帰ってきたウルトラマン!嘗て地球で郷秀樹として活躍した
ウルトラ5番目の兄弟だ!そのウルトラマンが手に怪獣ボールを持って
地球にやって来た!そして、怪獣アシュランもボールを狙って地球へ…
果たして、ボールはモロボシ・ダンに渡されるか!?ボールに隠された秘密とは!
さぁ、みんなで見よう「ウルトラマンレオ」!!
放送日
1974年11月29日
登場怪獣
二面凶悪怪獣アシュラン
怪獣ボールセブンガー
STORY
宇宙空間を飛ぶ一つの影。そう、誰もがよく知るあの男だ。
ナレーション「帰ってきたウルトラマン!知っているね?嘗て地球では、郷秀樹として活躍したウルトラ五番目の兄弟だ!」
OPをバックに郷秀樹=ウルトラマンジャックの数々の名場面が蘇る。シーゴラス・シーモンスとの戦い、飛ぶマットアロー2号、海上でボートを飛び移る郷秀樹…
君にも見える ウルトラの星
遠く離れて 地球に1人
怪獣退治に使命を懸けて 燃える街にあと僅か
轟く叫びを耳にして 帰ってきたぞ 帰ってきたぞ
ウルトラマン
ナレーション「帰ってきたウルトラマンが持っているものは何だろう?これはね、変身できなくなったセブン=モロボシ・ダンの為の新しい武器として、ウルトラの国からプレゼントされた怪獣ボールなんだ」
しかし、ジャックの前方に突如深い煙が。そしてその中から、怪しい飛行物体が現れた。すぐに旋回して回避を図るジャックだが、飛行物体はジャックに急接近し、後ろから足を捕まえ、共にどこかの星へ落下。
ナレーション「怪獣ボールとは何だろう?それを狙って、忽ち怪獣が襲ってきた所を見ると、余程大切なものなんだね」
怪獣の名はアシュラン。身体の両面に顔を持った凶悪な宇宙怪獣だ。アシュランはジャックを叩きつけ、怪獣ボールを奪おうとする。ジャックもアシュランにキックで反撃し、ボールを必死に握りしめて守るが、アシュランは執拗にジャックの手を狙って攻撃。倒れたジャックを蹴倒して追撃をかけてくる。ジャックは空中回転の連続でアシュランを飛び越え、翻弄するがアシュランは強い。タックルをかけてきたジャックを打撃で打ちのめし、羽交締めにして苦しめる。そして拘束を解いたところに攻撃し、ボールが握られた右腕を自身の膝に何度も打ち付けた。離すまいと懸命に耐えるジャックだったが、遂にボールを手から放り出してしまった…
(場面転換)
一方、地球。マックロディーで河川敷を走っていたダンは急に車を停め、ドアを開けて空を見つめると、そこにはウルトラサインが出現。異変を知ったダンはサインを見つめる。
(場面転換)
その頃、宇宙ではボールを奪わんとするアシュランと、それを止めるジャックとの攻防が続いていた。アシュランをボールから引き離すジャックは反撃を躱し、その隙にボールのある方へ飛び込んで手を伸ばす。アシュランに踏みつけられながらもボールの奪還に成功したが、アシュランはジャックの腕を掴んで振り回し、足払いで倒して踏みつける。
滅多打ちにされつつもボールを守るジャック。そんな彼をアシュランは無理矢理立たせ、揉み合いの末に投げ飛ばす。そして両目から光弾を放ったかと思えば、その光はジャックの口の周りに纏わりついてマスクのような形になり、点滅。口の部分を抑えて苦しむジャックだったが、その場から飛び立って地球へと向かったのであった。
(場面転換)
ダンはまだ地上でウルトラサインを見つめていたが、やがて時間経過でサインは消滅。これから起こるであろう事件に、ダンは不安を募らせる…
(場面転換)
それから少し時間が経った頃、海岸を走るマックカーが。中に乗っていたのはゲンと佐藤隊員だった。
佐藤「何かの間違いじゃないのか?怪獣の欠片も見えんぜ」
ゲン「いえ、微かですが確かに怪獣反応があります」
首を傾げる佐藤。すると、前方にゲンが男性を発見。
その男は口に鉄のマスクをつけ、それを押さえた手から血を流して倒れていた。
そう、地球にやって来たジャック=郷秀樹である。だが当然2人は、そんなことは知る由もない。
郷の手から、怪獣ボールが零れ落ちる。その直後にゲンと佐藤が駆けつけて郷に駆け寄るが、ゲンのマックシーバーが突然鳴り出し、それを見たゲンはすぐにマックガンを引き抜き郷に構える。
佐藤は人間じゃねえかと呑気に言うが、警戒しながらゲンは佐藤にマックシーバーを近づけると、佐藤はそれを見てすぐに気がつく。怪獣反応のメーターが音を立てて10の方へ振れていたのだ。
佐藤が慌てて手を離すと、同時に郷の意識が戻り、声を上げた。
佐藤「はっ、生きてるよおい!?」
ゲン「何でしょう、この仮面?しっかりしろ、君は誰だ!」
起き上がった郷は自身の手にボールがないことに気がつき、辺りを見回す。しかしアシュランとの戦いで負傷した郷は目眩を起こしており、岩場にあるボールを見つけるものの朦朧としてしまう。
岩場から飛び降りてボールを取ろうと手を伸ばすが、あと少しのところで倒れてしまう。すぐにゲンと佐藤が郷を助け起こすと、佐藤のマックシーバーから反応は消えていた。
佐藤「反応がない!なんかの間違いじゃなかったのか?とにかく酷い怪我だ、何処かで手当てしてやろう、な?」
ゲン「ええ」
2人は郷を連れて車へ戻る。置き去りにされた怪獣ボールに気付く事なく…
海岸を走り去るマックカー。後部座席には郷が寝かされ、車に揺られながら眠っていた。車内で佐藤はゲンに相談する。
佐藤「おおとり、やはりこいつをMAC本部へ連れて行くのか?厳しい取り調べを受けさせるのは、何か可哀想みたいだな…」
ゲン「怪我もしてるしね」
佐藤「スポーツセンターで、怪我の手当てだけでもしてやろうよ、な」
ゲン「えぇ」
車はスポーツセンターへ向けて走り続ける。
ナレーション「ゲンはまだ知らなかった。帰ってきたウルトラマン=郷秀樹が、ダン隊長=ウルトラセブンとは兄弟であることを。もしゲンが知ってさえいれば…」
(場面転換)
ナレーション「その頃、凶悪怪獣アシュランは地球に迫っていた!郷をダンに会わせていれば、或いはアシュランの襲撃を迎え撃つ事が出来たのかも知れない」
青い光を纏って地球に接近するアシュラン。
一方で地球では、スポーツセンターのゲンの部屋で郷を手当てするゲンらの姿が。仮面がどうしても外れないことにゲンらが困り果てていると、飛び起きた郷が周りを見回す。
そしてボールがない事を再確認した郷は手で怪獣ボールの形を作ってゲンらに訴えるものの、ゲン達は郷の言わんとしている事が分からず首を傾げるばかり。
共に手当てを手伝ってくれていた百子に寝かされた郷は、先程の戦いを夢に思い出して強く悔やむ。
ナレーション「帰ってきたウルトラマン=郷秀樹は、セブンに渡さなければならない怪獣ボールを失くしてしまった。怪獣ボールが無ければ、何の為に地球に来たのか意味がなくなる。セブン=モロボシ・ダンに合わせる顔がない…」
やがてゲン達は部屋を去り、百子だけ残って看護を続ける。うなされながら両手を掲げる郷の手を握り、目覚めた郷を落ち着かせる。
百子「何か探してるのね?何かしら…きっと大切なものね?」
頷く郷。
百子「傷が治ったら、一緒に探しに行ってあげるわ…口が聞けなくてもあたしには分かるわ、あなたはきっと良い人よ!だから心配せずに、傷を治す事だけに専念するのよ!」
百子は郷の心に秘めた正義感を既に第六感で感じ取っていた。号はベッドの上で、複雑な表情を浮かべる。
(場面転換)
ゲン達が帰還したMAC基地では、地球に迫るアシュランを観測していた。モニター越しに荒れ狂うアシュランの鳴き声。
梶田「凄い怪獣だ!」
白土「かなり接近して来ましたね…」
ダン(やっぱり来たか…凶悪怪獣アシュランめ!兄弟に何事もなければ良いんだが…)「出動!!」
全員「はい!!!」
そして遂にアシュランは頭から地球に落下。ビルに突っ込み、煙を上げて起き上がったアシュラン。身体の両方の口から高熱火炎を放射して街を焼き払い、進撃を続ける。
間近で火炎放射を食らい、あわや焼かれそうになった佐藤隊員は怒り、マックガンを撃ち鳴らしてアシュランに突撃。梶田も後方から援護するが、アシュランは青い面と赤い面を入れ替えながら迫り来る。
ダンも前線で銃片手にアシュランを攻撃していると、後ろのスポーツセンターから逃げる人々の悲鳴を聞きつける。
百子らの避難誘導を手伝う為、ダンはすぐヘルメットの通信機でゲンに連絡。単身スポーツセンターへ向かう事に。
その人波の中には、郷の姿も。完治していない左腕に包帯を巻いて押さえながら建物から出てきた郷は、転んだ子供の投げ出したラグビーボールを怪獣ボールと重ねる。怪獣ボールは、ラグビーボールにそっくりの形だったのだ。
片腕でボールを拾い上げて見つめていると、百子が早く避難するよう言って去っていった。すると、郷には聞き馴染みのある声が。
ダン「早くしろ、逃げるんだ!さあ、早く!早くしろ、早く逃げるんだ!」
郷(兄さん…!)
そこには子供達を逃がすダンの姿が。郷はサッと背を向ける。今、ダンと出会う事は郷の自責の念が許さなかったのだ。
その間にも暴れ回るアシュラン。郷はそのやり切れなさからラグビーボールを地面に投げつけ、近くにあったバイクを駆りその場から走り去った。バイクの駆動音を聞いたダンはそちらを見るものの、遠ざかる後ろ姿を義兄弟である郷だとは気付くことはなかった。
郷はそのまま道を遡り、あの海岸へと急ぐ…
(Aパート終了)
海岸へと辿り着いた郷は、バイクをその場に倒して怪獣ボールを捜索。しかし、怪獣ボールが置いてあった筈の場所には浮き玉が置いてあるばかりで、動揺した郷は辺りを調べてみるもののボールは何処にもない。ガックリと膝を落とし、砂を掴んで叩き落とす郷。すると、近くから大勢の子供が。
子供達は「変なボールがあるぞ!」と怪獣ボールを棒で叩いて遊んでいた。それに気付いた郷が近づくと、1人の子供がボールを宙に放り投げてしまった。郷は咄嗟に空中へ跳び、ボールを回収するとスピンを加えて着地。
そして子供達に手振りでボールが自分のものだと訴えるものの、気味悪がった子供達はあろうことか石や砂、棒を拾っては郷に投げつけ始め、ボールを返せと喚き立てた。嘗て地球を守った英雄に対してなんたる仕打ちだろうか。この場にもし次郎君がいれば、間違いなくこの連中を叩きのめしてくれただろう。
だが、郷はそんな心無い身の程知らずのクソガ…子供達に決して怒らず、バイクで颯爽と走り去った。
(場面転換)
街ではアシュランが未だに破壊活動を続けていた。火炎放射で建物を焼き払い、地上戦を行うゲンらMACを苦戦させる。
そこへ駆けつけたダンも加わる。ゲンに子供達を無事逃がし終えた事を伝え、マックガンで応戦するが戦況は覆らない。
そのすぐ近くまで郷は来ていたが、まだ間に合わない。郷、急げ。
アシュランの火炎攻撃に白土が狙われ、ピンチに陥った彼をダンが救うよう指示。佐藤の助けもあり白土は助かったが、アシュランの接近を許してしまいとうとう隊員達の間近に迫る。アシュランの大きな足が地ならしを起こし、もう駄目かと思われたその時、そこへ一台のバイクが飛び込んだ…
ダン「郷!!」
やっと郷が間に合ったのだ。郷はダンにボールを投げ渡し、それを受け取ったダンはアシュランにボールを投げつける。
ナレーション「帰ってきたウルトラマンが、ウルトラの星から遥々届けてくれた怪獣ボール。モロボシ・ダンだけに使える奇跡のボールだ」
アシュランに命中したボールは地面を不可思議な動きで転がり回り、やがて光を放つ。アシュランが屈んでボールに顔を近づけると、ボールは大爆発。驚いたアシュランが吹っ飛ぶと、煙の中から光と共に巨大なロボットが現れた!
ナレーション「これが怪獣ボールに仕込まれた、ロボット怪獣セブンガーだ。変身できなくなったセブンに、ウルトラの星からプレゼントされた新兵器なんだ!」
ゆっくりとアシュランに歩み寄るセブンガー。アシュランはセブンガーに攻撃をかけるが、セブンガーには全く通じず叩きのめされる。次は裏側の青い面で立ち向かうものの、セブンガーは両手を軽く当てただけで火花が散るほどの威力を発揮。
距離を取ったアシュランは赤い面を向け直し、両目から光弾を連射。だがセブンガーは動じる事なくアシュランへゆっくりと接近。
アシュランの体当たりを胴だけで軽く押し返し、組み付いてきたアシュランをこれまた軽く投げ飛ばす。
赤い面のアシュランを押し飛ばし、続いて青い面で襲ってきたアシュランを片腕だけで捻って地面に倒すと、赤い面へ踏み付けを行う。
アシュランは足を払ってセブンガーを倒すが、セブンガーは素早く立ち上がりアシュランの突進をいなす。
揉み合いになる両者だが、再びアシュランがセブンガーの足を掴んで倒す事に成功。マウントを取ろうと飛びかかるアシュランだが、セブンガーの両腕チョップを食らい失敗。ならばとボディプレスを仕掛けてきたアシュランだが、セブンガーはタイミングを見計らって転がりこれを回避。そこからセブンガーは更に地面をロードローラーの如く転がり往復し、アシュランを轢きまくる。
まだ向かってくるアシュランを殴りつけ、後ろを向いた所を続けて一撃。もうアシュランはヘロヘロであり、ぐるぐると目を回してしまいトドメを指すには絶好のチャンス。セブンガーが引導を渡そうとアシュランに迫った時だった。
突如セブンガーの足元が大爆発。そしてセブンガーは吸い込まれるようにボールに戻ってしまい、アシュランが手を伸ばすとボールはひとりでにダンの元へ戻った。
ナレーション「惜しい…!あと10秒時間があればアシュランをやっつける事ができたのにねぇ…この怪獣ボールの中のセブンガーは、1分間しか戦う事が出来ないんだよ」
起き上がったアシュランは身体を翻して赤い面を向け、ゲン達に迫り来る。だが、並んだゲン、ダン、郷を見たアシュランは、彼らにレオ、セブン、ジャックの姿をそれぞれ重ね、3人が並び立つ姿を想像し、頭を抱えながら青い面を向けて走り去った。
ナレーション「アシュランは3人のウルトラマンを見た!アシュランは3人の正体を知っていたのだ。だから一早く逃げ出した。3人束になって変身してかかって来られたら堪らないと思ったに違いないね!」
(場面転換)
ひとまずアシュランの脅威は去った。ダン、郷、ゲンの3人は草原に立ち尽くし、夕焼けを見つめる。やがて彼らは歩きながら会話を始めた。
ゲン「じゃ、隊長とは兄弟のウルトラマンだったんですか…」
ダン「そうだ…今日あいつは逃げた、しかし俺が変身出来ず、郷が怪我をしていて変身出来ないと知ったら…」
ゲン「大丈夫!僕がいます」
ダン「そんな簡単な相手じゃない!あいつが再び襲ってくる前に、なんとか郷の怪我が治ってくれればいいんだが…それにしても、この仮面を何とかしなければな」
先頭のダンは立ち止まり、郷のマスクを見つめる。
ゲン「郷さんの仮面、隊長の念力で取ってやれないでしょうか?」
ダン「しかしもし怪獣が襲ってきた時念力が使えなくなる…」
ゲン「お願いします、取ってやってください」
郷は自己犠牲の精神からか、振り向いてゲンに首を横に振る。しかし、
ダン「やってみよう…」
ダンは義理の弟を助ける道を選んだ。郷は首を振るが、ダンは優しく微笑んで郷の肩に手を置く。そしてゲンと目を合わせて互いに頷くと、郷から離れて向き合う。
ゲンは郷から離れ、郷は跪いて目をそっと閉じる。ダンは両腕を振ってクロスすると、ウルトラ念力を発動した。
そして念波をマスクに集中。やがてマスクはひび割れ、光と共に粉々に砕け散った。
念力の使用により消耗したダン。慌てて郷は立ち上がり、ダンを抱き起こす。
郷「あっ!兄さん、ありがとう…!」
ウルトラ兄弟の友情が、アシュランの呪縛に打ち勝ったのだった…
(場面転換)
ナレーション「しかしダンの恐れは的中した。初めは鳴りを潜めていたアシュランも、幾ら暴れてもウルトラ3人組が現れない事に気が付き、段々図々しく暴れるようになっていった」
満月の下、工業地帯を荒らし回るアシュラン。MACの面々や郷は宇宙ステーション本部にてその横暴を食い入るように見つめていたが、やがてその矛先にはMACの地上基地が。
白土「あっ、MACの東京支部が危ない!」
梶田「くそ〜っ手出しできないのをいい事にして、やりたい放題だ!」
ダン「東京支部と協力して、レーザーガンの射程内に入ったら攻撃を仕掛けろ!」
白土「はい!」
ダン「佐藤!」
佐藤「はい!」
ダン「梶田!」
梶田「はい!」
ダン「白土!」
白土「はい!」
ダン「行くんだ!」
3人「はい!!!」
敬礼と共に3人揃ってヘルメットを手に取り、アシュラン迎撃に向かう3人。しかしMACの力ではあの強敵に勝てないのは明らかだった。
地面を蹴って火を起こし、東京支部に迫るアシュラン。すると東京支部の基地が動いて建物が地下に格納され、下から入れ違いに巨大なレーザー砲が出現。驚いたのか一瞬月を見上げるアシュランだったが、恐るるに足りないと判断したか腕を奮わせて向いくる。
レーザー砲がアシュランに照射され、直撃して爆発。だがアシュランは応えない様子。
地上から梶田ら三隊員もマックブラスターやマックロディーのレーザー攻撃、マックガンの銃撃でアシュランを狙い撃つ。次々と攻撃がアシュランに炸裂したが、アシュランは身体の両面を入れ替えながら迫り来る。
東京支部のレーザーも加えた総攻撃をもってしても、アシュランを撃破するには至らなかった。本部でその有様を見ていたゲンは、ダンに出撃を進言するが…
ゲン「僕も行きます!」
ダン「無理だ!レオとウルトラマンが協力しなければ、奴を倒す事は出来ん!郷の回復を待とう」
ゲン「一人で駄目なら、怪獣ボールと一緒なら…」
ダン「いや…これは一度使うと、あと50時間は使えないんだ」
その間にとうとう東京支部へ辿り着いたアシュランは、建物を蹴り倒して地上の梶田ら3人を瓦礫で撤退に追い込む。自分達が出ていかない間に被害が広がるのを、黙って見ていられないのは郷も同じだった。
郷「兄さん、やって見るよ!」
ダン「まだ無理だ!」
郷「しかし…!」
とうとう居ても立っても居られなくなったゲンは、ダンの言葉を無視してまでも基地から駆け出して行く。
ダン「ゲン、ゲン!!」
郷「…行こう!」
夜空の彼方から、怒りに燃えたウルトラマンレオが飛来。とうとうアシュランの火炎によってレーザー砲は焼かれてしまった。
しかしこれ以上やらせないとばかりにレオはアシュランの眼前に着地。基地を庇うように立ち塞がり、アシュランに打撃の連打と取っ組み合いを仕掛ける。
だがアシュランはレオ一人で来た事に油断しているのか、向かってくるレオを悉く投げ返して応戦。
レオは足払いキックを仕掛けて相手の体制を崩し、反撃を耐えて背後に回って攻撃。そしてすり抜ける様にまた正面の赤い面へ回り、キックでアシュランをとうとう地面に倒す。マウントを取ったレオは連続チョップでアシュランに追撃をかける。
すると、少しずつ月に影がかかり始めた。レオとアシュランはその事を気にもとめず戦い、レオはアシュランの急接近からの蹴りを回避。組み合って連続キックを叩き込み、投げ飛ばす。
しかしその時、月明かりがだんだん消えてくるのを察知したレオが天を仰ぐと、月が影に隠れてゆくのを目撃する。
ナレーション「その夜は、皆既月食の夜だった」
地上でレオとアシュランの戦いを見守っていた郷は手を叩いて「くそっ!」と悔しげに声を漏らす。すると、月を見上げて何かを思いついた様子。
郷「そうだ、月食を利用すれば…!」
ダン「待て!その体で戦えば、お前は死ぬかもしれんぞ!郷!!」
しかし、郷はダンの制止を振り切り、空に右手を掲げる。
アシュランがレオを放り投げている所へ、ウルトラマンジャックが助太刀。アシュランは青い面でジャックを、赤い面でレオを睨みつける。
そして月が段々と影に覆われる中、アシュランの正面で共に合図しあったレオとジャックは同時攻撃を開始。共にアシュランの脇腹を蹴り上げ、悶絶するアシュランだが両手で二人に反撃。しかし二人も怯まずアシュランの両腕を痛めつけ、倒れたアシュランにジャックが転がり攻撃をかけ、レオもそれに続く。そしてアシュランを無理やり立たせ、同時に二度キックを打ち込んだ後、地面に投げつける。
そして月が完全に隠れると、ジャックとレオは息を合わせて跳躍。
共にアシュランを挟む様に交差し、その一瞬に同時攻撃を仕掛けた。
アシュランは両方の口から黄色い血を吐き、倒れ伏し炎の中に散った。
(場面転換)
翌朝、あの海岸へ向かったゲン、郷、ダン。
郷はダンの壊れたウルトラアイを、そしてダンは怪獣ボールを手に掲げ、互いの手を交差させて光を放つ。ダンと郷は互いに小さく頷いた。
ダン「ウルトラの国へ帰ったら、地球の事は心配するなとみんなに伝えてくれ」
郷「じゃ、頼んだよ…!」
ゲンは郷に強く頷く。ダンと郷は熱い握手を交わすと、郷は左腕を掲げてジャックに変身し、宇宙の彼方のM78星雲へ飛び去った。ダンは怪獣ボールを握りしめ、ゲンと共にそれを見送るのであった。
ナレーション「セブンのウルトラアイは、弟・帰ってきたウルトラマンの手によってウルトラの国へ運ばれた。しかし果たして、再びウルトラアイは元へ戻るだろうか?」
余談
セブンガーを届けに来たのがジャックだったのは「ウルトラブレスレットの恩返し」とも考えられる。
番組内では実現しなかったが、レオと共闘してアシュランを袋叩きにしているスチール写真がある。
冒頭ウルトラマンジャックの事をナレーションで「ウルトラ5番目の兄弟」と紹介。正しくはゾフィー、マン、セブンとジャックなので4番目である。
『ウルトラマンX』第13話でショウがマスクを付けられる描写は、アシュランが郷に付けたマスクのオマージュである。
ダンが郷にウルトラ念力でマスクを外したロケ地は前作『ウルトラマンタロウ』第1話で東光太郎がチグリスフラワーの球根を植えたロケ地や最終回でバルキー星人の戦いで使用されとお台場レインボーブリッジ周辺のお台場海浜公園である。また、郷が怪獣ボールを紛失したシーンや子供達に石を投げつけられるシーンのロケ地は『タロウ』第7話でも使用された三浦半島の長浜海岸である。
『帰マン』最終回で殉職扱いになっている郷だったが、何故かMACステーションにいて他の隊員たちからはMATの事については何も言われなかった。おそらく訂正された可能性もある。
ダン役の森次晃嗣氏と郷役の団時朗氏とゲン役の真夏竜氏との3人の共演は、『ウルトラマンサーガ』までなかった。