概要
両名とも鬼であり、鬼舞辻無惨の配下の精鋭である十二鬼月に属する。上弦の弐×上弦の参。
鬼は基本的に群れずに同族を嫌悪する性質を有するが、童磨は猗窩座に絡む描写が多い。
鬼同士のカップリングのため、原作程度の欠損、流血、暴力描写を含む二次創作作品も見られる。
本編の絡みについて(※ネタバレ含む)
◆12巻98話「上弦集結」
上弦が初めて勢ぞろいをする回。
「おっとおっと!ちょっと待っておくれよ猗窩座殿!俺の心配はしてくれないのかい?」
無限城に招かれた猗窩座が他の上弦らと会話しているところへ、童磨は猗窩座に気取られずに背後から手を伸ばし肩を組んで再登場を果たす。遊郭編最後で「陸」だった鬼が、現在は無限列車編で炎柱・煉獄杏寿郎を圧倒し読者に強烈な印象を植え付けた猗窩座よりも上位に位置していることが判明する。
そして猗窩座と頬が触れ合いそうな程近くまで顔を寄せる。1つのコマ内に童磨の弐の数字と猗窩座の参の数字が並び、序列を強く意識させた構図となった。
ちなみに童磨と猗窩座の目の数字は左右反対である(童磨は右目に数字、猗窩座は左目に数字)。
童磨は猗窩座の肩に手を置いたまま玉壺との世間話を行うと、猗窩座が「どかせ」と告げる。続いて「腕をどかせ」と意思表示を行ったのち、童磨の下顎を裏拳で殴り飛ばした。ゴパ。
童磨の実力であれば避けることも容易いが、戯れの一環であえて受け止めている(本人談)。
「前よりも少し強くなったかな?」と言っていることから、以前からこのようなやり取りがあったか、猗窩座の実力を童磨が知る機会があったことが推察される。
なお、殴った理由は、軽薄な態度で接してきた童磨に苛立ちを覚えたから(FB2)。
この時、鳴女は序列通りに上弦の壱から招致しているため(FB2より)、猗窩座が呼ばれた時にはすでに童磨は無限城のどこかにいたことになる。
玉壺は猗窩座に嫌味混じりで話しかけておりそこに気後れする様子はないが、童磨との会話ではやや強張っている(だが壺を贈るなど交流はある模様)。また、玉壺は参の猗窩座を「猗窩座様」と呼ぶのに対し弐の童磨を「童磨殿」と呼び、敬称が異なっているが理由は不明。
◆12巻99話「誰かの夢」
無惨の命令外のことで玉壺に絡む童磨に対し、背後から猗窩座は童磨の頭上半分を殴り飛ばす。パガ。
その直後に、序列の従属関係を重んじる黒死牟により猗窩座は腕を斬られ彼に度が過ぎる行為を諫められた。
童磨は猗窩座より後に鬼になったが、上弦の数字を追い抜いたことが判明。妓夫太郎たちを勧誘する当時の童磨が「上弦の陸」であったことから、この時点で猗窩座は童磨よりも数字が上の状態で存在していることになる。つまり童磨は下剋上を果たしたことになる。
「わざと避けなかった」「戯れ」という発言に青筋を浮き立たせる猗窩座が見られ、苛立ちや不快さを感じている様子が窺える。
童磨は後の展開で猗窩座を「ずるい」と呼び死の瀬戸際に姿を思い浮かべる描写があるが、上弦集結回にて玉壺に頼みごとをしている童磨にわざわざ自分から関わりに行くあたり、彼もまた童磨を意識している節がある。
◆18巻157話「舞い戻る魂」
猗窩座が死んだ気配を察した童磨が、対峙中の栗花落カナヲに「猗窩座殿」について話し始める。
「俺言ったんだよ!女は腹の中で赤ん坊を育てられるぐらい栄養分を持ってるんだから 女を沢山食べた方が早く強くなれるって」
「だけど猗窩座殿って女を喰わない上に殺さないんだよ!」
以上の台詞から、童磨が過去に直接猗窩座に女を食うメリットを説明していた様子が窺える。
そして猗窩座が女を食べず、殺しもしないことを無惨が許していたのを「ずるい」と表現している。童磨は自ら感情が無いと言う一方で、このような猗窩座への特別扱いをずるいと感じる心はあった模様。
猗窩座の死を受けた童磨は悼むように「一番の友人だったのに」と呟き、落涙して見せる。
しかし、すでに童磨の正体を把握していたカナヲにより、カナヲにより感情表現の嘘はすぐに見抜かれることになった。
カナヲに指摘されたように童磨は「何も感じない」が、たとえ悲しいと感じなくても、友人が死んだら悲しい=悲しいから涙を流す、という知識はあり、泣く素振りを見せた童磨が猗窩座を友人と認識していたのは事実といえる。
「一番の友人」発言について当事者である猗窩座がどう思っていたかは不明。
◆19巻163話「心あふれる」
致死量の毒が体中に巡った童磨は首を斬られた時、首切りを克服できる進化の瀬戸際で「猗窩座殿もなりかけたんだ」と猗窩座の姿を思い浮かべている。
竈門炭治郎によって先に討伐された猗窩座は、日輪刀で首を落とされても死なず、頭を再生させるところまで進化したが消滅した。
無惨と同じ域に到達しかけた猗窩座のように、自分もそうなれれば死なないかもしれないと童磨は考えを巡らせる。
「猗窩座殿もなりかけたんだ 俺だってきっと」
しかし結局童磨自身は鬼の進化の原動力である強い執着や渇望が足りなかったことから、首克服の進化ができずに消滅した。
ファンブック&公式派生情報
◆「鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録」(通称FB)
2019年7月9日発売。当時は本誌連載中であるが、この時点で十二鬼月は黒死牟、童磨、猗窩座を残して死亡している(単行本16巻周辺の内容)。
猗窩座のページにおいて屈託なく絡んでくる童磨とそりが合わないと関係について言及されていた。拳を叩きこまれても意に介さぬ童磨の態度に苛立ちを覚えていた模様。
また、猗窩座は人間が好きで饒舌になる一方、無限城では無口になることが明かされている。同族嫌悪の呪いの影響もあると思われる。
無惨の上弦の鬼たちへの評価が公開されたが、童磨はあんまり好きじゃない、猗窩座はお気に入り(忠実で真面目だから)という対照的なものだった。
◆「鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐」(通称 FB2)
原作終了後の2021年2月9日発売。
猗窩座がどうしても女性は喰えず殺せなかったことを、無惨に度々嫌味を言われ責め立てられていたが許していた。この猗窩座の特別扱いについて、童磨はよく文句を言っていた。
猗窩座の大正コソコソ噂話にて、鬼が下位の鬼に対し視覚共有や脳内対話が出来ることが新たに発覚。童磨が上弦の弐になってからあまりの煩さに耐えきれず無惨に苦情を入れていた過去が明らかとなった。
ちなみに猗窩座が無惨に口答えをしたのは是一度きりである。
◆年始番外編「何も問題ない」
2020年のお正月に掲載された四コマ漫画。現在はFB2に収録済み。
1コマ目にて無惨の愚痴に童磨がにこやかに賛同しながら、隣にいる猗窩座の肩を親しげにポンと叩いている。
数字の順で並ぶと童磨と猗窩座が隣り合うのは普通であるが、同意を求める素振りをした時に猗窩座を選んでいる点で、友人らしい距離感を見せている。ただし猗窩座はそっぽを向いていた。
この時点で本誌ではすでに童磨、猗窩座ともに消滅しているため、この四コマで久しぶりの登場となった。
◆『キメツ学園!』(作画:帆上夏希)「第14話 狛犬奔走」
単行本3巻収録、最強ジャンプ 2022年10月号掲載。
二人が中心となって出てくるメイン回。
当時中学2年生の???は厨二病真っ盛りで、自らを猗窩座と名乗り巷で不良をやっていた。その時にハッピーアドバイザーを営む童磨に「一緒に人助けをしないかい?」と声をかけられて以来の付き合い(腐れ縁)がある。
アニメ関連情報
◆アニメ一期12話
元十二鬼月である響凱の回想にシルエットが登場し、童磨と猗窩座が隣り合っている。FB2発売前で具体的な身長が不明な時機であり、初めて身長差がはっきりと描かれたシーン。
◆本編初登場時期
猗窩座は2020年10月16日(金)公開、劇場版無限列車編にて最後のボスとして登場。
童磨は2022年2月13日(日)アニメ遊郭編の十一話(最終回)にて流れる妓夫太郎の回想に、上弦の陸として登場。
遊郭編では一話、十一話に猗窩座も登場しているため、一応共演しているともいえる。
声の担当は両者ともトップクラスの知名度と実力を兼ね備えた声優である。
また、声優に関して猗窩座は大方のファンの予想外のキャスティングであったことに対し、童磨は大方のファンの予想通りのキャスティングであった。
◆上弦集結、そして刀鍛冶の里へ
2023年2月3日(金)より、刀鍛冶の里編一話の上弦集結が全国の映画館にて先行上映された。
4月9日(日)に全国フジテレビ系列にて地上波放映。第一話「誰かの夢」に両名が登場する。
原作通り、猗窩座の背後より童磨が登場。童磨の登場と共に童磨のテーマ曲と思われるBGMが流れる。声とともに暗闇から手が伸び、猗窩座の肩に手が置かれた。さらにさするように手に力を込める描写がアニメで追加される。
童磨が玉壺と話す時には指を猗窩座の肩の上で踊らせるような仕草も追加された(プロモーションリールのカットインに使われている童磨の顔はここ)。
「お前がくれた壺 女の生首を生けて飾ってあるよ 俺の部屋に」
童磨のこの台詞の直後に猗窩座が青筋を立て、拳を握りしめるといった原作にはない描写が追加された。
童磨のテーマ曲で進んでいたこれらのシーンだったが、身体に触れられていることに苛立った猗窩座が童磨に「腕をどかせ」と発言した後、裏拳にて顎を削る場面にて猗窩座のテーマ曲が割り込む。だが「また少し強くなったかな?」と受け流した童磨の曲がすぐに再開した。
任務を言い渡された玉壺に童磨が詰め寄るシーンでは、原作よりもはっきりとした足音を立てながら猗窩座は童磨に詰め寄り、背後から頭の上半分を殴り飛ばした。
余談
◆見た目について
鬼は異形であることが多いが、他の上弦に比べると童磨と猗窩座は人間に近しい姿のままである。
童磨が187cm、猗窩座が173cmと身長差は14cm。
鬼になった時の肉体年齢上では童磨が二十歳で猗窩座が約十八歳と年上×年下だが、生きている年齢の通算では年下×年上となるCPである。
ちなみに外見については、上弦集結にて童磨が猗窩座と肩を組む時は爪が丸く揃えられていたが、後の戦闘シーンでは鬼らしく尖っているなど変化がある。作画ミスの可能性。
◆公式人気投票の結果にて
2020年に行われた少年ジャンプ公式人気投票では、猗窩座が17位、童磨が18位と、結果発表の紙面上まで隣に掲載される。
◆「きせかえJump」(少年ジャンプの公式アプリ)
鬼殺隊側に比べて描写が少ない敵方であるにもかかわらず、「きせかえJump」(少年ジャンプの公式アプリ)においては、童磨と猗窩座が公式から"FRIEND"の枠を割り当てられた。
◆入れ替わりの血戦について
童磨と猗窩座の序列に関してはいくつか考えられる。いずれも公式から正確に出された情報ではなく推測の域であるので注意。
- パターン① 童磨と猗窩座は入れ替わりの血戦をした
入れ替わりの血戦については詳細不明のまま連載が終了した。
FB2において、黒死牟の大正コソコソ噂話にて猗窩座に血戦を挑まれた事実が明らかになり、血戦についての情報の一片が公開された形となる。そこで「食わずに生かしておいた(通常食って吸収する。あくまで無惨の許可制)」と明記されている。この文脈からは、①血戦自体が無惨の許可制であり許可が無いと吸収できない、または②通常吸収するルールだが無惨の許可があれば食わずとも良い、と二通りが考えられる。
よって、FB2以降においても、童磨の猗窩座の血戦説は
① 童磨は猗窩座を吸収しようとしたが猗窩座を気に入っている無惨から許可が出なかった説
② 童磨は猗窩座を吸収できたはずだが何らかの事情であえて吸収しなかった説
など、血戦への捉え方は多様に存在する。
- パターン② 当時の上弦の弐に上弦の肆(以下)の童磨が入れ替わりの血戦で勝利し猗窩座の数字を抜いた
童磨と猗窩座が直接やり合わないまま数字が入れ替わった説。猗窩座は上弦の参のまま、下位の童磨に数字を抜かれて上に座られた形となる。勝者となった童磨が前の上弦の弐を吸収したとも考えられるが、確かな情報がないためあくまで憶測にすぎない。
- パターン③ 実力相応として無惨の判断で数字を入替した
無惨が実力を見定めて人事評価を下した説。自分の評価は絶対で間違えないと豪語する無惨であればあり得なくはない。しかし、童磨のことを強い執着も渇望もなく大きな進化が見込めないと判断している無惨が、その伸び代の有無を評価するかは判断しかねる。