バハマは、中央アメリカに属する諸国の一国であり、カリブ海に点在する700前後という多数の諸島を領土とする島国である。カリブ海諸国の中でも最も北に位置し、キューバのさらに北、フロリダ半島の東方100km程に位置している。首都はナッソー、ニュープロビデンス島という島全域に広がる都市である。
1492年にコロンブスが到達した西インド諸島の島々の一つとして世界にその存在を知られることになった。17世紀には海賊エドワード・ティーチ(黒ひげ)が後の首都ナッソーを本拠地にカリブ海を荒らしまわった。また同じく海賊のヘンリー・モーガンはバハマのアンドロス島、モーガンズ・ブラフに財宝を隠したとされる。やがて海賊はイギリスに討伐されて活動を衰退させていき、1783年に正式にイギリス領となった。バハマにはアメリカ独立戦争に敗れた王党派が多数の黒人奴隷を連れて移住し、プランテーション農業を行った。イギリスが奴隷解放を宣言したので奴隷主のプランテーションは崩壊し、バハマは解放された黒人たちが小規模な農業を行うようになった。第二次世界大戦後に独立運動が盛んとなり、1973年に独立する。
こうして誕生したバハマ国は人口の90%以上をアフリカ系が占め、公用語は英語である。人口は39.3万人(2020年)。属する多数の島の面積を合計すると13,880平方km、日本でいえば福島県にほぼ匹敵する領土を保有している。イギリス王をバハマ国王に推戴するイギリス連邦加盟国で、自由国民党(中道右派)と進歩自由党(中道左派)の二大政党によるイギリス型議会制度により政治は安定している。
ナッソーでいうと夏は24~32℃、冬でも17~25℃のサバナ気候、美しい大西洋の海と白い砂浜、豊かな自然に恵まれて観光業が大変に盛ん。アメリカ合衆国を中心に世界各国から多数の観光客が押し寄せる。豪華な高級ホテルも林立し、サーフィンやダイビング、島々を巡るクルーズも楽しめる。バハマ政府は観光業への過度の依存を警戒し、金融や農業の振興にも努めている。