ナレーター「これが怪獣ボールに仕込まれた、ロボット怪獣セブンガーだ。変身できなくなったセブンに、ウルトラの国からプレゼントされた、新兵器なんだ」
データ
別名: | 怪獣ボール(ボール怪獣とも) |
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身長: | 58メートル |
体重: | 3万3千トン |
出身地: | ウルトラの星 |
初登場:『ウルトラマンレオ』第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」
概要
『ウルトラマンレオ』第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」にて登場したロボット怪獣。
ウルトラアイを失いウルトラセブンに変身できなくなったモロボシ・ダンの為に、ウルトラの星で作られたスーパーロボット。ミクラスの怪力と寸胴体型、アギラの俊敏性と眠たげな目、ウインダムの鋼のボディといった、ダンのカプセル怪獣の特徴を併せ持ったような存在である。
劇中では上の台詞のように『新兵器』と呼ばれており、一人一人が兵器級の力を持つ宇宙警備隊が居ながら『兵器』と言い張れる辺り、その強さが窺える。
普段はカプセル怪獣同様に、ラグビーボールのような形をした「怪獣ボール」という装置に収められている。怪獣ボールにはプロテクトが掛かっていて、モロボシ・ダンにしか基本的に使えないようになっている。
特に武器は持っておらず、ジト目も相まって弱そうに見えるが、ウルトラ戦士をも上回るパワー・防御力を備えており、(ハンデ付きとは言え)ウルトラマンジャックに深手を負わせた上にウルトラマンレオもジャックと二人がかりで戦ったアシュランをノーガードかつ肉弾戦だけで倒す寸前まで追い込むほどである。『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』の解説では冷凍ビーム、レーザー光線、火炎放射器など7つの装備を持っているらしい…それを使えばアシュランを倒せていたのでは?というツッコミはナシである。
唯一の弱点として制限時間があり、ウルトラ戦士よりも短い1分間。更に一度使うと再使用まで50時間のインターバルを挟まなければならない。
これにはちゃんと理由があり、ウルトラ戦士以上の実力を持つセブンガーがもし、ウインダムのように操られてしまった場合を想定しているからである。理に適ってはいるが、味方として使う際のデメリットにもなっているのが痛い。
『ウルトラマンメビウス』に登場したマケット怪獣もセブンガーと同じく1分間しか戦えないが、再使用までの時間はずっと短い上に、3分間の変身で20時間のインターバルが必要なウルトラマンジードよりも制限時間が短く、インターバルが長い。ジードですら劇中でこの制限に悩まされていたのにこれでは実用性は…。
ただし、この特性のおかげかカプセル怪獣の中では唯一直接的に負けることはなかった。
劇中での主な活躍
『ウルトラマンレオ』第34話
ウルトラマンジャックによって怪獣ボールの状態で地球に移送されている最中、怪獣ボールの重要性を知り奪い取ろうと画策したアシュランの襲撃を受ける。何とか地球に辿り着き郷秀樹の姿になったジャックは、アシュラン戦で負った怪我によって意識が朦朧としており、海岸に怪獣ボールを落としたまま気絶。正体を知らないゲンによってスポーツセンターに運び込まれ保護されてしまった。
海岸に放置された怪獣ボールは子供達の遊び道具になっていたが郷秀樹に回収され(※この際に郷秀樹は不審者丸出しで子供らに石を投げられた。『新ウルトラマン列伝』で放送された際はこのシーンがカットされていた)、ジャックを追って地球にやって来たアシュランと白兵戦を行なっていたダンに漸く届けられた。
ダンがアシュランに向かって怪獣ボールを投げつけると煙と共に出現し、戦闘を開始。
持ち前の高い防御力でアシュランのパンチや光線を全く寄せ付けず、一方的にタコ殴りにしてしまった。
まともに受けた反撃らしい反撃は足を取られて転倒させられた時ぐらいだが、それさえもあまり効果がなかったどころか、転倒させた隙にアシュランがマウントポジションを取ろうをしてもパンチ一発で跳ね飛ばし、ならばとフライングボディプレスをかますと素早く転がってかわし、そのまま地面に叩きつけられたアシュランにローリングアタックで畳みかけるなど、頭脳もなかなかの物。
前期主題歌のインスト(正式な名称は「ウルトラマンレオ・戦い」)をBGMに繰り広げられていた事も相まって、まさに勝ち確となりそうな展開だったが、後一歩まで追い詰めた所で制限時間の1分が来てしまい怪獣ボールに戻ってしまった(出演時間も約1分)。
ナレーター「惜しい……! 後10秒時間があれば、アシュランをやっつける事ができたのにねえ……」
直後にアシュランは現場に三人もウルトラ戦士が居るのに気付き、慌てて逃げ出した。
アシュランが再度出現した際は、前述した50時間に及ぶ充電中の為、出番は無かった。
なお、レオ本編におけるセブンガーの出番はこの一度きり。その後セブンがジャックに返却するような描写もなかったばかりか、そのダンがシルバーブルーメ襲撃の際に消息不明になってしまったことから、このセブンガーもこの時同時に喪失してしまったのではないかという説がある。
以降のシリーズでの再登場も(過去作品のリバイバル放送を除く)長いこと一切なかったため、今に至るまでカプセル怪獣の中ではセブンガーのみがハブられるという状況が続いていたのだが、その冬の時代は令和に入り終わりを告げることとなる。
ウルトラマンZ
なんと46年の時を経て、対怪獣ロボット部隊「ストレイジ」の戦力として再登場。
一応光の国で作られたものとはそっくりな別物という設定のため、レオに登場した個体を『レオ版』や『オリジナル』、Zに登場したものを『Z版』『特空機』などと呼んで区別される。
詳しくは特空機1号セブンガーを参照。
番外編である『ウルトラマンゼット&ゼロ ボイスドラマ』の第4回にて、先輩である三体のカプセル怪獣たちと共に「レオと一緒に戦った怪獣」としてゼロに紹介された。
ゼットからは「変な顔」と言われており、紹介したゼロも否定はしなかったがその戦闘力の高さをアピールされている。
ゼットの反応を見るに写真と共に紹介されたようで、ゼットは地球に赴く前にオリジナルのセブンガーやウインダムの事を外見含め知っていた事になる。彼らの特徴を知っていたゼットが何故特空機を見ても反応しなかったのかは気になるところではある(ちなみに特別編「特空機シークレットファイル」ではウインダムに関しては名前も見た目もそっくりなことに言及している。本人は「他人の空似ってやつかな」と流していたが)。
紹介された際、何故かゼロからはレオが怪獣ボールを使って呼び出すと間違えて説明されていた(上述にもある通りセブンガーを使えるのはゼロの父であるセブンのみ)のだが、ボイスドラマ第22回で真相が判明。公式が間違えちゃったのではなく、ゼロが普通に間違えていただけであった……。
ちなみに宇宙警備隊の採用試験に『誰が使えるか』が問題として出ている為、今でも光の国の兵器として存在していると思われる(これにより、シルバーブルーメ襲撃の際に喪失してしまったという説も若干揺らぎつつある。まあ、光の国で量産されている可能性もあるのだが)。
外伝作品
漫画版『ウルトラマンレオ』
『小学二年生』版においては序盤こそ圧倒的戦力差を見せたものの、さすがに数が多すぎたため半壊して戦闘不能になってしまっている。
バトルドッジボールⅡ(コンパチヒーローシリーズ)
少しだけだが登場している。
ウルトラマン超闘士激伝
OVAにてモブとして登場。
大怪獣バトル
EX第6弾に技カードとして登場。
カプセル怪獣の先輩であり、外見が似ているウインダムとコンボが組める。
スキルは「一分間の猛攻」。効果は、『1ラウンドだけ、アタックとスピードが300上がる』というもの。
ウルトラゾーン
第16話のアイキャッチで登場。
銭湯で大勢の子供達に背中を流してもらうも、ロボット怪獣なので背中から火花が散り、煙が出てしまうところが描かれている。
ウルトラマン超闘士激伝
おまけ漫画で70親子のパーティに一人だけ呼ばれず、しかもセブンからは「セブンダー」と名前を間違えて呼ばれた挙句「影が薄いのは後発の作品で優遇されるレオじゃなくて、ウルトラマンジャックの一味だと思われているからだ」と弁明されていた(なお、『メビウス』ではマケット怪獣にセブンガーのコンセプトが引き継がれており結果的に兄弟分達に貢献していることになる)。
新ウルトラマン列伝
2016年5月21日に放送された第150話『レオ・ジャック共闘!ウルトラ兄弟永遠の誓い』に、初登場回のリバイバル放送ながらも約42年ぶりにテレビ出演した。
この時、登場時間僅か1分であったのにもかかわらず、セブンガーがTwitterのトレンド最高第4位に入る快挙を成し遂げた(メイン怪獣であり、セブンガーよりも圧倒的に画面に映っていたアシュランは第7位)。
当時は、カプセル怪獣3体が主役の『怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~』のアニメ1期の製作・配信が決定されてそう経っていなかったこともあり、セブンガーのトレンド4位はその影響も多少はあったものと思われる。
この頃から徐々に知名度が付き始め、更にアニメにおけるウインダムのとある事情により先輩達と同じ様に擬人化を求める声が大きくなっていたが……。
戦え!セブンガー
『あのアシュランを倒すにはそれを使いなさい。』
最終話でアシュランに苦戦するハルキの前に怪獣ボールの状態で突如宇宙から飛来。
上記のテレパシーの送り主に促され、ハルキが怪獣ボールをアシュランに投げつけると出現、戦闘を開始した。
本編同様にチョップやローリングアタックでアシュランを一方的に攻撃するも、咄嗟にアシュランが放った肘打ちでよろけてしまいハルキが居る場所へ転倒しそうになるが…。
「ハルキ、大丈夫!?」
転倒するセブンガーを受け止めたのは、セブンガーが飛来する前にアシュランにやられて一時戦闘不能となっていた特空機1号 セブンガーだった。
ヨウコ「ねえ、このコは味方なの?」
ハルキ「…はい!間違いありません!」
ヨウコ「オッケー。いい?もうひとりのセブンガー。一緒にあいつをぶっ倒すよ!」
特空機セブンガーに搭乗していたヨウコの呼びかけに応じ、アシュランに敢然と立ち向かうセブンガー。
夢のダブルセブンガーの共闘が実現したのだった。
アシュランの弱点が『身体両面への同時攻撃』である事をユカから伝えられたヨウコがセブンガーへ挟み撃ちを提案すると、それに頷きで応えて後ろへ回り込み、アシュランが咄嗟に放った火炎放射を腕に纏って逆に利用した『ダブルセブンガーファイヤーパンチ』でアシュランを撃破した。
その後は制限時間により煙と共に消滅した。怪獣ボールがその後どうなったかは描かれていないが、おそらく持ち主であるセブンの元へ戻ったのだろう。
アシュランの肘打ちで転倒しそうになったこと以外は一つもダメージらしいダメージの描写が無く(そもそもよろけただけなのでダメージと言えるのかも怪しいが)、10話で同じアシュランに特空機版のセブンガーが戦闘不能に追い込まれるほどの苦戦を強いられていたのを見ると、未だその戦闘力は健在のようだ。(最初の飛来時にアシュランへ激突した際、普通にふっ飛ばしていたので怪獣ボール形態でもそこそこ強い可能性も出てきた)
何気にヨウコの呼びかけに頷きなどで応じたことから、人語を理解する知能があることが明かされた。日本語で呼びかけられても即座に反応していることから、言語把握能力も高性能なのかもしれない。
ハルキが投げても普通に出現したのは設定と矛盾しているが、送り主のセブンが事前にプロテクトを解除してから渡していたのかもしれない。
ULTRAMAN
「大型機動兵器七號」という名で、井出の操作するロボットとしてデザインされている。
外伝「夢見る井出」にて登場。イデがリモコンで操縦する。名称は「セブンガー」
進次郎の助けになるべく建造したものの、なぜか起動しなかった。落胆する井出にまるで意思を持っているかのように手を差し伸べ、初機動を果たすも事情を知らなかった諸星弾が井出を襲っている宇宙人のロボットと勘違いしてしまい、Ver.7のスペシウムブレードで上下に両断されてしまった。
余談
もともとは、「かつてダンはカプセル怪獣を使っていたのだから、『レオ』にもカプセル怪獣を出したらどうか」という青年ファンたち(後の『怪獣倶楽部』のメンバー)のアイデアを熊谷健プロデューサーが採り入れたことで誕生した怪獣である。
デザインを担当したのは、『レオ』に登場した怪獣デザインを多数手掛けた大澤哲三氏。
セブンガーを届けに来たのがジャックだったのは「ウルトラブレスレットの恩返し」とも考えられる。
番組内では実現しなかったが、レオと共闘してアシュランを袋叩きにしているスチール写真がある。
このセブンガーが登場する回のみ、ナレーターである瑳川哲郎氏がとてもよく喋る。ちなみに瑳川氏は前作『ウルトラマンタロウ』でナレーションを担当しており(ただし『タロウ』最終回直前に急病で事実上降板してしまった)、前々作『ウルトラマンA』ではTACの竜五郎隊長を演じている(高倉司令官をぶん殴ったり、北斗を何回も謹慎処分にしたあの人)。
当初、『大怪獣バトルウルトラ銀河伝説THE MOVIE』では他のカプセル怪獣と共に登場が予定されていた。残念ながら同作での復活は叶わなかったものの、その悲願は10年半の時を経て『Z』で達成されることとなった。
『Z』での活躍とその独特の愛らしさで視聴者の心を掴んだのか、店頭は勿論、Amazonでもセブンガーのソフビが売り切れるという事態が発生。
公式もその人気を把握しているようで、(元々予定されていたのか急遽決まったのかは不明だが)YouTubeでセブンガー初登場回である『レオ』第34話を無料公開。セブンガーが登場した1分間には同時接続者4200人が訪れ、セブンガーの勇姿を見守った。
このように、46年間マイナーというレッテルを貼られていたが、『Z』への登場で人々の心を掴んだセブンガーは近年登場したマイナーウルトラ怪獣たちと同じくシンデレラストーリーを歩む事となった。
9月5日に開催された『特撮のDNA―ウルトラマンGenealogy』にて、大澤氏によるセブンガーのデザイン画が初公開された。
デザイン画とスーツと比べると顔はとても小さめであり、身体がとても丸っこかった事以外は特に変更が無かったようだ。
ちなみに下のメモ書きのようなものには『24話ロボット怪 改造』と書いてあり、レオ24話に登場したガメロットを改造した説が浮上した。ただ、ガメロットとは腰回り以外の造形は全くと言って良いほど別物で、骨組みを利用したと考えてもセブンガーの方が圧倒的に細く、似ている腰回りもよく見ると造形が全然違う事からメモには書いたが予定で終わったという説もある。
またセブンガーのスーツがクタクタなのはスーツを改造したからだと言われる事があるが、「当時は出来上がったばかりのアクションスーツは堅かったので、動き易くする為にスタッフで踏んで慣らしていた」という証言があるので、その過程でクタクタになったのかもしれない。
なお、人形劇「ウルトラP」では弟分として怪獣ボールRから変形するウルトラマン型の「ウルトラマンロボッチ」というオリジナルキャラクターが登場している。
尚、2005年放送のテレビアニメ版ケロロ軍曹の2ndシーズン第76話『ケロロ小隊 私を月へ連れてって であります』にて、他作品のパロディとしてではあるがまさかの出演を果たした事がある。
しかもロボットではなく単なる小道具(主人公のケロロが好きなプラモデルやフィギュアですらない)ではあったが、原点の怪獣ボール型のカプセルらしき物の投擲から煙と共に出現という、原作リスペクトしまくりでしかも1話の中で3度も登場という、ある意味で優遇されたと言ってもいいような扱いであった。
他作品でこんな形ではあるが、これならある意味では平成の時代での不遇でもない…と言えなくもないか?
2022年9月10日に行われた『全ウルトラマン大投票』ではウルトラ怪獣部門で第121位(ちなみに特空機版はウルトラメカ部門で第1位)。
数字だけでは低いようにも見えるが、1500体を超えるウルトラ怪獣たちの中で考えると上位な上、元々はマイナー怪獣だったことも加味すると大出世と言えよう。
ソフビ人形は2022年7月、ウルトラ怪獣シリーズEX枠にて『戦え!セブンガー』単行本の付録というまさかの形での商品化を果たした。完全新規造形で、スーツ全体の皺など特空機版との違いも見事に再現されている。