概要
ひぐらしのなく頃に鬼に登場するキャラクター。
初登場時の大正12年の時点で13歳、メインとなる舞台の昭和13年では27~28歳。
雛見沢御三家の一つ、公由家の生まれではあるが分家筋であり、父親は早くに他界し、元娼婦の母親である公由千代子(年齢不詳、原作に登場する鷹野三四に瓜二つだが関係性は不明)と二人暮らしだった。その関係からか、村人達からは少年時代から既に苛められおり、昭和時代では村八分同然の扱いを受けている。
同じ御三家である園崎お魎や古手葎花とは子供の頃から交流があり、折口宗平が部長を務める『雛見沢げぇむ倶楽部』にてある事件が起きるまで4人で仲良く遊んでいた。
同じ公由家である公由喜一郎とは向こうが避けているためか、あまり交流がない。
人物
容姿はピンク寄りの薄紫の長めの髪で右分け、黄色い目に逆三角の瞳。容姿端麗、細身。顔や身体にほくろが多いのが特徴。
普段は主に着物を着ているが、内側に特徴的なデザインの服を着たりブーツを履いたりと、いわばこの時代の若者ならではの「モボ」スタイルを好み、職場ではベストを着用する姿も。また、視力に影響するのかは不明だが時折眼鏡をかけている。
作中では宗平から「独り身なんて信じられない」と太鼓判を押されるほどの美男子である。
成績も昔から優秀だったらしく、現在は興宮市の役場にて農会の窓口も兼任しながら仕事をしている。
性格も穏やかで優しいなど一見欠点らしい欠点が見当たらないが、勝負事には弱く、あまり身体を動かすことに積極的ではない。他の子供達より年上の立場であることを気にしている場面もあり、自分の意見を言うのが少し苦手。年下の宗平には振り回されているような空気が目立つ。
以下、本編ネタバレ注意
後年のスピンオフ作品であるため当然ではあるのだが、漫画作中から半世紀近く経過した原作では彼の存在に言及されている話は一切ない。(宗平は原作本編、葎花は賽殺し編にて存在が示唆されている。)
彼がどのような結末を迎えたのは現状不明だが、村から存在そのものを抹消されていることから、触れることすら許されない出来事があったのではと推測されている。
1話で開催された鬼ごっこではじゃんけん(※パーで全員に一人負け)で負けて鬼に決まり、葎花と協力しつつ最後に残った宗平を追いかけるも捕まえることはできなかった。
この時から「急がないと彼うるさいからね」「大丈夫だよ、僕だって駆けっこ宗ちゃんに勝てたことは無いもの」と弱気なお両を時折気にする素振りや、祭具殿に入ろうと提案する宗平にやや躊躇う姿勢を見せる。しかし結局この時は場の空気に流されてしまい、自分も付き添い4人で「入ってはいけない」とされている祭具殿に入ってしまう。
その後、後に「詮索してはいけない祟り」と呼ばれる一夜の大量惨殺事件に巻き込まれ、目の前で〝変わり果てた〟母親を目撃する。
しかしその後母親は失踪してしまい、この状況を周囲からは「千代子は鬼になり沼に沈み『鬼隠し』に遭った」とされ、母親を鬼(元凶)扱いされる。以来主に彼女を疎ましく思っていた村民達によって息子である清治はさらに不当な村八分を受けることになる。
その後公由本家は状況を見かねたのか興宮に彼を移し、職を与えるも、清治はこれに対し「厄介払い」という認識をしている。(しかし「公由(千代子と清治)が祟りに遭った」という話を聞いた本家頭首の平七郎による「公由の面汚しが」という発言により、残念ながらこの清治の認識は全くの認知の歪みによるものではないと思われる)
清治は不遇な環境や、精神病の初期症状の影響で、徐々に周囲に対し疑心暗鬼になり始め、常に傍にいて献身的に接してきた本家の葎花や、御三家本家に対し時折攻撃的な発言をするようになる。(園崎に関してはお両や佑魕は例外)
「唯一誰も祟りに遭わなかったオヤシロ様の血を引く古手の巫女」と「身分が格下で嫌われ者の自分」という立ち位置を主張したいのか、子供時代は普通に会話していた葎花に対し露骨に畏まった敬語で語りかけ、様付けをする。彼女は何度もやめるよう言ってきたらしいが全く聞かない為、そのまま彼に合わせるようにぎこちなく会話している。
御三家への不信感は増幅するばかりで、とうとう再び単独で祭具殿に忍び込むというそれまでに見られなかった大胆さを発揮する。(因みにこの直前では葎花が共謀してはいるものの古手神社の神聖などぶろくをくすねており、神社の宝物庫を荒らすことを躊躇っていた少年時代との差がこの時点で少しうかがえる)
そこで子供の頃に目にした「鬼降し」という謎の単語と絵が描かれた掛け軸を発見する。清治が祭具殿に再び侵入した理由はこの掛け軸を探す為で、何故かここで御三家の誰かが母に鬼を降ろしたと清治は確信し、疑い始める。
「何故祟りが過去に祭具殿に入った自分ではなく、母親に降りかかったのか?」「何故優しかった母親は変貌したのか?」という真相を突き止めることが清治の最大の目的であり、母や自分の汚名を晴らすことで御三家の陰謀を証明できると清治は本気で信じていた。疑心暗鬼を爆発させる形相や発言こそ狂気だが、「母さんは何もしていないのに何故僕じゃない!」という様子から、過去の自分の行動を責めているようにも解釈できる。が、明らかにその前後の発言では雛見沢症候群特有の他責思考が現れている。
葎花は偶然清治が祭具殿に入る所を目撃し、その狂気の様子を見た彼女はただならぬ気配を感じ正気に戻るよう説得を試みるも、一旦は聞き入れる様子でその後の効果はあまりみられなかった。それでも彼女は何度も彼と向き合う事を諦めなかった。
他のメンバーも彼を心配していたが、清治は最終的に自らの意思で仲間を突き放し孤立しようとする。
中でも事件後に村を離れた宗平に対する清治の敵対心は凄まじく、彼が自ら孤立する引き金にもなった。
実のところ、清治は大正12年の事件が起こる以前から「差別なく特別な扱いをしてくれた」お両にひっそり恋心を抱き続けていたが、当の彼女自身は宗平に対し頑なに一途で、事件の影響で彼が村を離れていた15年間もずっと宗平の存在だけが気がかりな様子で、とても話しかけられる状況では無かったという(これに関しては一部清治の認知の歪みが含まれる可能性もある)。
その事実を目の前でずっと突き付けられ続けた清治は次第に卑屈になり、環境的にも状況的にも思うように気持ちを打ち明けることができないまま最終的に15年も過ごすことになった。自分の欲しかったものを全て奪っていくと感じていた宗平に対し、これまでの人生全てを比較するようになり、日々劣等感に苛まれ、激しい嫉妬心を抱いていく。
そして清治は日中戦争に召集され、出征する前にせめてお両に気持ちを伝えようとしていた矢先、宗平にまたしても機会を邪魔されたことをきっかけに今まで彼に対し溜め込んでいた負の感情を清治は全て爆発させてしまう。(ここで開かれた壮行会は、宗平としては清治を明るくみんなで送り出す為に用意した貴重な時間だった)この一連の流れは当のお両や葎花もすぐ近くにいる中で繰り広げられた事もあり、気まずさもあったのか清治ははっきりとここで踵を返し決別しようとする。
この15年蓄積させた強い嫉妬心が彼を変えてしまったといっても過言ではない。
そんな中、出征前に雛見沢症候群(当時は祟りと例えられる)の前兆が見られ、現象を把握していた園崎お魁の指示により園崎家の地下祭具殿に極秘で隔離、幽閉される。
この一連の流れを現在知るのはその場にいた葎花とお魁、事態をもみ消す政治的な権力を持つ公由平七郎のみである。
地下祭具殿は明治以前から使われてきたらしいが、現時点では「あってはならないものを隠しオヤシロ様の元へ還す場所」であり、禍々しい拷問器具が周囲に置かれていること以外はその詳細は一切不明である。公由清治がこれから送られる場所はそういう場所である。
さらに追い討ちをかけるように宗平とお魎の仮祝言(宗平の出征が決まったため)がお魁達御三家によって半ば強引に執り行われてしまい、本人の預かり知らぬところで思い人を奪われることとなった。(宗平は急な話な上、清治の思いを知ってるためか罪悪感で躊躇しているところが見られる。)
当然お魁は孫や家の将来を思っての決断であり、他の御三家も決して清治を貶めてやろうなどとは考えていないのだが、彼にとっては村によって最も大事な思いを踏み躙られたも同然の所業である。
関連項目
北条悟史……原作で登場するキャラクター。村八分の扱いを受けている、雛見沢症候群を発症したなどの共通点がある。