ノイズラー
のいずらー
第7話「東京サイレント作戦」に登場。
好みは新幹線やジェット機、エレキサウンドといった音で、シルバーガルやスカイハイヤーといった騒音対策がされている音は嫌い。
近くにノイズラーがいると、食べられた音が聞こえなくなる。
一番の好みはギターの音で、矢的猛の学校のバンドのギター演奏に合わせて踊るなどコミカルな描写もある。
武器は目から発射する光線(1992年に放送されたミニ番組『ウルトラマンM730 ウルトラ怪獣攻げき技大図鑑』で「レッドサイレンサー」と命名されている)とカッター状になっている翼。また、「怪獣空手」なる謎の武術を習得している裏設定がある。
弱点はなんとウルトラマンのカラータイマーの音で、これを聞くと大人しくなってしまう。
※1…厳密には植物が太陽光を利用して栄養を作り出すのと同じように、音波を吸収して自身の代謝に利用する事で、生存に必要な養分かエネルギーを作り出していると考えられる(『ウルトラ怪獣大百科』における考察)。
もっとも、宇宙空間では音は発生しないため、ノイズラーの吸収している音は人間の考えるものとは別か、あるいは普段は音が伝達する大気のある星で生きているのかもしれない。『アーク』では宇宙空間では音波や電波を探知しながら行動している様子が描かれており、もしかしたら音波や電波を頼りに様々な星を巡り、そこで食事をするという渡り鳥のような生態をしているのかもしれない。
音や音波を食べるというその性質上、人間をはじめとする知的生命体にとっては出現するだけで破壊活動をはまた違ったベクトルで大きな被害を齎す害獣と言える存在である。
ただ、ノイズラー自身はあくまで食事を行動しているだけで、破壊や侵略などの明確な悪意を持って行動していたわけではない。実際、『80』で新幹線の前に現れた際は興味深そうに持つ事はあったもののそのまま破壊した描写はなく、超音速旅客機の撃墜も恐らく意図せずに起こしてしまった事故だったと思われる。
80、さらには後年アークが彼を退治せずに宇宙に送り返すだけという寛大な処分に止めたのも、そうした事情を汲んでの事だったのだと思われる。ただし、ノイズラー自体は種族単位で特別温厚な怪獣というわけではない。
『80』および『アーク』の時はたまたま苦手なカラータイマーの音を聞いて無力化し、そのまま誘導に従って大人しく宇宙に帰還したからこそ結果倒されずに済んだのであって、状況によっては暴れ続けた故にやむなくウルトラマンに倒されて駆除されるという結末を迎える可能性も十二分にあった。
レッドキングなどの元来凶暴で好戦的な怪獣に比べれば確かに大人しい部類には入るのかもしれないが、あくまでコミカルな描写が見られただけで、生理行動によって市街地に出現するというムーブ自体は他の怪獣とさほど変わらない。
また、『80』では東京サイレント作戦によってある程度の被害を抑えられていた事も大きく、もしUGMがノイズラーを放置していた場合、より被害が拡大していた可能性も否定はできない。『アーク』では、行市街地で火災が発生している描写があり、他の怪獣同様行動するだけで街に無視できない被害を齎したことが明確に描写されている。
このように、如何に憎めない一面があるとはいえ、人間の立場からすれば決して人畜無害な怪獣とは言い切れないのである。後々のシリーズで何度か取り上げられる「怪獣との共存」というテーマにおいて、ある意味怪獣との向き合い方について考えさせられる良い一例と言えるかもしれない。
中央アルプスでテスト飛行中の超音速旅客機を撃墜した後日本へと飛来、UGMの東京サイレント作戦で眠りについていたが、猛の学校の生徒がギター演奏を始めてしまったため起きてしまい、その演奏を気に入って生徒達を追いかけ回したが、ウルトラマン80と交戦。
サイレント作戦での怒りをぶつけるかのように80と戦い、80とボクシング、相撲、空手と様々な格闘技で勝負したが、最終的にはカラータイマーの音を聞いて戦意を完全に喪失、そのまま80に誘導されて宇宙に連れ帰された(※)。
※…この時、明らかに80と会話しているかのような仕草を見せていた事から、他の知的生命体ともある程度は意思の疎通ができる可能性が高い。仮にそうだとした場合、怪獣の中では比較的高い知性を持っている事が考えられる。
『怪獣娘』との連動企画として、昨年度好評を博したザンドリアスにあやかり、今回もノイズラーの着ぐるみをクラウドファンディングで製作しようという企画が行われた(ノイズラーは他のキャラクターよりも若干遅れてキャスト公開されたが、これはこの企画と同時に発表するためであったと考えられる)。なお、該当するクラウドファンディング企画のページは現在は削除されてしまっており、閲覧する事ができなくなっている。
企画は2017年12月12日より行われ、目標金額は38万円(前年と同様に登場エピソード放送から38年が経った事に因んだもの)であったが、企画開始からわずか1日で目標金額に到達すると言う好調だった前回をも上回るスタートを切る事に成功している(前回は目標金額に到達するまでに3日かかった)。
最終的な到達額は127万4400円(目標金額の335%)で、前回のザンドリアスと同様、クラウドファンディングは大成功に終わった。
そして、2018年3月24日に着ぐるみの完成披露会が行われ、ゲストとして『怪獣娘』でノイズラー役を演じた清都ありさ女史と、前年度にクラウドファンディングで着ぐるみが造形されたザンドリアスが駆け付けた。
新造された着ぐるみはかつてのようなくすんだ茶色のような配色から一転して、鮮やかな茶褐色になり、縞模様のコントラストがより鮮明になった。顔つきも若干変わっており、凶暴さが前面に押し出されたかつてのデザインと比べると、刺々しさがなくなり穏やかそうな印象を受ける表情になっている。
なおその後、清都女史のツイートによると、このクラウドファンディング達成を記念してザンドリアスとノイズラーによるキャラクターソング『Forgive me, kay?』の製作が決定。
2018年6月17日に行われた『怪獣娘’s FES Ⅱ』では新世代シリーズで監督を務めた田口清隆氏の下でミュージックビデオが撮影された事も明かされ、ライブの際に初上映された(イベント終了後にYouTubeの公式チャンネルでも公開されている)。
なお、このMVがノイズラーの新造された着ぐるみが初使用された作品となった。
スーツ新造後、後述の『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』第3章にて、およそ40年ぶりに映像作品に再登場。また、上記のMVを除けば、スーツが新造されてから初の映像作品への出演となった。
ノイズラーの満を持しての登場には、怪獣娘でザンドリアスを演じた湯浅かえで女史や、ノイズラーを演じた清都女史も喜びのコメントを残している。
そして、2022年放送の『ウルトラマンデッカー』では、遂に満を持してTVシリーズに再登場した。
『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』
Episode,7に登場。
『80』第7話以来、41年ぶりに映像作品に登場となる。
スーツは前述のクラウドファンディングで製作されたものを使用している。
兄達がデビルスプリンター捜索のため不在であった事から、ウルトラウーマングリージョと交戦、戦い慣れしていないグリージョを2匹で痛めつけたが、最後は奮起した彼女の猛反撃を受けた挙句、必殺技のグリージョショットを浴びせられ、2匹揃って地球から退散していった。
なお、この戦闘シーンの1部はPVでも映っていたため事前情報があり、メンツがメンツなだけに一部ファンからは「優しい世界しか見えない」といった感想も出ていた。
実際、2匹の撤退後にグリージョが「もう悪さしちゃダメですよ」と言っているところを見ても、彼女は最初からこの2匹を倒すつもりはなく、あくまで撃退させる事が目的だった模様。
なお、本作では80本人に加え、(登場したエピソードが異なっていたため残念ながら共演はできなかったものの)『タイガ』でスーツの新造されたギマイラも客演している。
『ウルトラマンデッカー』
第14話「魔神誕生」に登場(OPでも、デッカー・ミラクルタイプと戦闘しているシーンがある)。
『80』放送後、42年ぶりのTVシリーズ出演となった。
また、『80』怪獣がウルトラマンと戦うのは、前作『ウルトラマントリガー』のギマイラに続いて2年連続となる。
冒頭、主食である騒音を求めてアザヌシティを襲撃。
ウルトラマンデッカーやテラフェイザーと戦い、眼からの光線や高速飛行で抵抗するも、最期はウルトラデュアルソードから放たれたトリプルトリガースクラムとTRメガバスターの二段攻撃に敗れ、爆発四散した。
初登場から42年、これまでウルトラマンに追い返されただけだったノイズラーだが、初のウルトラマンに倒されて死亡した個体となった。…もっとも、この第14話ではさらに怒涛の展開が用意されていたため、ノイズラーの出番が前座程度に留められていたのも致し方なしか。
なお、出番が短かったが故に、本作ではどういった経緯で地球に来ていたのか、そもそもいつ頃から地球にいたのかといった背景も不明のまま終わっている(倒された後に放送されたニュースで名前が出ていたことから、既に存在自体は知られていた模様)。『80』と同じく宇宙怪獣であると仮定すれば、スフィアがバリアを展開するより前に地球に飛来し、そのまま取り残されてしまった、もしくは餌が豊富だったためあえて帰らず、ギマイラのようにそのまま永住を決め込んだと考えるのが自然だろうか。
ちなみに前作『トリガー』では、ノイズラーと同じくかつてウルトラマンに倒されなかった『80』怪獣の同族が、悪人の仲間として登場したことがある(あちらはウルトラマンとは直接戦わず、死亡もしていないが)。
『ウルトラマンアーク』
ユピー「防衛隊から入電。宇宙から侵入したと思われる怪獣が、星元市に降下したって━━━━」
「コードネームは……ノイズラー!!」
第10話「遠くの君へ」に登場。
先述の『ギャラクシーファイト』や『デッカー』では所謂チョイ役的な登場だったが、今回は80での初登場以来のメイン怪獣としての登場となる。
今作の個体は音波のみならず、電波などの振動波までも食べるようになっており、地球人の木崎カズオと宇宙人であるフィオとの交信電波を探知し、交信による電波を捕食しながらその発信源を求めて地球へと飛来、そのまま星元市に降り立ち、地球防衛隊の攻撃にも怯まずカズオのいるアパートへ進撃する。
また、標的や敵などを「音波」を基に探知、認識している描写がある。
カズオと中学時代の同級生であるユウマは、怪獣が電波を探知して地球にやって来ていると交信をやめさせようとしたが、「フィオの星は環境汚染により滅亡寸前であり、今回の交信が最後になる」と言い、フィオは最後にメッセージを伝えようとするが、飛来してきたノイズラーが交信電波を捕食してしまったことで通信が途切れてしまう。ノイズラーが原因と知るやいなや、ユウマは最後の交信を邪魔させないためにウルトラマンアークに変身し、ノイズラーと交戦を始める。
素早い動きと超音波による攻撃でアークを苦戦させるが、頭上に地球防衛隊の最新式戦闘機「防衛隊MRF」が通過するとその飛行音=好みの音を求めて飛び立ち、戦闘機を追跡する。
ノイズラーが「音波や電波などの"振動するエネルギー"を捕食する」のではないかと推測したリン達の話を真横で聞き耳を立てていたアークは、アークギガバリヤーとアークエクサスラッシュを駆使して発生させた音や振動で戦闘機からノイズラーの注意を引かせて翻弄し、空中戦に発展、アークアイソードを呼び出しソリスソードエクスプロージョンでノイズラーを撃ち落とすことに成功する。
撃墜されても健在なノイズラーにアークも地上に降りて追撃を仕掛けようとするが、アークも制限時間が迫りカラータイマーが点滅してしまう。しかし、やはりカラータイマーの点滅音が苦手なノイズラーは点滅音を嫌がりアークに攻撃出来なくなってしまう(この性質はシュウに「特定の周波数に対して嫌悪感を示す」のではと推測された)。
その隙を見逃さず、アークはアークエクサスラッシュに注意を引かせて遥か上空へ投げ飛ばし、ノイズラーを誘導。ノイズラーはアークエクサスラッシュの放つ音を追って、そのまま地球を飛び立ち宇宙の彼方へ去って行った。
ノイズラーはフィオの交信電波に引き寄せられただけに過ぎず無関係であるが、構図だけ見ると「僅かな時間しかない絶滅寸前の種族と地球人の儚い繋がりをメシウマ(文字通りの意味)して邪魔をする」という、あくまで食料目当てに訪れたノイズラーにしてみれば不憫なポジションであった(一応生存しているだけ『デッカー』の個体よりも恵まれているが)。
大怪獣バトル ULTRA MONSTERS
ブレイアブル参戦は無いものの、EX7弾にて技カードとして登場。コンボはギギ。
イラストは何故か『80』放送当時に発売されていたキングザウルスシリーズの様なカラーリングで描かれている。
- 名前の由来は騒音を意味する英語ノイズ(Noiz)から。
- 鳴き声はギャンゴとメカゴジラの流用。後年の登場時は前者の物のみが使われる事が多い。
- 初代の着ぐるみの造形はコスモプロが担当。
- なお、着ぐるみは撮影後ザルドンに改造された。
- ノイズラーに襲撃された0系新幹線のミニチュアは、元々は東映の映画『新幹線大爆破』に使用されたもの。
- 当初の脚本では80に倒される予定だったが、決定稿で結末が変更された。
- なお、『80』第7話は昭和ウルトラシリーズと関わりのあった田口成光氏が最後に携わった昭和シリーズのストーリーでもある。
- 作中に登場する「東京サイレント作戦」は、ノイズラー対策として無音環境を生み出すために公共インフラや交通機関の停止、さらには外出の自粛を要請するという内容の作戦であった。皮肉な事に、第7話がYouTubeにて公式配信された2020年5月当時も偶然とはいえ似たような状況になっていた。ちなみに放送当時は、「戦時中の灯火管制を思わせる」というクレームが入っていたらしい。
- クラウドファンディングで着ぐるみが新造されてから何度か出番があったものの商品化には恵まれなかったが、2024年9月に待望のソフビ人形が発売されることとなった。
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