概要
インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派北ゲルマン語群に属す言語で、北欧の島国であるアイスランドの公用語。母語話者はおよそ30万人いる。
9世紀にノルウェーからアイスランドへ入植したヴァイキングの話した古ノルド語を起源としており、その経緯からゲルマン語派のなかでも特にノルウェー語と最も近い関係にある。
ただ地理的に隔絶された環境のため1000年以上前の入植当時から他とあまり交わらずに話されたことや、近代以降も英語などの外来語をあまり取り入れない保守的な傾向があり、現代のゲルマン語のなかでも特に古典語に近い特徴を強く残す言葉である。
そのためアイスランド人は「エッダ」や「サガ」などの北欧神話に関わる古典文学がほとんどそのまま読めるとさえ言われているくらいで、発音は多少の変遷があるものの、じっさい基本的な文法は中世からほとんど変わっていない。
こうした特徴もあって学習難易度は非常に高い部類であり、日本語で書かれた参考書もいくつかあるが、鉄の意思が必要と書いてあるくらいである。
なお、方言差はあまりない。
文字と発音
表記にはラテン文字を用いるが、補助記号で異なる発音を表すケースがあるほか、上記のとおり極めて古風な言語であるため、古英語などにはあった「Æ/æ」や「Ð/ð」、「Þ/þ」を現役で使用している。これらはそれぞれ現代のアイスランド語では/ai/(アイ)という二重母音、英語でいうTHの音(濁る方がð、濁らない方がþ)で発音される。
綴りと発音の対応も見たままには読めない難解なパターンが多い。たとえば、Lを2つ重ねると/tl/とTの発音が入り、「rl」や「rn」、「sl」「sn」という綴りの場合も発音は/rtl/や/rtn/、/stl/、/stn/とTの音を挟む。
また、「hv」と続いた場合HはKの音に変化して/kv/と発音される。
こうしたアイスランド語のスペルと発音の難解さは、劇中でアイスランドを訪れる場面があるアメリカ映画『LIFE!』でも主人公がメモに書かれた場所をなんと読めばいいか分からないというシーンでネタにされていたりする。(ここで出てくるEyjafjallajökullはエイヤフィヤトラヨークトルと読むのが正しい)