概要
- 16世紀のイギリスの財政家トマス・グレシャムが提唱した経済法則(グレシャムの法則)で、一つの国に価値の異なる2種類以上の貨幣が、同一の額面で通用している場合には、良貨は退蔵され、悪貨だけが流通する現象をいう。
- 転じて、悪人がのさばる社会では、善人は身を縮めて暮らさなければならぬ不遇の世であることに例えたことわざとなった。
歴史上の例
海外
- テューダー朝:16世紀、英国王ヘンリー8世は財政難を回避しようと、当時使用されていた貨幣に含まれる金や銀の含有量を減らした不良貨幣、すなわち悪貨を乱発した。やがて国民は、より多くの購買力を確保しようと、本物の金・銀貨を溶かし、より多くの「悪貨」に変えた。これによる経済の混乱の尻拭いはエリザベス1世の時代に回ってくる。
日本
- 元禄時代:江戸時代、徳川綱吉の世では儒教の思想に基づいた政治が勧められ治世の前半は江戸文化の代表である「元禄文化」が生まれ栄華を極めた。しかし、文治・仏教・朝廷政策で膨大な支出があるのに佐渡金山の金の産出量は減り続け、財政再建を図るため貨幣改鋳、つまり質の低い小判を作るというインフレ政策に走る。質の低い小判の発行増で幕府は多大な増収をあげたが、貨幣価値の下落は物価の高騰を引き起こし庶民の生活は圧迫された。この経済の混乱は「生類憐れみの令」と共に徳川綱吉の治世の評価を下げる一因となっている。
(※他にも歴史上の事例があれば加筆・修正お願いいたします。)
関連タグ
関連作品
ハイパーインフレーション:住吉九による経済頭脳戦ファンタジー漫画。