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概要

マリア・ラボ(MariaLabo)とはフィリピン怪談都市伝説で語られている顔に大きな傷がある人物で、上流階級の家で家政婦として働いていたが、自宅に帰ってきたときには吸血鬼および食人鬼アスワング」になってしまった女性。

今でもマリア・ラボはビサヤ諸島もしくはミンダナオ島の田舎を徘徊していると恐れられている。

物語

二児の母であるマリアは、今までの働きが認められたのか、あるとき上流階級の家で家政婦として雇われることになった。

職場の待遇はとても良く、多くの収入を得て家計を存分に助けることができるようなり、長期間働いていたマリアは休暇で自宅に帰り久々に夫に会うことになった。

マリアは自宅に帰り夫のために料理を作りはじめ、夫が帰ってくるとそのできあがった料理をテーブルに並べて出迎えた。

家に帰ってきた夫は豪華な料理に喜んだが、子供二人が見当たらないのでマリアにどこにいるのか聞くことになった。

するとマリアはさも当たり前のように、「今日の料理は二人の子供を食材にした」と言い放った。

なんとマリアが働いていたお屋敷は、人間社会に潜伏するアスワング一族の拠点の一つで、そこで働いていたマリアも人肉を食べることに何の躊躇もないアスワングにされてしまっていたのである。

その事実に気付いた夫は怒り狂い、すぐさまラボ(ビナンゴン:ナタ)を手にしてマリアの顔を斬りつけた。

するとマリアは自宅から逃亡して完全なアスワングとなってしまう。

現在では顔に大きな傷がある女性、もしくは老女の姿でビサヤ諸島もしくはミンダナオ島の田舎を徘徊しているのだといわれる。

余談

  • アスワングは古くから先住民に伝承されていたが、一説によるとスペイン人植民地支配の手段として、近隣の住民同士を人間不信にするために、アスワングかもしれないと吹き込んだといわれる。
  • 植民地化された過去がある国々では、上流階級や安定した収入のある公務員の正体は、吸血鬼などの魔物であるという東アフリカにおける「ワジマモト」同様の都市伝説が語られやすいのだという。
  • フィリピンではバンキラン(Bangkilan)と呼ばれる接吻で仲間を増やす力を持つアスワングや、ダラケトノン(Dalaketnon)と呼ばれる人間社会では上流階級に属し魔法の餅米で仲間を増やす異界から来た邪悪な精霊が伝わる。

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