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概要編集

2023年夏に明るみに出た事件。

発端は2022年夏に群馬県ビッグモーター太田店前で、街路樹が不自然に枯れている状態に住民が気付き、県太田土木事務所が17本の枯れた街路樹を伐採した件にある。


この時に木が枯れた原因を特定するための土壌分析で除草剤の成分が検出されたため「何者かが公共物の街路樹を人為的に枯らした可能性がある」と見なし、被疑者不詳のまま警察へ被害届を提出した。現場に設置された犯人の情報を募集する看板を撮影した写真がTwitterへ投稿され、ビッグモーターの保険金不正を巡る不祥事が連日報道される中で、本件の看板が注目を集め、他の店舗についてもGoogleストリートビューで定点観測したところ、同じように不自然な街路樹の枯死や撤去の痕跡が次々と発見された。


2019年には福岡県国道3号線沿いにある古賀店前でスーツ姿の男がガスバーナーを使って街路樹を燃やしている現場を地元住民が目撃し、市議会議員に通報していたのだが、この時に調査を求められた九州地方整備局では街路樹焼却の実行犯特定まで至らなかった経緯がある。4年後に騒動を受けて古賀市役所から調査を依頼された九州環境管理協会の分析では、焼け焦げた切り株から他の街路樹の土壌に比べて最大で166倍に及ぶ除草剤の成分が検出された。


その後、各社の取材によりビッグモーター本部が各店舗に強制していた『環境整備点検』に対応するため、店舗の敷地に留まらず付近に散布した除草剤により、各地(2022年に閉店した静岡県の浜北店など、過去にビッグモーター店舗があった場所も含む)で街路樹の枯死が続いた。会見にて社長が「甘い認識で除草剤を撒いてしまった」と話している。尚、無断で除草剤を撒いたり木を切り倒すなど故意に木を傷付けた場合は器物損壊罪および道路法の道路付属物損壊罪、また使用した除草剤の種類や分量によっては農薬取締法違反に当たる可能性がある。また、もし街路樹が倒壊に至れば道路を走行中の自動車に直撃する危険を孕んでいる。

それもあり、東京都でも都内のビッグモーター周辺の公道を調査すると、都内でも上記の枯死事案に加え作為的に伐採された形跡が発見、これに小池百合子東京都知事は「更なる調査を続行する。結果次第で厳正に対応する(要約)」と明言した。


8月に入り、前述の太田店を始めビッグモーター側が除草剤で街路樹を枯らしたり違法に伐採を行ったことを自治体の調査に対して認めているが、器物損壊の時効は3年のため時期によっては実行者の刑事責任を問えず民事による損害賠償および原状回復(除草剤で汚染された土壌の入れ替え、枯らした樹木と同じ種類の植え直し)に留まるケースも想定される。


9月に入り、各自治体からの被害届提出を受けて警視庁神奈川県警が器物損壊・道路附属物損壊容疑でビッグモーター店舗および六本木ヒルズの本社捜索に乗り出した。今後の捜査では、本部から各店舗への指示と街路樹大量枯死との因果関係が重点的に取り調べの対象となることが見込まれる。その後しばらく大きな動きは無かったが、12月15日には後述する前副社長の自宅が警察の家宅捜索を受けたことが報じられた。

2024年1月末、本部で「環境整備推進委員」の肩書により全国の店舗を巡回・監視していた社員が器物損壊容疑で神奈川県警に逮捕された。その後、3月に前副社長ら13名が組織的に伐採や除草剤の散布を指示していたとして警視庁から書類送検されたが、大半の道府県では被疑者不詳のまま法人のみ書類送検が行われるに留まっている。


まさかの感謝状編集

ところが、ビッグモーターの不祥事が発覚するまで、上記の枯死した木々は「これらの植栽をビッグモーターがお世話しています」と看板付きで紹介されており、これに対し河川国道事務所が感謝状を贈呈してしまったのである。

(該当箇所は国道8号線沿い。出典


ビッグモーターによって枯死させられた街路樹が、国道事務所にとっても「素晴らしいお世話」「美しい景観」と評価されていたのなら、問題発覚が遅れたのも無理は無いだろう。

河川国道事務所は仕事しろ


騒動の背景編集

端的にはビッグモーターの前副社長・兼重宏一氏と側近の常務および本部長の3人からなる通称『ロイヤルファミリー』による店舗査察『環境整備点検』が引き起こした弊害である。

当初から『環境整備点検』はあったものの、前副社長が経営権限を握ってからはその視察内容が異常化(一部では「点検内容が倍加した」との声も)し、ビッグモーター店舗では『環境整備点検』の前日には夜通しで清掃作業に徹しなければならず、前述の苦行を実施したとしても、指で摘まむのも困難な雑草が僅かにでもあれば、即座に降格通知が来るのもままであった。

酷い場合だと、店舗近辺の公道の草や落ち葉だけ見て(=店舗敷地を見もしないで)即降格本末転倒な事例もあり、事実上の前副社長による恐怖政治が横行・常態化していた

尚、元社員の話によると「余りにも小規模の雑草の場合は燃やした(要約)」とも答えている。


街路樹の枯死以外では愛知県の名古屋茶屋店において、一定規模以上の敷地面積を持つ事業所に都市緑化法で最低1割以上の設置が義務付けられている店舗敷地内の芝生や植え込みによる緑化地帯が2018年の開店直後は見られたのに、問題の発覚時点では舗装で完全に消失した違法状態だったため名古屋市から是正を勧告されている。

さらに石川県イオンモールかほく店では、吸収合併前のハナテン中古車センターが出店した当時は敷地内にあった植え込み部分をビッグモーターへ転換した後で勝手にコンクリート舗装していたことが発覚した。「木を植えています」をキャッチコピーに掲げ、熱心に植栽活動を行っているイオングループは今回の被害について「法的措置を含めて厳格に対応する」とビッグモーターの暴挙に対する怒りを爆発させ、賃貸契約の解除を通告。そのため、当該店舗は2023年10月末を以て閉店に追い込まれた。


また、中古車業界全体で見ると、街路樹そのものを「店舗清掃における諸悪の根源」、或いは「店舗を見え難くし来客を遠ざける障害物」とするネガティヴな認識が蔓延していたのもある。


反響編集

ストリートビューでは福島県の郡山店前で、店員が街路樹に除草剤を撒いている現場が激写されている。この時に使用していた除草剤がオレンジ色のボトルからフマキラーの『カダン除草王』であると特定され、全国のホームセンターで『「ビッグモーター実証済み」除草剤』として売り切れが続出。フマキラーの株価を大きく押し上げる要因となった。


ネット上ではビッグモーター以外の自動車販売店付近でも、同じように街路樹が枯死する現象が起こっていると指摘されているが、名前の挙がった1店のネッツトヨタ石川では「当該店舗前の国道の拡幅工事実施の際に、歩道の幅縮小工事が行われており、その一環で街路樹も撤去がなされたものと認識している」と公式サイト上で経緯を説明する事態となっている。


関連タグ編集

ビッグモーター 除草剤 環境破壊

ビッグモーター副社長構文

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