、勤め人には見えない雰囲気を発散しているらしい。
- 大学時代の友人に「人を騙すより騙される方」だと思われていた。
- 火村曰く『実は相当なオプティミスト』(本人に自覚無し)
- 煙草は火村からの貰い煙草で、たまに喫う程度
- 推理力は、素人に毛が生えた程度。頓珍漢な推理や、豊かな想像力の飛躍で火村を呆れさせ、時に楽しませている。行き止まりを示す道標として役には立っているらしい。一方で火村に「小説家を失職しても探偵で食べていける」と言われたことも。
- 同業者の朝井小夜子、編集者の片桐光雄を筆頭に、(火村よりは)友人が多い。「私の交友範囲は火村センセを筆頭に紳士しかいません。」(三つの日付より)
- 語学力は英語が海外旅行中現地の人との会話に困らない程度には出来ているが、疲れてくると聞き取りが悪くなってしまうのもあり(また火村の語学力が高いこともあり)、本人の認識では『英語が苦手』。
- 女性には並べて紳士的に接する。しかし、過去の複雑な失恋が影響しているのか、現在恋人はいない(大学生になってすぐと、火村と出会う数ヶ月前に三か月ほどと、22歳の時に相合傘をした相手がいた描写はある)。隣人のカナリアの君(真野早織)とは、清い友情を育んでいる。
- 好みの女性のタイプを自分の小説に反映させて書いてしまっている(自覚が無く、火村に指摘された)。
- 朝井小夜子に電話をかけた時、小夜子のハスキーボイスを真似て電話したら『森進一がダイイング・メッセージを伝えにかけてきたんかと思うやないの』とつまらなさそうに言われた。(海のある奈良に死すより)
- 足が届かないところで泳ぐのがこわい。(朱色の研究より)
- 部屋が真っ暗になるのが好きではないので、仄かな明りを灯して眠る。(狩人の悪夢より)
- クリスマスに独りでいるより、時として春に弱い。夜空で輪郭をにじませる月のように、自分の存在が朧に感じられて。(妃は船を沈めるの幕間より)
犯人目線のアリスの印象
・自由業者らしい雰囲気を発散していて、火村に比べると目元が柔和で、第一印象は人畜無害(ショーウィンドウを砕くより)
・観察があからさまでもっと自然にやるように忠告したくなる。肚の中を隠すのが苦手なタイプなのだろう(カナダ金貨の謎より)
・あんただけは、判ってくれるんだろう?(インド俱楽部の謎より)
火村との出会い・関係
火村とは、英都大学2回生の5月7日、アリスが(授業中に)執筆していた新人賞への応募作を、隣に座った火村が勝手に読んだことで知り合った。以来、十数年良好な友人関係が続いている。(20歳を過ぎてから出会って良かったと思っている。多感な十代の頃に一見すると完璧な火村に出会っていたら自分の敵のように感じてしまったかもしれないから。彼の脆さに気づいてやることも出来ず)
火村が悪夢にうなされていること、心に暗い物を抱えている事を知っている。その暗部に踏み込まず、いつか彼が踏み外しそうになった時支えてやる為に傍にいる。
同じ目的でフィールドワークにも同行するが、それを気取らせず、三枚目役に徹し、愛想の悪い彼と周囲を取り持つ交渉役を務める。
大阪府警に協力した時の火村はアリスの部屋に泊まることが多く(夜中にもなる捜査会議にも出席することが多く、その時間から京都に帰るのは大変だから。アリスが小説の締切でフィールドワークに同行出来なくても、大阪の事件時は泊まりに来る)、火村用に灰皿、朝食用にピーナツバターを常備。
それぞれの用事(締切でホテル缶詰/論文発表など)で同じタイミングで東京にいる時も、違うホテルに泊まっていても会う時間があれば一緒に食事している。(アリスがホテルで缶詰め状態の時でも、火村も東京にいるタイミングなら手土産片手に息抜きになるように会いに来る(鍵より))
トラウマ
・高校(進学校の真田山高校)の二年生の時に、片想いの相手にラブレターを出したところ相手がその夜自殺未遂をした事がトラウマ(7月7日に書いて8日に渡し、9日は彼女が休んで返事が聞けず、10日に自殺未遂を知った)。ちなみにその相手は一命を取り留め現在も存命である事が当時の同窓生からの伝聞で判明している。
・異性についてはトラウマだらけ(朱色の研究より)、女性を笑わせるより笑われることの方が多かったと独白している場面もあり、過去に付き合った女性達ともすぐ別れているので、それらのお付き合いはあまり楽しいものではなかったのかもしれない。
容姿
・容姿の描写は全く無い(自分で平凡な外見という認識している記述はある)。唯一『ブラジル蝶の謎』収録の『彼女か彼か』で、オカマバーの蘭ちゃんに「お連れのお二人さんもいい男じゃありませんこと」と評されている。
だが、オフィシャル美形の火村とセットの評価であり、更に水商売のお世辞である可能性も大きい為、定かではない。(蘭ちゃんはアリスの名前を変だと言ったり、二度目の来店で名前を間違えたりなど、お客であるアリスへの態度があまりよろしくない。単に好みじゃないだけなのか、男前(火村)と美青年(森下)と仲良しな事への嫉妬なのか、オカマ的に羨ましい系統の顔立ち故の嫉妬なのかは不明)
・『乱鴉の島』でアリスが「よく整って賢そうな顔立ちの子」という第一印象を持った小学生男子の市ノ瀬拓海くんと二人でいる時に第三者の男から「若いお父さんですね」と言われ否定したら「違うんですか?」と『親子に見えるのに』というニュアンスとも受け取れる訊かれ方(美少年の父親に見える)をしている場面はある(が、読み手の解釈にもよる)。
・警察や犯罪学者と知り合いの推理作家には見えない(見かけによらない)と言われたこともある。(異形の客より)
・他人に警戒感を抱かせない雰囲気なのか、被害者遺族が(現場検証の一番後ろに立っていた)アリス(に近づいてきて)には多弁な場面がある。(ダリの繭より)
・コミカライズやドラマ、ラノベ版などビジュアルがある媒体では、茶髪で直毛のセミショートにラフな服装の青年として描かれる。
好き嫌い
好き | 嫌い | |
---|---|---|
音楽 | ゴールドベルグ変奏曲(スコット・ロスによるチェンバロ) | テイク・セブン |
小説(ミステリ) | エラリー・クイーン『Yの悲劇』 | |
ミステリ以外 | クライブ・バーカーのアートホラー | アリとキリギリス(のキリギリス) |
食べ物/飲み物 | トマト/蕎麦/珈琲 | トマトジュース |
野球チーム | 阪神タイガース | |
その他 | 旅行/電車(鉄道) | 本を読んでいる時にかかってくる電話 |
太陽と月なら | 月 | |
自分(アリス)にとって不愉快な人物達の共通点(だと感じていること)
全員が、私自身の嫌な一面を歪んだ鏡に映したようだったのだ。(カナダ金貨の謎/文庫P232)