バハムートラグーンの主人公ビュウ。カーナの王女ヨヨと幼い頃に恋仲になり、思い出の教会にて「大人になっても今と同じ気持ちで、教会に誘ったら一緒に来てくれる?」と約束されていた。
しかし再会したヨヨは、敵軍の将軍パルパレオスにベッタリだったのである。
でもこれぐらいならばよく有ることだし、なにしろ戦争中であり、ヨヨも敵軍に囚われの身だったので、ストックホルム症候群ということで簡単に説明がつく。
しかし…そうも言えなくなるシナリオが待っていた……!
ビュウとのエピソードを聞かされたパルパレオスは、ヨヨに「ここが思い出の場所なのか?」と問う。
だが、ヨヨからは驚愕の返答が。
「ううん・・・思い出の場所なんかじゃない。
だって・・・私たち・・・これからはじまるんですもの。
(中略)
その時にはここが思い出の教会になっているの。」
一体約束とは何だったのか。
これをヨヨはあろうことか、ビュウの前でサラリと激白したのである。
(なお、このエピソードはまだまだ序章に過ぎないことを付け加えておく)
発売当時、冗談抜きに多くのプレイヤーの心はぐちゃぐちゃのギッタギタに踏みにじられた。
本ゲームで名前を変更できるのは、主人公ビュウ、ドラゴンたち、そして問題のヨヨのみ。
ゲーム内の科白から、ヨヨに好きな人の名前を付けたプレイヤーも多かったらしく、期待に胸を高鳴らせていただけに「思いっきり上げておいて奈落の底まで落とされる」地獄のような仕打ちを味わったのである。
(実はむしろ、奈落の底に落とされた後が本当の地獄である。「落とす」事自体なんて序の口、それがこのエピソードの怖さなのだが···)
もう1つの問題は、ビュウはDQ型の「喋らない主人公」だったことである。
したがってプレイヤーは、ビュウがどのような心境なのかを察することも出来ず、その哀れさ故に、ついにこの肩書きがついてしまったものと思われる。
だが、捨てる神あれば拾う神あり、それでも挫けなかったビュウはフレデリカと出会い、戦いが終わり、フレデリカが元気になった後、ビュウは彼女と一緒に薬屋を営む約束をしたのだった…
『思い出の教会』についての余談
バハムートラグーンというゲームは見下ろしマップ型のシミュレーション・RPGであり、マップ上で属性攻撃を使うと地形を変化させることが出来る(河を凍らせて渡河、森を焼き払って進軍、雷を落として建築物を破壊、など)。
そして、『思い出の教会』は、戦闘中には一般の建築物と同じく扱われる。
したがって、ヨヨ関連のエピソードの一部始終を知った多くのプレイヤーによって、2周目以降のプレイにて思い出の教会は破壊されたという···。
戦闘前に「思い出の教会を守るんだ」といった科白が出るようだが、勝利条件にそんなものはない。安心して壊そう。