ある団地105号室に突如異変が起きた!不気味な青白い手が伸びて来る
電話コードが蛇の様に這い回り、水道から生暖かい人の血が…
悪魔の霊が住み着いたのでしょうか?君達を恐怖の部屋へ案内しよう
さぁ、みんなで見よう「ウルトラマンレオ」!!
放送日
1974年11月22日
登場怪獣
宇宙悪霊アクマニヤ星人
STORY
パトロール中のマックロディー。ふと異変を感じた助手席のダンは、隣のゲンに呼びかけ、空を指差す。すると、空には薄い暗雲が立ち込めていた。ゲンが「嫌な雲」だと言っていると、その中から現れたのは…
巨大な眼のついた隕石だった。ゲンはダンの指示を受け追跡。
ナレーション「宇宙の悪霊が棲むという謎の怪奇隕石・アクマニヤが、遂に飛来したのだ!しかし静かな昼下がりの町の人々は、その不吉な事件の前兆を知る由もなかった」
(場面転換)
平和なひとときを送る町の住人達。その中にはトオルの従兄弟であるタカシとその母、そして隣人の山根よし子とその父の姿があった。タカシはトオルを呼びに自転車で走り去り、3人とも笑顔で見送る。するとよし子はタカシの母に今日で幾つの誕生日か尋ねる。父が嗜めるものの、タカシの母は微笑んで33だと教える。3人は仲良く何処かへ向かう。
すると、アクマニヤ隕石は団地に接近。だが、人々は見えていないのか誰一人それに気がつかない。そこへマッキー3号でパトロール中だったMACの白土隊員が駆けつけるものの、アクマニヤ隕石は瞬きと共に目を赤く輝かせ、その姿を消してしまった。
時を同じくして花屋へ誕生日祝いの花を買いに来ていたよし子ら三人だったが、そこへあの赤い光が降り注ぎ辺りが軽く揺れる。地震かと思われたがすぐに止んだため、特に気にされなかった。山根は花束を預かると自分で会計を済ませる。すると、花の中から緑色の腕が…
だが誰もそれに気がつく事はなく、腕もすぐに引っ込んで消えてしまった。山根が花束をタカシの母(梅田)に渡そうとすると、よし子が持つという。持ってみると重いと愚痴を溢すよし子だが、ちゃんと持ったまま花屋を後にする。
一方の白土はアクマニヤ隕石の捜索を続けていたが、再び姿を現した隕石はすぐに消え去ってしまう。白土は本部へポイント7238の上空で飛行物体が消滅したことを報告し、引き続き調査を続行するのだった。
(場面転換)
住居の団地に着いたよし子ら3人。よし子が「チューリップ」の歌を歌いながら楽しげに歩き、山根家の前で立ち止まると、梅田は誕生日パーティーは6時からだと伝える。そしてよし子から花束を受け取ると、梅田は礼を言って自室に戻って行った。
自宅へ帰った山根親子。山根がタバコに火をつけようとマッチを擦っていると、よし子は「お隣のおばさんをお嫁に貰えばいいのに」と言い出す。どうやら山根家は父子家庭で、梅田家は母子家庭のようだった。山根は娘の提案を笑って流す。
すると突如、赤い光の明滅と共に揺れが起こる。2人を頭痛が襲い、苦しんでいるとあの緑の腕が床を突き破って伸び、よし子の足を掴んだ。よし子が悲鳴を挙げ、誰かが足を掴んだと父に言うと異変は収まった。山根が娘の足元を調べるが何もなく、怖くなったよし子は父に抱きつく。山根は娘を元気付けようと、彼女を優しく抱え上げた。
その頃、梅田家の部屋でも異変が起きつつあった。花の香りを堪能していた梅田は例の発光と共に突然の頭痛に襲われ、薬を取り出そうと棚を探っていると、中からあの緑の腕が出現し手を引っ張った。慌てて手を振り払い棚を閉めるが、腕はそのまま蠢き続ける。ベッドに倒れた梅田に、別の腕が伸びてまた腕を引っ張る。悲鳴が部屋中に響き渡った…
(場面転換)
マックロディーを団地の近くで停めたゲンは、降りてダンと分かれて聞き込みを始める。手始めにジャンケンをしていた女の子達に話を聞き、大きな目玉を見なかったか尋ねるが2人とも知らないという。
続いて自転車で家に帰る途中だったタカシに出会ったゲンは、前にトオルの所で会ったことがあるというタカシに彼がトオルの従兄弟である事を教えられる。何か変わった事がなかったか聞くがタカシは別に何もないという。
聞き込みを終えたゲンはダンに何も変わった事はなかったらしいと伝え、ダンも引き上げる事を決める。2人を乗せたマックロディーは団地から走り去って行った。
そして自宅へ帰ったタカシは呼び鈴を鳴らすが、母は出てくれない。ドアを叩いても出てくる気配はなく、仕方なくドアノブを回すと開いたので中へ入る。
部屋へ入ったタカシはベッドの上で目を見開いて倒れている母を発見し、驚いて声をかける。か細い声で水を求める母のため、コップを手に水道の蛇口を捻るタカシ。しかし、そこにあの光が…
水道管から出てきたのは水ではなく、真っ赤な血であった。
怖くなったタカシは部屋から出ようとするが、外から吹き込んできた緑色の煙に押し返されてしまう。外から新聞のクズなど沢山のゴミが吹き込み、怯えるタカシ。すると、電話の受話器が伸びてタカシの首に絡みついた。コードを振り払って窓の外へ出ようとするタカシだが、赤い強烈な光が差し込んでタカシの行手を阻む。地面を転がるタカシは母に助けを求めるが、母の顔は見る間に緑色に染まっていき、タカシは戦慄する…
(場面転換)
その頃、MAC基地に白土が帰還したが、あの時遭遇した大きな目玉の正体が気になっている様子だった。
白土「う〜ん、何だろうな、あれ」
梶田「目玉だって?」
白土「うん、飛んでくのを見つけてマッキー3号で追いかけたんだ。そしたら、瞬きを…この瞳と一緒だよ」
松木「気味が悪いわ…」
梶田「宇宙船…いや、隕石の一種かな」
松木「隊長から連絡があって、データを揃えてコンピュータにかけたんだけど…」
白土「で、回答は?」
松木「"正体不明、回答不能"」
MACの一同も、謎の怪奇隕石の正体に首を傾げていた…
(場面転換)
ゲンとダンは地上でパトロールを続けていた。ダンはこのまま何事もない事を祈る…
そして、あの団地へトオルがやって来た。片手には叔母への誕生日プレゼントを持っていたが、彼は何故か人気のない団地に不気味さを感じていた。
やがて部屋の前へ辿り着いたトオルは呼び鈴を鳴らしてタカシの名を呼ぶものの、誰も答えない。ドアが開いていたので中へ入ると、そこには物が散乱していた。トオルが不思議そうに足を踏み入れると、光と共に怪現象が発生。物が巻き起こってドアが勝手に閉まり、トオルは慌ててドアを開けようとするがノブが発光。忽ちドアノブは高熱を発し、トオルは手を離してしまう。部屋の奥からまたあの緑の腕が伸び、トオルは悲鳴を挙げる。
それからどれだけの時間か、トオルは気絶して床に倒れていた。そんな彼にタカシが駆け寄って助け起こし、一緒に母を助けようと呼びかける。トオルとタカシが2人でベッドへ向かうが、そこに母の姿はない。ふとトオルが天井を見上げると、そこにタカシの母は張り付けられていた。やがて床の物が次々天井に張り付いていき、悲鳴と共にそれらの物がトオルらに降り注ぐ。梅田母もベッドに落下し、タカシらが駆け寄るとそこへ緑色の腕が伸びる。
窓は割れ、本棚からも腕が迫り、壁を破って別の腕が現れ…
その惨状は正に地獄絵図。壁にかけられた絵をも突き破って腕が現れ、トオルもタカシも気絶。部屋に不気味な呻き声が響く…
(Aパート終了)
尚もパトロールを続行するゲン達。すると、車が橋に差し掛かった所で人集りができているのを発見。人々が団地の方を見て大騒ぎしており、ゲンは車を降りて事情を聞く。
ゲン「どうしたんですか!?」
老人「変な音が聞こえるんですよ!」
ゲン「変な音?」
老人「さっきからね、あの音!団地からね、物凄い音が聞こえるんですよ!」
異変を感じ取ったゲンはすぐさま団地に急行。移動中にダンもマッキー2号に待機するよう知らせ、現場に到着した2人は調査を開始。
すると団地に近づいた途端、空間が歪み、謎のノイズが響く。
ゲン「隊長…!」
ダン「こいつは只事じゃないな…」
ゲン「こんな物凄い音がしてるのに、団地の人達はどうしたんでしょう?」
ゲンらは部屋の前にやってくると、中の住民へ呼びかける。しかし…
ゲン「御免ください!」
謎の声「帰レ…カエレ!カエレ〜ッ!!」
この世のものとは思えない不気味な声が、確かにそう言ったのだ。明らかに生きた人間の声ではない。しかし帰れと言われてただ帰る訳にもいかず、ダンとゲンは分かれて団地を探索する。
そしてゲンがやって来たのは、あのタカシ達の部屋がある団地。まず手始めに山根家の部屋の前へやって来たゲンは、何度も名前を呼びながら呼び鈴を鳴らすものの、返答はなし。ドアを叩いても、例の謎の声が「帰れ」と返すだけだった。
その頃部屋の中では、よし子は床に倒れ、彼女の父は机に寄りかかって気を失っており、その肌を緑色に変えていた。家具はメチャメチャに倒され、部屋の至る所から緑の腕が生えてよし子らに伸びる。
そうとは知らないゲンは今度はタカシの部屋に向かい、タカシの名を呼びながらドアを叩き呼び鈴を鳴らすが、例の声がまたしても「帰れ」と言う。一瞬開いたドアもすぐに閉まり、ドアノブが高熱を発してゲンを苦しめる。
一方でダンは広場へ出ると、団地全体を凝視していた。
そしてゲンは無理矢理扉をこじ開けると、火傷しそうな手を軽く払って侵入。ベッドの方を調べると、そこにはタカシの母が倒れており、隙間から緑の腕が伸びている。ゲンは腕を引っ張ると、腕は強い力で抵抗。ゲンの顔に掴みかかろうとし、謎の声が嗤い声をあげる。
しかしゲンも負けじと腕を引き抜くと、そこから沢山の煙が立ち上り、机の上に置かれていた花束が全て落ちてしまう。
すると異変も収まり、気絶していたトオルやタカシ親子が目を覚ました。ゲンは彼らにすぐ逃げるよう促す。
同時によし子親子も部屋から脱出し、梅田親子と合流する。団地中の扉が開き、中から緑色の光と煙が溢れ出た。
ナレーション「突然、平和な団地を襲った宇宙の悪霊・アクマニヤの絶叫…ゲンにより引き摺り出された悪魔の手は、不気味な青い煙となって団地のドアから窓から、あらゆる隙間からある一点に向かって流れ出した。果たして、アクマニヤの正体は何か?」
団地の上空に赤い光が渦巻き、そこからあの隕石が姿を現した。団地の人々は大慌てで避難する。トオルらも助け合いながら急いで逃げる人々に加わった。
ゲンがダンの元に戻ると、ダンはアクマニヤ隕石を杖で指す。するとアクマニヤ隕石の赤い目は白く変わり、目の中央から破壊弾を連射して団地を破壊し始めた。ダンはゲンの肩を叩き、ゲンを送り出す。
ダン「ゲン、頼むぞ!」
ゲン「はい!
レオーッ!!」
現れたウルトラマンレオは、向かってくるアクマニヤ隕石をパンチで殴り飛ばす。しかし隕石は振り子の様に再びレオに飛びかかり、レオが避けると後ろの団地が隕石の体当たりを受け吹き飛ぶ。
再び目の色を赤く変えた隕石は、向かいくるレオに爆撃。レオがバック転でそれらを回避すると、突然辺りが夜の様に暗くなる。そして、アクマニヤ隕石は暗闇の中で赤い瞳を輝かせ、その姿を変化させる…
ナレーション「怪奇隕石に棲みついていた恐るべき宇宙悪霊・アクマニヤ星人は、遂にその正体を現した!」
遂に宇宙人の姿となったアクマニヤ。レオが立ち向かうものの、アクマニヤ星人の赤い光を浴びたレオは苦しみ、念力で押し返されてしまう。
アクマニヤ星人は更に強烈なフラッシュを放ち、レオを念力でいいように転がす。のたうち回るレオを大声で嘲笑うアクマニヤ星人は、口からも白い光を出す。
しかしレオも負けてはいない。左腕からウルトラマントを顕現させ、両手に広げて光を防ぎながら突撃。星人に被せようとする。が、屈んだアクマニヤ星人に受け流され、レオは転げてしまう。アクマニヤ星人は追撃をかけようとレオに襲い掛かるが、レオに両足蹴りで反撃され、パンチを二発食らい倒れる。
マントを回収したレオはジャンプで星人の眼前に移動し、星人を起き上がらせて赤く光る目に連続蹴りを叩き込む。ダメージを負った星人が瞬きするが、レオは攻撃を続ける。星人のパンチを受け止めて腕にも蹴りを打つが、掬う様に投げられる。しかし先ほどと同じように両足蹴りで星人を牽制し、星人を捕まえて打撃を加え、放り飛ばす。星人もタックルや投げ、キックで反撃。レオも星人を投げ返すが、体勢が逆転し星人に蹴飛ばされてしまう。
息をもつかせぬ激闘が展開されるが、レオは星人を掴んで膝蹴りの連打を打ち込み、バク転で一旦距離をとってから再度攻撃。
アクマニヤ星人もレオを蹴り付けて抵抗するが、レオは負けず鮮やかな巴投げを決めた。そして怯みながらも立ち上がった星人に対し、両足でレオキックを繰り出す!
レオキックは星人の右ツノを切断。レオはすぐさま折れたツノを拾うと、星人の目を目がけて投擲。
ツノは見事目に突き刺さり、緑色の血を流して星人は苦しむ。同時に赤い光も消え、周辺を覆っていた暗闇が消えた。
ここがチャンスとばかりにレオは星人に立ち向かい、ソバットやチョップを繰り出す。そして星人の両腕を掴んで振り回し、両腕をもぎ取った。
切断された腕の付け根から緑色の煙を出して後退するアクマニヤ星人。レオは両腕を地面に叩きつけると、体を震わせる星人へトドメを刺すべく向かっていく。
しかし、これぞ星人の作戦だった。なんと切断された筈の両腕が勝手に動き出し、後ろからレオの首を絞めたのだ!
アクマニヤ星人は笑い声と共に口を光らせ、より強い力でレオの首を絞める。地面に倒れてもがき苦しむレオだが、やがて力を失ってレオは倒れ、目からも光が消えた。
ダン「レオ…!レオ!!」
白土「レオが危ない!」
ダンはレオの敗北を予感し、その名を呼ぶがレオは答えない。煙を吹き出しながらレオに迫る星人に、マッキー2号の攻撃が炸裂し、星人の左ツノを破壊。その時だった。空の彼方から、赤い光の球が舞い降りる。球はレオのすぐ近くに落下して爆発し、そこにいたのは…
ナレーション「遂に正体を見せた恐るべき宇宙の悪霊・アクマニヤ星人の魔の手に、レオは絶体絶命のピンチ!その時、赤い火の玉となって登場した、レオの弟・アストラ!!」
そう、兄の危機を察知したアストラが駆けつけてくれたのだ。驚いたアクマニヤ星人は、煙を巻き戻すように腕の付け根に吸い込み、レオの首を絞めていた両腕を戻す。
腕が首から外れると、レオの目に光が戻る。アストラはレオに駆け寄り、兄を助け起こす。
アストラ「レオ兄さん!」
レオ「アストラ…!」
再び向かいくるアクマニヤ星人。しかし、アストラは背後に隠した太陽光を増幅させ、体をずらして何度も光を浴びせる。強烈な太陽光を浴びたアクマニヤ星人は弱り、遂に倒れた。
そしてレオが下に、アストラが上にの体制でレオ兄弟の合体必殺光線が放たれた。そう、嘗て怪獣兄弟を破った大技・ウルトラダブルフラッシャーだ!
光線を照射されたアクマニヤ星人は、元の隕石に戻ってしまう。恐怖の宇宙悪霊に勝利を飾った獅子座の兄弟は、熱い握手を交わす。そしてアストラはアクマニヤ隕石を抱え上げて飛び去り、束の間の再会は終わりを告げるのだった。
ナレーション「捨て身のアストラによって運び出されたアクマニヤ星人。そして、アストラはまた何処へ帰ってゆくのか?それは、誰も知らない大宇宙の謎である…」
アストラの姿は空の彼方で光と共に姿を消した。団地の影からそれを見守るトオル達。レオもいつの間にかゲンに戻り、そこへダンもやって来る。
ゲン「隊長…」
ダン「恐ろしい奴だった…」
健闘を讃え、ゲンの肩に手を置くダン。すると、戻ってきた団地の人々と共にトオル達もやって来て口々に礼を述べる。ゲンは彼らの無事を喜び、ダンと共に笑顔で帰っていった。
ナレーション「宇宙悪霊が棲む恐怖の怪奇隕石・アクマニヤは去った。しかしいつ再び、あの怪奇隕石が貴方の街の上空に飛来して来るかも分からないのだ」
余談
第22話以来11話ぶりのアストラ再登場。また、アストラの登場シーンは第22話からの流用。
本話の舞台は終始団地またはその付近であり、怪奇シーンが色濃く描かれる等、初期や怪奇シリーズの作風への回帰が見られる。
ウルトラダブルフラッシャーは前回の使用と逆になっている。
アクマニア星人の声を演じた丸山詠二氏は、『ウルトラセブン』のワイルド星人、前作『ウルトラマンタロウ』のテンペラー星人の声も演じているが、どちらもダンを演じた森次晃嗣氏と共演しており、この回で3度目の共演でもある。