ケルト人
ケルト人は、紀元前9世紀頃中央アジアからヨーロッパに移住したインド・ヨーロッパ語族系の民族である。
ドナウ川流域を中心にその文化は西ヨーロッパ全域に広がっているが、言語・文化体系こそ共通するこの民族は一つの国家にまとまることはなかった。
そのため“ケルト”という呼称も、ギリシャの歴史家ヘカタイオスやヘロドトスが呼んだものである。
おおまかに、ガリア地方などヨーロッパ亜大陸の文化を「大陸のケルト」、ブリテン島に渡ったものを「島のケルト」として区分している。
ケルト神話
現代にケルト神話として伝わる、体系化された神々や英雄の物語はアイルランドやウェールズ地方の神話・伝承を指す。
ブリテン島やガリアに伝わる神話はドルイドの口伝によって伝承されていたが、ケルト文化のローマ化に従ってドルイドの宗教が禁止された為に完全に消滅してしまったとされる。また、ケルト人の宗教は基本的に祖霊崇拝や精霊崇拝が中心だったため、他の多神教のような複数の神による序列そのものが築かれることもなかったといわれる。
一方、アイルランドやウェールズ地方の神話はローマの侵攻から免れ、またアイルランドに布教した聖パトリックがキリスト教とケルトの神の融和を図り、周辺の伝承を収集・記録したことから命脈を保つことに成功した。
そして十二世紀頃から『侵攻の書』など「ケルト神話」として知られる各種伝承・記録を編纂した書物が登場するようになった。
構成
ケルト神話は以下の4つのサイクルで構成されている。
神話サイクル
ダーナ神族を初めとする、神々の物語。
アルスターサイクル
クー・フーリンを中心とした英雄の物語。
※クー・フーリン、スカアハ等。
フェニアンサイクル
フィアナ騎士団の物語。
※フィン・マックール、ディルムッド・オディナ、グラーニア等。
歴史サイクル
歴代のアイルランドの君主の物語。