概要
名探偵「エルキュール・ポワロ」シリーズの長編作品で、「アクロイド殺し」「オリエント急行の殺人」と並ぶ同シリーズ代表作の一つ。アルファベット順に殺人事件が起こることが特徴である。
登場人物
私立探偵。
時系列的には『アクロイド殺し』の後で、農村でのカボチャ創りを辞めロンドンの幾何学的なアパートに住んでいる。
第1作『スタイルズ荘の怪事件』から20年近い時が過ぎた事もありこっそり白髪染めをしているが、まだまだ付け髭はいらないそうな。
犯人からの匿名の挑戦状を受け取ったことで、否応なく事件に巻き込まれる。
ポワロの協力者。
いわゆるワトソン役で、元陸軍大尉の牧場主。
『ゴルフ場殺人事件』エンディングで結婚し、現在はアルゼンチンで牧場を営んでいるが、今回は30年代に世界を覆っていた不況の影響から仕事処理のため英国に一時帰国していた。
アリス・アッシャー(Alice Ascher)
1人目の犠牲者。
アンドーヴァーで小さな商店を切盛りしていた老女。
自身の経営していた店内で背後から撲殺される。
金や商品には一切手は付けられていなかった。
フランツ・アッシャー(Franz Ascher)++
アリスの夫。
大酒飲みで、たびたび妻のアリスに金をせびっていた。ドイツ系で、第一次大戦中は差別と偏見に苦しんでいたらしい。
メアリ・ドローワー(Mary Drower)
アリスの姪。
アンドーヴァー近郊のある屋敷でメイドとして働いている。
エリザベス(ベティ)・バーナード(Elizabeth (Betty) Barnard
2人目の犠牲者。
ベクスヒルのとあるカフェでウェイトレスとして働いていた。異性関係が少々だらしなく、彼女の父親に言わせると「いまどきの娘」らしい。
事件当日も何者かに深夜の海岸まで誘い出され、そこで絞殺されてしまったらしいことが分かっている。
ドナルド・フレーザー(Donald Fraser)
ベティの婚約者。
不動産関係の仕事をしている。激しやすく、ベティの異性関係でたびたび彼女と言い争いをしていた。
ミーガン・バーナード(Megan Barnard)
ベティの姉。
ロンドンでタイピストとして働いている。ドナルドとの喧嘩についてベティから相談を受けていた。
カーマイケル・クラーク卿(Sir Carmichael Clarke)
3人目の犠牲者。
かつて医師として成功した富豪。
引退後は保養地の近くのチャーストンにある屋敷に住み、趣味の骨董品収拾に熱中していた。
3件目とあってポアロも警察もABCからの予告に即応できる準備をしていたが、宛先の誤記によって挑戦状の到着が遅れるという痛恨の事態が起きる。
フランクリン・クラーク(Franklin Clarke)
カーマイケル卿の弟。
兄の右腕として世界中を飛び回って骨董品を買い集めている。
シャーロット・クラーク(Charlotte Clarke)
カーマイケル卿の妻。
末期癌を患っており、先が長くない。夫のカーマイケルと秘書のグレイの関係を疑っている。
ソーラ・グレイ(Thora Grey)
カーマイケル卿の秘書。
彼女は事件当日に怪しい人物を見かけていないと証言しているが、当日玄関先の階段で見知らぬ男と話している姿をシャーロットに目撃されている。
ジョージ・アールスフィールド(George Earlsfield)
4人目の犠牲者なのだが、姓名ともにイニシャル「D」ではない理髪師の男性。
ロジャー・ダウンズ(Roger Downes)
ドンカスターでの殺人の第一発見者であり、被害者の近くに座っていた教師。
姓のイニシャルが「D」なので、警察は背格好の似ていた彼とアールスフィールドが間違えられたのだと考える。
アレグザンダー・ボナパート・カスト(Alexander Bonaparte Cust)
ストッキングのセールスマン。
自身の名前が2人の偉大な英雄(アレクサンダー大王とナポレオン・ボナパルト)に由来することに対してコンプレックスを感じている。
原作での途中の数章はヘイスティングズ大尉ではなく彼の視点から描かれている。第一次大戦に従軍したことがあり、復員後はその後遺症に悩まされている。
真犯人の策略によって、一連の事件の犯人であるという濡れ衣を着せられる。
最終的にポアロから警察への助言もあり、無罪として釈放される。
ジェームス・ジャップ
お馴染みのジャップ警部。
ロンドン警視庁首席警部。
クローム警部
事件の担当刑事。優秀だが、どこか傲慢なところがある。
あらすじ
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