概要
2023年夏に明るみになった事件。発端は2022年夏に群馬県のビッグモーター太田店前で街路樹が不自然に枯れていることに住民が気付き、県太田土木事務所が17本の枯れた街路樹を伐採したことにある。
この時に木が枯れた原因を特定するための土壌分析で除草剤の成分が検出されたため「何者かが公共物の街路樹を人為的に枯らした可能性がある」とみて被疑者不詳のまま警察へ被害届を提出した。現場に設置された犯人の情報を募集する看板がTwitterへ投稿され、ビッグモーターの保険金不正を巡る不祥事が連日報道される中でこの看板が注目を集め、他の店舗についてもGoogleストリートビューで定点観測したところ同じように不自然な街路樹の枯死や撤去の痕跡が次々と発見された。
その後、各社の取材によりビッグモーター本部が店舗に強制していた「環境整備」に対応するため店舗の敷地に留まらず付近に散布した除草剤により、各地(過去にビッグモーター店舗があった場所も含む)で街路樹の枯死が続いた。会見にて社長が「甘い認識で除草剤を撒いてしまった」と話している。尚、無断で除草剤を撒いたり木を切り倒したりなど、故意に木を傷付けた場合は器物損壊罪および道路法の道路付属物損壊罪に当たる。
それもあり、東京都でも都内のビッグモーター周辺の公道を調査すると、上記の枯死事案に加え作為的に伐採された形跡が発見、これに小池百合子東京都知事は「更なる調査を続行する。結果次第で厳正な対応を行使する(要約)」と明言した
騒動の背景
端的にはビッグモーターの前副社長・兼重 宏一氏率いる『ロイヤルファミリー』による店舗査察『環境整備点検』による弊害である。
当初から『環境整備点検』はあったものの、前副社長が経営権限を握ってからはその視察内容が異常化(一部では「点検内容が倍加した」との声も)し、ビッグモーター店舗では『環境整備点検』の前日には夜通しで清掃作業に徹しなければならず、前述の苦行を実施したとしても、指で摘まむのも困難な雑草が僅かにでもあれば、即座に降格通知が来るのもままであった。
酷い場合だと、店舗近辺の公道の草や落ち葉だけ見て(=店舗敷地を見もしないで)即降格もあり、事実上の前副社長による恐怖政治が横行・常態化していた。
尚、元社員の話によると「余りにも小規模の雑草の場合は燃やした(要約)」とも答えている。
また、中古車業界全体で見ると、街路樹そのものを「店舗清掃における諸悪の権化」や「店舗を見え難くし来客を遠ざける障害物」とするネガティヴな総意が蔓延していたのもある。
反響
ストリートビューでは福島県の郡山店前で店員が街路樹に除草剤を撒いている現場が激写されている。この時に使用していた除草剤がオレンジ色のパッケージからフマキラーの「カダン除草王」であると特定されたことにより、全国のホームセンターで「ビッグモーター実証済み」除草剤として売り切れが続出。フマキラーの株価を大きく押し上げる要因となった。
ネット上ではビッグモーター以外の自動車販売店付近でも同じように街路樹が枯死する現象が起こっていると指摘されているが、名前の挙がった1店のネッツトヨタ石川では「当該店舗前の国道の拡幅工事実施の際に、歩道の幅縮小工事が行われており、その一環で街路樹も撤去がなされたものと認識している」と公式サイト上で経緯を説明する事態となっている。